電話応対でCS向上事例
-ヤマトコンタクトサービス株式会社 北陸コンタクトセンター(石川県)-「個客」目線で一人ひとりに寄り添い有人オペレーターにしかできない電話応対を追求する記事ID:C20115
ヤマトコンタクトサービス株式会社は、2003年に設立され、ヤマト運輸を中心とするグループに属し、コールセンター業務を展開しています。北陸コンタクトセンターの宮浦氏と太島氏に、電話応対への取り組みについて聞きました。
事業概要についてお聞かせください。
センター長 宮浦 有香子氏
宮浦氏:当社は、宅配便サービス国内シェア1位のヤマト運輸を中心とするヤマトグループに属し、宅急便で培った豊富な物流ノウハウを活かしたコールセンター業務を展開しています。全国20拠点のうち、石川県白山市にある北陸コンタクトセンターは、オペレーター80名体制で主にヤマト運輸の荷物に関するお問い合わせやご依頼の対応を担当しており、1日約2,500本、月間約7万本の電話に応対しています。私どもはヤマト運輸のお問い合わせを受け付けるコールセンターですので、やはり荷物の出荷個数の多いお中元やお歳暮など贈答品が多い時期、7月と12月はお問い合わせが増加する傾向があります。さらに3月、4月のお引越しのシーズンも、お問い合わせ件数が若干多くなっています。電話に加えて、チャットボットやAIオペレーターなども用意し、お客さまが求めるコミュニケーションを最適な方法で提供しています。
個々のお客さまに寄り添う応対品質を目指す
電話応対に関する課題と対策について教えていただけますか。
電話応対の様子
宮浦氏:以前は、荷物の集荷依頼や配達時間の変更など、シンプルなお問い合わせは電話で受けていましたが、近年はウェブやAIオペレーターで完結するケースが増えています。有人オペレーターに寄せられるのは、より複雑な相談や、さまざまなツールの使い方が分からないお客さま、海外からいらしたお客さまなど、多様なステータスの方からの問い合わせが多くなっています。このような変化により、従来のような標準化された応対では対応が難しくなってきています。そこで当社では、『「つながる」を極めてお客様にとって、価値となる』ことをパーパス(存在意義)とし、一人ひとりに寄り添う応対品質を目指しています。そのキーワードが「寄り添う応対」と「個客目線」です。お問い合わせをされるお客さまは、とにかく急いでいる方や、商品の知識があまりない方などさまざまです。そこで、「一人として同じお客さまは存在しない」「お客さまの数だけ応対の数がある」という当社のお客さまに対する考え方を表しているのが「個客目線」というキーワードです。個々のお客さまという意味を強調するため、あえて「個別」の「個」に「客」を組み合わせた独自の表現を使用しています。「寄り添う応対」とは、「きく」「話す」だけでなく、お客さまの感情や状況を感じ取り、共感した上で応対することです。これまでのコールセンター業界では、既成のスクリプトに合わせた平準化・標準化した応対が重視されてきました。しかしAIオペレーターやチャットなど多チャネル化する中で、有人オペレーターに求められるのは、寄り添い、「個」に合わせることで、個客ごとに良好なコミュニケーションを実現することだと考えています。
コンクールはセンター内外の刺激にもなっている
電話応対コンクール(以下、コンクール)への取り組みについて教えてください。
リーダー 太島 弥生氏
太島氏:当センターでは、応対品質向上のため、電話応対コンクールに10年以上継続して参加しています。2025年の石川県大会では、2名が優秀賞(4位、5位)に入賞するという成果を上げました。何よりコンクールの参加者にとって、非常に貴重な経験となっています。事前研修会などで他企業の方々と交流する際は、病院や商社、保険業務のコールセンターなど、さまざまな業種の方々と意見交換することで、お客さまが何を求めているのか、どのような応対が効果的かといった新しい視点が得られます。私は指導者として参加者をサポートする立場ですが、指導者同士で指導手法を共有し合うこともあり、新しい指導手法を学んで、それを自社に取り入れることもあります。
社内に飾られた電話応対コンクールの賞状や盾
宮浦氏:コンクールは、社内外にも良い影響を与えています。身近な同僚が大会に出場し、入賞する姿を目にすることで、ほかのオペレーターも「自分も負けていられない」といったモチベーションにつながっています。また、練習で参加者や指導者が抜ける際も、センター全体で協力してくれる体制ができています。さらに、当センターが成果を出すことで他拠点への刺激にもなっております。
不安の解消や仲間意識強化、応対品質の保証にもつながる
電話応対技能検定への取り組みについてお聞かせください。
社内での打ち合わせの様子
太島氏:当センターでは、電話応対技能検定にも積極的に取り組んでいて、ほぼ全員が受検し、直接雇用のオペレーター66名のうち52名がいずれかの級を取得しています。4級については受検費用を会社が負担し、10名以上の受検者が集まる場合は出張試験を実施してもらうなど、受検しやすい環境を整えています。私が指導者級資格を取得したことで、講義部分は社内で実施できるようになったことも大きな転機となりました。検定を通じて、自分が敬語を正しく使えているか不安だったオペレーターが自信を持てるようになったり、一緒に働く仲間と講義を受けることで、普段の業務で疑問に思っていたことを共有して解消できたり、コミュニケーションが活発になって仲間意識が高まったという声も多く耳にします。
宮浦氏:電話応対技能検定の資格取得はオペレーター本人の自信につながりますし、対外的にも応対品質の保証にもなります。
電話応対を通じてお客さまを“ ヤマトファン”に
今後の目標について教えてください。
ヤマトコンタクトサービスのパーパス(存在意義)
太島氏:来年の電話応対コンクールでは、お客さまとの心のふれあいを大切にした当センターらしい応対を披露し、3年ぶりの全国大会出場を目指したいと考えています。全国大会の雰囲気や実力者の姿を、より多くのオペレーターに経験してほしいです。
宮浦氏:北陸コンタクトセンターとしては、お客さまに対する電話応対を通じて、より多くのお客さまに“ヤマトファン”になっていただけるような応対ができるようにすることが私たちの目標です。そのためには、やはり「個客目線」で一人ひとりのお客さまに寄り添い、その人に合った最適な応対を追求することが重要だと思います。デジタル化が進む時代だからこそ、人による温かいコミュニケーションの価値が際立つのではないかと考えます。
| 会社名 | ヤマトコンタクトサービス株式会社 |
|---|---|
| 設立 | 2003年(平成15年)9月 |
| 本社所在地 | 東京都豊島区南大塚3-33-1 |
| 代表取締役社長 | 樽見 宏 |
| 事業内容 | コンタクトセンター(コールセンター)業務、ビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)業務、顧客関係管理(CRM)の構築及びコンサルティング業務 |
| URL | https://www.y-cs.co.jp/ |
| 〔ユーザ協会会員〕 |
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