電話応対でCS向上事例

-北杜市役所-
窓口でのワンストップ応対を目指し市民サービスの向上に取り組む

記事ID:C20041

山梨県の北西部に位置し、風光明媚な環境で観光客や移住者が増えている北杜市。「平成の大合併」によって八町村が合併したのち、行政手続きが分かりにくくなったという声を受けて、市民サービスの向上に取り組む北杜市役所の皆さんに、電話応対や窓口応対の改善施策についてお聞きしました。

市民サービス課を設置し来訪者への接遇を強化

北杜市役所ついてお聞かせください。

市民サービス課
課長 日向 勝氏

日向氏:北杜市は山梨県の北西部に位置し、平成16年から18年にかけて八つの町村が合併してできた人口約4万6,000人の市です。山からの清流と日本一の日照時間、自然に恵まれた美しい景観が魅力となり、年間約400万人の観光客が訪れます。また、首都圏に近いことから、移住者が多いのも特徴です。私たち市民サービス課は、2022年4月1日の組織改編によって創設された新しい部署です。総合窓口担当と戸籍住基担当の2担当があり、戸籍住基担当は、転入や転出、婚姻や死亡届に加え、マイナンバーカードの交付などを行っています。総合窓口担当は、総合受付や庁舎の案内、代表電話への応対などが主な業務です。北杜市役所では、来訪者を担当の課にスムーズにご案内する「コンシェルジュ制度」を設けており、総合窓口担当の職員3名とコンシェルジュ2名の5名体制で窓口業務にあたっています。

コンシェルジュ制度を取り入れた成果をお聞かせください。

市民サービス課 総合窓口
中込 崇氏

中込氏:合併後、仮庁舎の五つの建物に37の課が分かれてしまい、どこに行けばよいか分かりにくいという声が多く寄せられるようになりました。コンシェルジュを配置することによって、来訪者をスムーズに希望の課に案内できるようになったと思います。また、コンシェルジュが忙しい時などは、書類を発行・受理する役割の総合窓口担当の職員が積極的にお客さまに声を掛けて、ワンストップで応対するようにしています。市役所の中で、市民が最もよく訪れるのは市民サービス課ですが、他の課でもそれぞれの職員が窓口対応をしています。このため、私たちだけでなく、北杜市役所の職員全員の接遇意識を高めていくことが求められています。コンシェルジュや私たち市民サービス課の職員は、その手本になれるようしっかりと応対力を高めていきたいですね。さらに今後は、市民サービス課で発行できる証明書も増やしていく予定ですので、訪れた方々が、できるだけ総合窓口だけで手続きを完結できるようにしたいですね。

顧客接点向上の取り組みに、電話応対コンクールを活用

電話応対教育で、実際に取り組んでいることを教えてください。

総務課 総務担当
平嶋 華奈氏

平嶋氏:顧客接点向上に向け、電話応対を主に担当する二年目の職員が電話応対コンクールに取り組んでいます。電話だけでなく、接客や基本的なマナーを学べることに加え、同期が集まって練習するため、同期意識や結束を高められることも利点だと思っています。昨年は、大会に臨む姿を近くで見ていましたが、創意工夫を凝らして、どうしたらより伝わりやすくなるかなど、話し合いながら練習する姿が印象的でした。上司の指示ではなく、出場者が自発的に考えながら取り組んだことが、昨年度の県大会入賞につながったのだと思います。今後も力を入れて取り組めるよう、呼び掛けていきたいと思っています。

コンクールで学んだ「相手の気持ちに寄り添う応対」は、日々の業務に活きている

電話応対コンクールに参加されたお二人は、実際の業務に役立っていると感じますか。

ふるさと納税課
ふるさと納税担当
植松 美咲氏

植松氏:私は、ふるさと納税を担当しているのですが、電話応対コンクールで、ハウスクリーニング会社の営業担当としてお客さまにプランを提案した経験が、今の業務にも役立っています。今までは寄附者に自分がお勧めしたい物ばかりを提案していましたが、コンクールを通じて、お客さまのニーズに沿った提案をするためには、ご要望を引き出すのが重要だと学びました。コンクールの後は「お酒は飲まれますか」「金額はどのくらいをお考えですか」など、お客さまのご要望をお聞きしてから提案できるようになりました。

商工・食農課 商工担当
進藤 友紀氏

進藤氏:私はコンクールを通して、相談者の話を聞くだけでなく、共感して受け止めることが重要だと学びました。業務では、商工業関係の部署に属しており、コロナ禍で自営業の方からの切なる要望や想いを電話で聞く機会が増えています。時には、行政に対して厳しいご意見をいただくこともありますが、その際に、補助金の説明やほかの部署につなぐといった事務的な案内をするのではなく、相談者の困っている状況や切なる想いをお聞きし、受け止めるという意識が大切だと思っています。コンクールを通じて学んだことが、実際の業務に活きていると実感しています。

コロナ禍で、市民からの問い合わせに何か変化はありましたか

総合案内 (コンシェルジュ)

日向氏:外出ができず行動が制限されたことで、市役所に来庁されるよりも電話で問い合わせる方が増えました。また、インターネットでできる行政手続きも増えていますが、高齢の方などはウェブサイト上で手続きをすべて完了させることが難しく、市役所に電話で問い合わせる方が多くなっています。コロナ禍で生活様式が変化したことによって、従来よりも電話での問い合わせが増えてきたため、電話応対力を高めることの重要性が増してきたと感じています。

植松氏:ふるさと納税の寄付方法として、インターネットのポータルサイトを利用する方が多いのですが、それ以外にも、カタログから選んで納付書払いができたり、高齢の方に向けては窓口で対応をするなど、様々な申込手段を用意しています。コロナ禍以降は、電話での問い合わせが増えていますが、表情が見えない分、相手の方の状況に寄り添った丁寧な応対を心がけています。例えば、高齢の方には、できるだけ難しい言葉を使わずに、はっきりと大きな声で話すようにしています。一方で、仕事の合間など忙しい中で電話をかけてこられた方には、回りくどい説明をしないように簡潔に話すことを意識しています。せっかく、北杜市に寄付をしたいと思われた方が、こちらの説明がわかりにくかったために寄付の機会を失うようなことがないよう、音声表現や発声方法も含めて、しっかりとした電話応対をしていきたいと思っています。

市民サービス課が接遇の手本となり、北杜市役所のサービス向上を推進したい

最後に、今後の目標についてお聞かせください。

応対業務の様子

日向氏:行政手続きは複雑で、市民の皆さんからは分かりにくい、不親切だと思われるケースが少なくありません。このような不満や不便を解消できるように、親切丁寧な応対を強化する必要があると考えています。現在、コンシェルジュは民間企業出身者が担っていますが、民間企業の方の接遇や考え方はとても参考になり、市役所の職員の意識も変わってきたと感じます。今後は、窓口業務や電話応対だけでなく、IT などデジタルを活用する部署とも連携し、行政サービスの向上に取り組みます。これからも、市民サービス課が接遇の手本となって、北杜市役所全体の接遇向上を推進していきたいと思っています。

組織名 北杜市役所
所在地 山梨県北杜市須玉町大豆生田961-1
市長 上村 英司
URL https://www.city.hokuto.yamanashi.jp/
〔ユーザ協会会員〕

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