電話応対でCS向上事例

‐指導者級資格保持者のための品質向上研究会レポート‐
コロナ禍の中、Web会議で開催!リモート時代の新人教育と
コミュニケーション術とは

記事ID:C20045

2022年7月1日(金)と7月2日(土)の2回、電話応対技能検定(もしもし検定)の指導者級資格保持者(第1期生~第29期生)を対象とした「品質向上研究会」が開催されました。今回は「リモート時代のコミュニケーション術」をテーマに、岡田 充弘氏の講演が行われました。

  • クロネコキューブ株式会社/カナリア株式会社
    代表取締役 岡田 充弘氏

  • 専門委員会 委員長
    元中京大学法科大学院教授
    稲葉 一人氏

コロナ禍の中、オンラインでリモート時代のコミュニケーションをテーマに講演を開催

 コロナ禍が続く中、2022年2回目の品質向上研究会もWeb会議システムを活用した、オンラインでの開催となりました。開会の辞に続き、専門委員会の稲葉 一人委員長が、昨今のコミュニケーションにおいて懸念されている傾向や改善ポイントなどについて話されました。

 続いて、電話応対の品質向上をテーマとしたグループワークによる勉強会が行われ、午後からは、クロネコキューブ株式会社/カナリア株式会社代表取締役の岡田 充弘氏による講演「~仕事がデキる人になる~リモート時代の新人教育とコミュニケーション術」が行われました。講義に続き、Zoomの「ブレイクアウトルーム(参加者を少人数のグループに分けてミーティングを行う機能)」を活用したグループディスカッションと、質疑応答が行われました。

コロナ禍で見えてきたリモートワークの効果と限界とは

 岡田氏は、「コロナ禍によりデジタル活用に拍車がかかり、リモートワークが普及した」とビジネスシーンの状況を分析し、その上で、リモートワークの功罪について語りました。リモートワークのメリットとして、「人の移動コストや負荷が軽減」「仕事のデジタル化が強力に推進」「元々存在した人・組織の潜在的な問題が浮き彫りになった」を挙げます(図1参照)。

 一方、デメリットとして、「コミュニケーション機会が失われ育成効果が希薄化」「問題などに気づきにくくなる」「出会いの偶発性が失われる」を挙げ、さらに対面でのコミュニケーション機会の減少や他人への気づかいなどができなくなるといった課題に対し、オフ会などリアルなコミュニケーションの機会を設ける必要があると対策を示しました。

 オフィスワークとリモートワークのどちらを選択すべきかは、業務内容に負うところが大きいと岡田氏は説明します。客先訪問や営業活動など、人と直接関わる業務はオフィス(リアルの対面)が向いており、資料作成など一人で完結する作業はリモートが適しています。「いずれにせよ業種(業務)によって異なるので、一律に決めるのではなく議論を重ねて検討する必要がある」と補足します。

リモート時代のワークスタイルとは

 リモートワークの定着によって、今後、働き方はどうなっていくのでしょうか。組織のフラット化が進み、従来の「ピラミッド型」から「プロジェクト型」に変化しつつあります。それに伴って、上司の呼称は「○○課長」から「○○さん」となり、また、仕事を依頼する際は「この仕事をやっといて!」ではなく、「この仕事を○時までにできるかな?」という質問形で行われるケースが増えています。

 社内に加え社外との連携においても、下請けではなくパートナー会社という言い方が一般化しています。突然、立場が変わる場合もありますので、部下や外注先に対して、普段からリスペクトを持った接し方を心がける必要があるでしょう。

 多くの仕事がデジタル情報のやり取りで進むようになり、パソコンだけでなくスマホのツールで作業することが増えています。しかし、やみくもにいくつものツールに手を出すと、操作を覚えることが仕事といった本末転倒の事態にもなりかねません。岡田氏は、極力使うツールを絞り込むようにしていると言います。仕事の依頼は検索しやすいメーラーで行い、To Doツールでタスクを確認し、カレンダーはアポイントメントの登録専用で、プロジェクト管理はエクセルで行っているとのことです。重要なのは、パソコン・スマホ間で一元管理し、漏れなく管理できる手法を編み出すことなのです。

 パソコン、スマホを上手に活用することで、どんなことが改善されるのでしょうか。岡田氏は、デジタル化により仕事の時間内訳や質が激変すると語ります。例えば成果物を作るという仕事の内訳として、「探す」「考える」「作る」「伝える」があるとします。デジタル化を図ることで、「探す」は検索機能で、「作る」はテンプレートの使用などで時間が短縮されます。

 今後のビジネスでは、日々のルーティン業務などは急激に自動化され、改善提案や新しい企画といった業務がますます重視されます。必要なのは、人を巻き込んで新しい価値を生み出す力であり、そのためにもデジタル化により浮いた時間を、新しいチャレンジや新規事業などクリエイティブな業務に充てることが大切なのだと説きます(図2参照)。

今からでもできるお手軽DXとは

 DXというと身構えてしまいがちですが、今すぐに始められるお手軽な施策があります。それは、パソコンやサーバーのフォルダの整理です(図3参照)。デジタル情報を整理することで、第三者が見ても迷わず情報にたどり着けるようになり、日常の無駄な時間を削減できます。さらに、各種ドキュメントファイルの日付の位置を統一するなど、ルール化することで、目的のファイルを見つけやすくなります(図4参照)。

 講義後のグループディスカッションでは、「朝、会社に遅刻しそうな時に、上司にチャットで連絡するのは失礼だ?」「計画通りに仕事が進まないのは本人のやる気がないからである?」など身近なテーマで熱心に意見交換が行われました。その後、岡田氏と参加者で質疑応答が行われました。

 参加者の三澤 教子さんは、「ツールに振り回される傾向があるので、必要なツールを見極める重要性を実感しました。ディスカッションは、身近なテーマで発言し合えるのがとても良く、自分の講習で取り入れさせてもらおうと思いました」と感想を語りました。さらに、佐野 亜矢さんは、「多くのツールがある中で、状況や人に合わせて使い分ける必要があります。それには観察する力が求められるので、指導者として、いろんな考え方や多様性を学び続けていく必要があると感じました。ディスカッションでは、さまざまな意見を交換することで視野が広がりました」と振り返りました。

 岡田氏は、常に参加者に寄り添うように話しかけ、双方向のコミュニケーションをとりながら講演されました。さらにグループディスカッションが開催されたことで、オンラインでありながら、参加者同士の一体感が感じられる講演となりました。

※ DX:Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)の略で、直訳すると「デジタルによる変容」。進化したICT 技術を用いることで、人々の生活やビジネスがより良いものへと変容(変革)していくこと。

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