電話応対でCS向上事例
-穴吹エンタープライズ株式会社-
「全国大会を見てくれば」という上司の一言が、指導者への道しるべに
公開日:2020/05/25
香川県高松市に本拠を置く穴吹エンタープライズ株式会社は、ホテルや旅館の運営のほか、公の施設を民間が運営する「指定管理施設」を数多く手がけています。その施設の一つ、香川県県民ホールの電話応対への取り組みについてうかがいました。
事業概要について教えてください。
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▲取締役
公民連携(PPP)事業部長
三村 和馬氏弊社は不動産業を中心に人材サービス、建築など幅広いサービスをご提供する「あなぶきグループ」の一員で、ホテルや旅館、サービスエリア運営、公民連携事業を手がけております。こちらの香川県県民ホールは公民連携事業として、香川県から指定管理者の指定を受け、維持管理、運営を行っております。(三村氏)
公の施設を民間が管理するメリットについて教えてください。
住民福祉の向上と管理経費の縮減という、一見相反する目的を、民間が培ってきた経営のノウハウなどをもとに両立させることです。もちろんそうした運営は各種法令に基づくことが求められ、100%民間事業のように何でもできるわけではありません。しかしそうした制約の中で、お客さまに気持ち良くお使いいただける運営を実現することが、公民連携の醍醐味だと思っています。(三村氏)
お客さまの利用経験や目的を聞き出す力で、トラブルのない利用へ
ホールの運営と電話応対との関わりについて教えてください。
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▲香川県県民ホール
館長
米田 優氏施設の貸し出し、施設で行われる各種公演のチケット販売においては、電話がお客さまとの大切な接点となります。この県民ホールには大小のホールに加え、会議室、リハーサル室、練習室などがありますが、ご利用の手順はまずお電話で仮予約の後、書面による申請となります。チケットはインターネットやコンビニで発券できるものもありますが、ご年配のお客さまからはお電話によるお問い合わせが多くなっております。(米田氏)
そうした電話応対で特に配慮していることはありますか。
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▲公民連携(PPP)事業部
業務推進室
人財育成トレーナー
吉嶋 寛美氏“施設をお貸しする”という部分では民間のホテルなどと一見変わりません。しかし公の施設である当ホールは、ホテルに比べ利用料が安価である一方、会場設営や備品利用についてはお客さまのご協力が必要になり、ホテルのように「当日はすべて揃っている」というわけではないのです。そのため、お電話では「こうした公の施設をお使いになった経験」や「どんな用途でお使いになるのか」をきちんと把握することが求められます。(吉嶋氏)
お電話で「倉庫がここにあり、その倉庫に行けばあれとこれがあります」とお伝えしても、生返事できちんとご理解いただけない場合もあります。そのまま当日を迎えると、サポートのためスタッフの手が塞がり、業務への支障につながります。そうしたトラブルを回避するため、お話をうかがう段階で「そうした目的でしたら、以前お使いになった方はこのような備品を使われておりましたが、いかがでしょう」といった、こちらからの積極的なご提案も心がけております。(山田氏)
チケットについてはいかがでしょう。
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公演の内容、例えばコンサート、お芝居、落語によって、おすすめの席は異なります。お客さまのご希望をうかがいつつ、そうした席をおすすめし、お買い上げいただきます。この時自然な会話の流れの中で、キャンセルはできないとしっかりお伝えすることが重要となります。(吉嶋氏)
声がけでの電話応対コンクール参加から、全国大会出場、そして指導者へ
そうした電話応対の品質向上に、どのように取り組まれてきたか、教えてください。
私はかつてグループ内別会社のお客さま相談室におりました。その時お声がけがあり、電話応対コンクールに参加し、数年かけ全国大会に進みました。後押しになったのは、県大会で足踏みしていた時期に、「全国大会を見てくれば」と背中を押してくれた上司の存在です。その群馬の大会を見学後も、何が自分に足りないのか悩みました。しかし2カ月くらい経ってから「どんなスクリプトがあっても、一旦は頭をリセットし、電話の向こうから届く声を受け止め、それに真剣に応えること」が重要なのだと気づきました。それまでは「こう聞かれたらこう答える」と、勝手な流れを作っていたんです。そして翌年の大阪で、全国大会へ初出場しました。そこでいただいた電話応対技能検定(もしもし検定)3級がその後の道筋となりました。(吉嶋氏)
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▲公民連携(PPP)事業部
香川県県民ホール
文化事業課
山田 桂子氏現在指導者級資格保持者となった吉嶋は、県民ホールで業務していますが、籍は公民連携事業部という本部側にもあり、ホテルなどを含めた全社の電話応対教育を任せています。(三村氏)
吉嶋が県民ホールに来るまでは「自分は口が回るし、応対が得意だ」と思っていました。しかしその応対を肌で感じ、さらに全国大会のビデオを見せてもらったことで「お客さまが求めているのはすらすらした言葉ではなく、ゆっくりと、分かりやすい案内だ」と気づかされました。県大会で入賞できたのも、吉嶋の姿を自分のお手本にすることができたからだと思います。(山田氏)
社内全体でもしもし検定受検を支援し、さらなる指導者の育成へ
今後の展望について教えてください。
吉嶋がいること、それだけで県民ホールのオフィスでの電話応対の見本となり、応対品質を向上しなければというスタッフの共通認識が生まれています。この効果をさらに活かしていきたいと思います。(米田氏)
電話応対コンクール参加は、県大会での上位入賞、全国大会出場が目標ではありません。もちろん、その実現は嬉しいことですが、やはり電話応対コンクール参加に向けスタッフ全員が品質向上に励み、スキルを上げていくことに最大の価値があると思います。今後は弊社の社内コンクールの開催も視野に入れるとともに、また吉嶋に続く指導者を育てるため、もしもし検定受検者を積極的に支援する仕組み作りにも取り組んでいきたいと思います。また電話応対で培ったサービス品質を公民連携部門の公募提案で実績としてアピールし、事業拡大を目指していく所存です。(三村氏)

会社名 | 穴吹エンタープライズ株式会社 |
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設立 | 1987年(昭和62年)7月22日 |
本社所在地 | 香川県高松市磨屋町2-8 あなぶきセントラルビル4F |
代表取締役社長 | 冨岡 徹也 |
資本金 | 4,000万円 |
事業内容 | ホテル・旅館事業、スポーツ健康増進事業、サービスエリア事業、指定管理者事業、関連事業 |
URL | https://www.anabuki-enter.jp/ |
電話応対技能検定実施機関
穴吹エンタープライズ株式会
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