電話応対でCS向上事例

-加賀商工会議所-
高校在学中の電話応対技能検定(もしもし検定)受検で、電話応対と接遇マナーにおける即戦力を育成

少子高齢化の進む中、優秀な若年層人材の育成と確保は、地方経済の発展に不可欠です。石川県加賀市の加賀商工会議所は、市内の高校に生徒の電話応対技能検定(もしもし検定)4級受検を働きかけ、そうした課題解決に挑んでいます。

今回の取り組みの動機と内容を教えてください。

  • ▲事務局長 谷本 佳隆氏

     私ども加賀商工会議所は、少子高齢化、新社会人の市外流出が進む当地域において、地元産業界の振興や企業誘致の成否のカギを握る若年層人材の育成が急務であると考えております。そこで高校生を対象に、2010年度から国家資格取得や就職に必要な技能を身につける研修などへの補助事業「産業人材・後継者等育成事業」を行うことにしました。もしもし検定4級は2017年度からその事業の一つとして選ばれ、日本電信電話ユーザ協会とともに、大聖寺実業高等学校さま、加賀高等学校さまに、ぜひ参加してほしいと働きかけを行いました。(谷本氏)

今回、事業の対象となった両校では、この提案をどう受け止められましたか。

  • ▲石川県立大聖寺実業高等学校 教諭 谷内 洋之氏

     大聖寺実業高等学校では卒業生の大部分は就職を選びます。そうした背景から、電話応対をはじめとするコミュニケーション能力は卒業までに身につけるべき重要なスキルであると考え、指導を行っております。このご提案は、そうした学習を重ねた3年生が、スキルを最終確認する良い機会だと思いました。(谷内氏)

  • ▲石川県立加賀高等学校 進路指導課 課長 西口 靖彦氏 (2019年1月現在)

     加賀高等学校は2000年に普通科から総合学科となり、就職を選ぶ生徒が7割ほどいます。就職にあたっては工業高校、商業高校など在学中に資格を身につけた生徒と競合する形になります。これまでも英検、漢検などの受検を勧めてきましたが、これらの資格は受検料が比較的高いというのが悩ましいところでした。ご提案をいただき、「産業社会と人間」という授業に、もしもし検定のカリキュラムを取り入れ、1年生秋に4級を受検することにしました。(西口氏)

もしもし検定を導入されてどんな効果がありましたか。

 3年生になり、いよいよこれから就職活動という時期になっても、その実感がわかない生徒が少なからずいます。そうした生徒が、もしもし検定を受検することで、就職に向け身が引き締まり、かつ改めて資格の重要性に気づいてくれるというメリットがありました。(谷内氏)

 2017年度の導入時に過去問題を調べ、「これは1年生には難しいな」という思いがありました。思った通り、その年は合格者を出すことはできませんでしたが、それでも合格点まであと5点の65点を取った生徒もいて、目標を設定することで生徒のやる気を引き出せることが確認できました。またそうした効果は、その後の英検や漢検の積極的な受検にも結びついたと思っています。2年目の2018年度は、ホームルーム前5分間の朝学習をもしもし検定の対策にあて、過去問題集から生徒が興味を持ちそうな問題を選択し、理解を深めてもらいました。そうした取り組みもあり、4名の合格者を出すことができました。これは期待以上でした。(西口氏)

今後の目標について教えてください。

 コミュニケーション能力は、就職進学を問わず、絶対に必要になるスキルだと思っています。これまでは1年次のみの受検でしたが、2019年度は1年生に加え、1年次に合格できなかった生徒が2年次で再受検ができるようにカリキュラムを検討していきたいと思っています。(西口氏)

 学校単独でこうした研修に取り組もうと思っても、予算に加え、適切な講師選定など、さまざまな課題があります。今回は商工会議所とユーザ協会から信頼できる講師の方をお薦めいただき、学校はスケジュールを決めるだけだったので、本当に助かりました。これからも“実力の確認”という意味で、引き続き3年生の検定受検を進めていきたいと思います。また、西口先生からうかがった「朝学習」のお話は大変参考になりました。そういった形での学習も検討していきたいと思います。(谷内氏)

 「他人からの電話が苦手」という若手が増えている昨今、商工会議所としても、応対の知識を身につけた生徒が育ってくれることは、本当にありがたいと思っています。今後ともぜひご協力をお願いしたいと思います。(谷本氏)

もしもし検定を受検してみた感想

受検を終えた大聖寺実業高等学校の生徒に、もしもし検定の感想をうかがいました。

敬語の使い方に自信がつきました

  • ▲石川県立大聖寺実業高等学校 2018年度卒業生 長坂 美海氏

     学校で学んだ知識をきちんと活かすことができれば合格できると思っていましたが、やはり結果が出るまでは心配でした。知らない人との電話応対では緊張することが多く、また敬語の使い方にも不安がありますが、少し自信がついた気がします。特に難しいと思ったのは、電話での道案内です。相手がどこにいるのか、どっちに向かっているのかをイメージしながらご案内する必要性を感じました。4月からは社会人になり、お取引先からのさまざまなお電話に応対することになりますが、会社の顔として、心地よく、しっかりした応対ができるよう頑張りたいと思います。

自分自身の知識のおさらいができました

  • ▲石川県立大聖寺実業高等学校 2018年度卒業生 北川 結衣氏 組織概要

     受検に先立つ講義では、1年生、2年生のビジネスマナーの授業で学んだことがまとめて出てきた印象です。ただそのすべてをしっかり覚えていたわけではないので、ここでの改めての学びが、自分自身の知識のおさらいになりました。検定受検を通して感じたことは、見えない相手との電話は、対面以上に言葉のやり取りと内容に気をつかわなければならないということです。そして相手を不快にさせないためには、クッション言葉を適切に使うことが大事だということがよく分かりました。今回身につけた知識とスキルを活かし、お仕事を頑張りたいと思っています。

組織名 加賀商工会議所
設立 1969年(昭和44年)
所在地 石川県加賀市大聖寺菅生ロ17-3
会頭 新家 康三
事業内容 意見の公表・具申・建議(要望書)、相談(融資・税務・経営)、催し・講演・セミナーの開催、会員間交流の推進、証明・鑑定、調査研究、技術や技能の普及・検定試験の実施、取引の仲介・あっせん、行政情報の通知や普及、会報の発行
URL http://kagaworld.or.jp/

電話応対技能検定実施機関

公益財団法人日本電信電話ユーザ協会 石川支部

https://www.pi.jtua.or.jp/ishikawa/

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