電話応対でCS向上事例
-株式会社KDDIエボルバ-チャットセンターなどITを活用した業務を広げ、地域の雇用創出にも貢献したい
記事ID:C20032
KDDIグループで培ったノウハウを活かし、多くの企業のコンタクトセンター業務を担う株式会社KDDI エボルバ。今回は、コールセンターとチャットセンターの業務で、地域の雇用創出にも貢献している山形センターの外山氏、柴﨑氏、塩川氏に、電話応対教育と今後の展望についてお聞きしました。
事業概要と体制についてお聞かせください。
法人事業本部 東北支部 東北4部
運用3グループ スーパーバイザー
柴﨑 順氏
柴﨑氏:KDDIエボルバは、長年培ってきたコンタクトセンター業務のノウハウを活かし、さまざまな企業にコンタクトセンター業務、バックオフィスソリューションなどのBPO※サービスを提供しています。ここ山形センターには550名ほどの社員が在籍し、クライアント企業の電話応対、チャット応対をしています。私が所属する大手自動車メーカーのコールセンターは、車のオーナーさまからのさまざまな問い合わせに応じて、快適にドライブするためのサポートを行っています。
塩川氏:私たちチャットセンターでは、auのユーザーからの問い合わせに対して、オペレーターがチャットで回答しています。内容は、スマートフォンの購入や料金プランの変更相談、画面の操作方法や不具合が起きた時のトラブルシューティングなど、幅広い対応を行っています。
電話応対教育は、ディスカッション研修が中心。自ら考える力を培う
電話やチャットの応対で気をつけていることなど、応対教育についてお聞かせください。
柴﨑氏:共通して言えるのは、機械ではなく人が行う仕事ですので、おもてなしの心やホスピタリティを重視しています。電話応対では、常にお客さまの立場で状況を考え、頭の中で具体的にシミュレーションすることや、ほっと癒やされるような言葉を添えることを意識しています。お客さまには「こんなことまでしてくれるの」とか、「嬉しい!楽しい!」という感動や驚きの体験を届けたいですね。そのための教育として、実際の事例に基づいたディスカッション形式の研修を多く実施しています。応対内容などから一方的なフィードバックを受けるのではなく、さらに質を高めるために自ら考えてもらうことが目的で、「もっと良くなるためには何ができたのか」「どうやったら感動してもらえたのか」といった付加価値の高い応対につなげるディスカッションを、ロールプレイングを交えながらチームで行っています。
チャット応対では顧客ニーズの真因を探り、一度で解決できる案内を目指す
チャットセンターについてお聞かせください。
KDDI 事業本部 CRM第2本部
DX 推進部 運用2グループ
デスクマネージャー 塩川 優氏
塩川氏:チャットセンターは2015年に開始した比較的新しい業務で、今でもクライアント企業とともに、応対基準書を改訂しています。基準書には、チャット応対のオープニングからクロージングの流れ、文章構成、共感の言葉など、品質が高くて分かりやすい文章とは何かを詳細に定め、オペレーター教育に活用しています。チャット応対は、「文字」でのやり取りという特徴から音声と比べてお客さまのニーズの把握が難しいため、「要望をくみ取り、先を読んで対応すること」を重視しています。そのためには、オープニングでご要望の真因を掘り下げるなど、初期の対応が大切です。また、応対が終わった後もお客さまがサポートの内容を振り返ることができるため、後から読んでも分かりやすく、何度もやり取りをしなくても、一度で解決できるような案内を目指しています。
チャットセンターのオペレーターにはどのような特徴がありますか。
塩川氏:チャットは文字にすることで頭が整理されるので、「電話よりもチャットの方が自分に向いている」と思うオペレーターもいます。チャットデスクに向く人は、一つひとつの事象を丁寧に理解したり、お問合せの背景を踏まえて説明したいというような人ではないかと思います。文章表現が豊かで、文字の方がお客さまにうまくご案内ができるような人からは「チャットデスクに来てよかった」と聞くことが多いですね。
電話応対コンクールの課題に向き合うことで、自分の課題に気づくことができた
電話応対コンクールへの取り組みや成果についてお聞かせください。
法人事業本部 東北支部
東北4部長 外山 淳氏
外山氏:山形センターが設立された2014年からずっと参加しています。参加者からは「電話応対コンクールの課題に日々向き合うことで、自分の課題に気づくことができた」という声があがっています。電話応対コンクールの経験が自信と成長につながり、応対品質管理や新人教育の担当になるなど、キャリアアップのきっかけにもなっています(図参照)。例年、業務の評価ポイントが高い数名の候補者が参加しているのですが、2021年は男性が出場しました。山形センターは7割が女性なので、これまでは女性の参加者が多かったのですが、男性でも高い応対スキルを持つオペレーターは多数在籍していますので、これを機に男性オペレーターのチャレンジも増やしていきたいと思っています。また、当センターの特長として、チャレンジしたい業務に自ら手を挙げて異動できる制度があるのですが、電話応対コンクールの参加者が多い部署は「よく選ばれているからレベルが高いのかな」「スキルアップにつながりそう」と、希望者が増えるという効果もありますね。
他に、山形センターにはどのような特徴がありますか。
研修風景
外山氏:山形センターは、大学生や高校生の新卒採用を積極的に行なっているので、若いスタッフが多く活気があります。高校を卒業したばかりの社員は、見ず知らずの人と電話で話すことに慣れていないため、集合研修で電話になれることから始めています。今年度は、最初の業務としてアウトバウンドコールに取り組んでもらいました。チームで力を合わせて目標件数を達成した場合は、周囲から拍手やお菓子がもらえるなど、盛り上がる一面もあったので、楽しみながら取り組んでもらえたと思います。
「やまがたワークプレイス」を体現できるよう、山形センターの魅力を高めたい
最後に、今後の目標についてお聞かせください。
外山氏:山形センターは、正社員が中心で、定着率は、98%を維持しています。また「やまがたワークプレイス」という名の自社ビルは、地域のシンボル的な存在です。新型コロナウイルスの影響は収束しつつありますが、より一層安全・安心の環境を整備し、今後も地域の方に「ここで働きたい」と思っていただけるよう、さらに魅力を高めていきたいと思っています。例えば、チャットセンターのように最先端のIT を活用した新しい業務をここ山形で行うことにより、「あの企業のサービスや製品を山形の私たちが支えているのだ」と従業員が誇りに感じ、それが周囲にも波及して、多くの人がここで働きたいと思うようなセンターにしていきたいですね。
※ BPO:Business Process Outsourcing の略称。企業の業務プロセスの一部について、業務の企画・設計から実施までを一括して専門業者に外部委託すること。
会社名 | 株式会社KDDI エボルバ |
---|---|
設 立 | 1996 年(平成8年)5月 |
本社所在地 | 東京都新宿区西新宿1-23-7 新宿ファーストウエスト |
資本金 | 1億円 |
代表取締役社長 | 若槻 肇 |
事業内容 | コンタクトセンターを中心としたBPO事業 |
URL | https://www.k-evolva.com/ |
〔ユーザ協会会員〕 |
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