電話応対でCS向上事例
-中央出版株式会社-「電話応対技能検定(もしもし検定)」でコミュニケーション力を高め、お客さまのニーズを吸い上げて社内に発信したい
記事ID:C20006
未来を担う子どもたちの学習環境の整備を中心に、教育出版事業だけでなくPSS(Public・Solution・Support)に力を入れている中央出版株式会社。人材育成課として、中央出版グループの応対品質向上を担っている秋山 幸代氏にお話をうかがいました。
教育出版事業者から、世の中の課題解決をサポートするPSS事業者へ
事業概要について教えてください。
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人材育成課
係長
秋山 幸代氏当社は創業時より、教育図書や学習教材など一般家庭向けの教育出版事業を中心に事業を展開してきました。事業を通じてお子さまのいるご家庭と接する中で、数十年前に不登校の問題と直面したことをきっかけに、「世の中の課題を解決するお手伝い」をしたいという思いから、PSS(Public・Solution・Support)を経営テーマに掲げました。世の中の課題を解決するお手伝いをしながら、それをビジネス化し、社会に貢献したい。その志のもと、教育を中心とした事業から、多角的な事業へと進化しながら事業展開しています。
PSSについてもう少し詳しく教えてください。
PSSの中でも中核になるのは、子どもの成長をサポートすることです。未来を担う子どもたちの学習環境を整備することは、今後の日本において非常に大事なことではないでしょうか。これまで培ってきた教育事業のノウハウを活かして、民間の認可保育園や留学生を対象にした日本語学校、レゴ®ブロックを使って「ロボット製作×プログラミング」を学ぶ教室など、子どもたちの成長を広くサポートするような事業展開に力を入れています。
電話応対技能検定(もしもし検定)は電話応対だけでなく、コミュニケーション全般を学ぶことができる
御社の事業における顧客接点についてお聞かせください。
電話応対の様子
お客さまとの接点は営業が中心です。もちろんコールセンターの社員も、本部スタッフもお客さまと接していますが、採用直後は全員が関連会社の営業からスタートします。営業の現場でお客さまとやり取りすることで仕事の基礎や会社のあり方などを学び、その後で各部署に本配属されるシステムをとっています。コミュニケーションの基礎は営業活動から学んでいますが、電話になると勝手が変わります。対面ではお客さまとお話ができても、電話になると途端にどうしていいか分からない、という声が多かったので、もしもし検定に取り組むことになりました。
もしもし検定に取り組まれて、どのような成果がありましたか。
上司の命で、私が3級を取るところからスタートしたのですが、実際に研修を受けてみると衝撃を受けるほど役に立つと感じました。ビジネスマナーから始まり、名刺交換、言葉づかいや敬語がいかに重要かなど、改めて接客応対の基礎から勉強しました。とても新鮮な経験であり、こういった基礎知識がないと本来は営業に出ることもできないのだと実感しました。受講後は、先生から教わったことを試してみようと、コールセンターでの日々の電話応対で実践しました。もしもし検定は、ビジネスマナーのほかにもコミュニケーションスキル、メディエーション※1やカウンセリングも学べるので、電話応対だけでなく、社会人のコミュニケーション全般に役立つと感じています。その名称から電話応対に特化している検定だと誤解されてしまうので、もったいないなと思っています。
もしもし検定の企業内導入実施機関※2になったことで、外出できない人も受検できるように
御社は、もしもし検定の実施機関でもありますが、どのような経緯があったのでしょうか。
社員研修の様子
私が指導者級※3を取得したことがきっかけです。その前にコールセンターから人事部に異動して、社員研修に携わることが多くなりました。ビジネスマナー研修は、もしもし検定3級のテキストをベースに教えていたのですが、何年か経つうちに「もっと深く勉強したい、指導者級を取ったら研修の幅も広がるのではないか」と思うようになりました。実際に、指導者級に合格した時に、日本電信電話ユーザ協会の方から「実施機関になってみませんか」と勧められたので、2018年11月に実施機関登録をしました。弊社にはさまざまな家庭環境の従業員がおり、外出がままならない人も少なくないので、「社内で検定を受けられるのであればやってみたい」という女性を中心に、もしもし検定の受検希望者が増えました。
「もしもし検定」受検のモチベーションは何だと思いますか。
従業員は皆、漠然と言葉遣いや敬語が大事だと思ってはいるものの、自分に何が足りていないのか、それを補うために何をしたらいいのかわからないという状況だと思います。もしもし検定のように体系的な研修・検定の仕組みがあると、「これを学べばよいのだ」とわかり、目標につながります。実際に、受講後アンケートを取ると、「今までビジネスマナーの研修を受けたことがなかったので、ためになりました」、「何をすればいいかわからなかったけれど、受講したことで課題が見つかりました」という声が多くあがります。皆さん向上したい気持ちがあっても、何をすればいいかわからなかったのだな、と実感しています。
問い合わせに答えるだけでなく、顧客ニーズを吸い上げて改善提案につなげたい
今後の目標についてお聞かせください。
コールセンターでの応対は、お客さまとの最初の接点となるので、単に問い合わせに答えるだけでなく、お客さまのニーズをしっかりと吸い上げて社内に発信する、という役割を担っています。ただし、今のコールセンターは若手が中心なので、社内での発信力があまり強くなく、お客さまの声をヒアリングする力も不足しています。今後は、お客さまの「声にならない声」を聴き取り、それを課題としてまとめて、経営層に改善の提案をするなど、社内啓発ができるようになってほしいと思っています。もしもし検定の実施機関としては、コールセンター以外の部署や業務にも有効な研修だということをもっと認知してもらうよう努力しなければなりません。グループ内には関連企業が多いので、多くの人に研修や検定を受けてもらいたいですね。
最後に、御社が提唱するPSSとコールセンター業務の
つながりについて教えてください。
本社外観
弊社の関連企業に子どもの英会話教室を運営する会社があります。そこでは、レッスン内容や月謝、退会方法などの問い合わせが幅広くありますが、社内で電話応対をしていた時は日々の業務に追われて退会理由を把握できていませんでした。電話応対業務をコールセンターに移管したことで、退会理由のヒアリングをしっかりと行うようになり、改善策を教室側に提言できるようになりました。お客さまとの第一接点となるコールセンターは、退会理由の把握から退会抑止につなげることが重要な役割になってきています。また、それがさらに機能するようになると、既存ビジネスの活性化や新たな事業展開にもつながると思うので、お客さまの声をしっかりと吸い上げて、発信していきたいですね。
※1 メディエーション(mediation):裁判によらない、トラブル解決の手法の一つ。トラブルの当事者たちの間に第三者が立ち会い、当事者同士のコミュニケーションを復活させて、お互いの主張や思いへの理解を手助けすること。
※2 企業内導入実施機関:電話応対技能検定の実施機関登録をしている企業等の従業員に限定して検定を実施する機関のこと。
※3 指導者級:電話応対技能検定1級から3級の受検者に対する指導や検定実施時の試験官業務を担う資格。
会社名 | 中央出版株式会社 |
---|---|
創業 | 1972年(昭和47年)4月 |
本社所在地 | 愛知県名古屋市名東区一社4丁目165 |
代表取締役社長 | 前田 哲次 |
資本金 | 9,000万円 |
事業内容 | 出版事業、保育事業、教室サービス事業、人材育成事業 |
URL | http://www.chuoh.co.jp/ |
電話応対技能検定実施機関
中央出版株式会社
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