電話応対でCS向上事例

-セコム株式会社-
警備の電話も、最後を「ありがとう」で締めくくりたい

記事ID:C20017

「あらゆる不安のない社会」を目指して。1962年(昭和37年)に日本初の警備保障会社として創業し、今や国内・海外17の国と地域でセキュリティをはじめとした幅広い事業で「安全・安心」を提供しているセコムグループ。今回は、警備の中枢を担うコントロールセンターの佐藤氏、松山氏、福島氏に、緊急時の電話応対で心がけていることについてうかがいました。

セキュリティ事業を中心に、幅広く事業展開

事業概要についてお聞かせください。

本社 中央コントロールセンター
センター長
佐藤 景氏

 セコムは1962年に日本初の警備保障会社として創業しました。「あらゆる不安のない社会の実現」を使命とし、1989年(平成元年)には、安全・安心で快適・便利なサービスを世の中に行き渡らせる「社会システム産業」を目指すことを宣言しました。「困った時はセコム」と言っていただける会社になれるよう、セキュリティ事業を中心に、防災、メディカル、地理空間情報サービス、BPO※・ICTなど、何ができるかを幅広く模索しながら事業を展開しています。(佐藤氏)

緊急性の高い電話だからこそ、安心して話をしてもらえるように

御社の電話応対の体制や特徴についてお聞かせください。

 セコムでは、一般的な問い合わせに対応するお客様サービスセンターに加えて、「管制員」と呼ばれるコントロールセンターの現場スタッフが電話応対をしています。管制員は、システムで異常信号を受信した際に警備員への対応指示を行うことを主な業務にしています。その際、お客さまに状況確認の電話をするのですが、中には緊急性の高いケースもあるので、状況を的確に把握することを心がけています。最初にお客さまを落ち着かせ、それから必要な情報を引き出して、次につなげていくことが私たちの役割です。(佐藤氏)

緊急時にお客さまの安全を守るため、電話応対で指導していることを教えてください。

神奈川本部
コントロールセンター
センター長
松山 徹氏

 頭の中でお客さまの状況や心情をイメージし、「予測通話をしなさい」と説いています。予測通話とは、自分たちの話をお客さまがどのように捉えるかを考えながら対応を進めるというものです。例えば、お客さまの安全確認をする中で「~ですか、~ますか」という口調を多用すると、詰問調になってしまいます。緊急時でも内容やイントネーションに十分注意して、お客さまを不安にさせないよう心がけています。また、ホームセキュリティのお客さまは比較的高齢の方が多いので、早口にならないようにも気をつけています。ただ、聴力の弱い方もいらっしゃるので遅すぎてもいけません。聞き取りやすい口調と声量で話をするよう指導しています。(松山氏)

電話応対が不得手なスタッフに対しては、どのように指導していますか。

 相手の気持ちを推し量ることが不得手な人には、最初は演技でもいいからお客さまが安心できるような口調で話したり、やや大げさな反応をしてみるように指導します。たとえ演技だったとしても、お客さまからよい反応をいただくと、良い応対とはどういうものか、どう伝えればお客さまに喜んでもらえるか、という気づきが生まれてくるのです。また、仕事となると、どうしてもサービス提供者の感覚になってしまうので、受け手の視点を持つことが大切だと伝えています。服を買うとき、食事をするとき、旅行のときなど、自分が顧客側になったときに「こういう応対をしてもらえるとありがたいな、うれしいな」という感覚があると思います。その感覚を忘れずに仕事に入ってほしいと思います。(松山氏)

電話の最後にお客さまから「ありがとう」の言葉をもらえる管制員を育てたい

電話応対に対するモットーを教えてください。

神奈川本部
コントロールセンター
管制員
福島 史織氏

 電話は顔が見えないので、お客さまの身になってお話しすることを心がけています。私たちにとっては多くの電話の一本であっても、お客さまからみると「一分の一の電話」なので、それがセコムの印象になると思っています。電話の最後に、お客さまから「ありがとう、安心できたよ」と言っていただけると、本当にこの仕事をしていて良かったと感じます。今、神奈川本部コントロールセンターの取り組みとして「ありがとう」の回数をカウントするというものがあるのですが、目に見えて分かると、とても嬉しい気持ちになります。(福島氏)

電話応対教育について取り組んでいることを教えてください。

本社ビル

 お客さまに接する時だけではなく仲間内でも、テクニックや言葉の丁寧さよりもハートが大事で、真心が伝わる応対をしなさいと常々指導しています。もちろん正しい言葉づかいも重要ですが、形にとらわれるよりも中身を意識してほしいと思っています。といっても、体系的な教育をしなければ、応対品質にバラつきがでるので、7~8年前から電話応対技能検定(もしもし検定)を活用するようになりました。(佐藤氏)

 もしもし検定を受けることによって、一般常識が身につくだけではなく、管制員に電話応対の大切さを気づかせるきっかけになったと思います。警備会社の社員として、お客さまに安全・安心を提供するだけではなく、期待を超えた感動の域にまで達するような応対ができる集団にしたいと思っています。最初は興奮していたお客さまが、こちらが冷静に話を聞き、同調することによって安心され、最後には「ありがとう」と言って電話を切られる。そういう応対ができる管制員を増やしていきたいですね。(松山氏)

コロナ以前と比べて「変わったな」ということがあれば教えてください。

 これまでは、何か警報が作動した際に、異常があるかどうかを確認するためにご自宅に入り、必要箇所を点検していました。コロナになってからは、「家の中には単独で入らないでほしい」というお客さまもいらっしゃいます。そういう場合は、外回りのみ確認してお客さまにご連絡し、必要に応じて在宅時に再点検するなど、お客さまのニーズや状況に応じて、臨機応変に対応することがより強く求められるようになりました。(福島氏)

全体研修ではなく、オンラインとローカルの研修を拡充させたい

最後に、今後の目標について教えてください。

 アフターコロナを見据えて、新たに加わる管制員の応対研修をどのように実施するかが課題です。コロナ以前は、人を集めて定期的に研修を行ったり、各コントロールセンターのキーパーソンを教育し、その人たちが現場に戻って学んだことを教えたりしていました。コロナ禍の今は、短時間のオンライン研修を月1回ペースで行っています。今後は、このオンライン研修を加速させると同時に、現場キーパーソンのレベルアップを図り、ローカルの集合研修を充実させたいと思っています。管制員全員が一か所に集まる研修ではなく、ITなども活用して地域ごとに研修内容の拡充を図りたいと思っています。(佐藤氏)

※BPO:Business Process Outsourcing(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)の略称で、企業が自社の業務プロセスをまとまった単位で継続的に外部の専門的な企業に委託すること。

会社名 セコム株式会社
創 業 1962年(昭和37年)7月7日
本社所在地 東京都渋谷区神宮前1丁目5番1号
資本金 664億円(2020年3月現在)
代表取締役社長 尾関 一郎
事業内容 セキュリティ事業、防災事業、メディカル事業、保険事業、地 理空間情報サービス事業、BPO・ICT 事業
URL https://www.secom.co.jp/

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