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電話応対でCS向上事例

電話応対教育に必要とされるファシリテーション能力とは?

サービス業・その他

公開日:2019/03/26

優れた電話応対技能を習得する電話応対教育には、受講者同士で意見交換し相互作用を利用して集団の力を引き出す「ファシリテーション」能力も求められます。2019年1月に開催された「指導者級資格保持者のための品質向上研究会」では、日本ファシリテーション協会フェローの堀 公俊氏をお招きし、ファシリテーションについて学びました。

もしもし検定品質向上研究会レポート

 今回の品質向上研究会は、2019年1月11日(金)、電話応対技能検定(もしもし検定)の実技試験問題を用いたグループワークを行い、実技審査の平準化を図る目的で開催されたものです。品質向上研究会では、毎回、指導力の向上に役立てられるよう、特別講演を企画していますが、今回はファシリテーションについて学びました。

 堀氏は「ファシリテーションとは何か」というテーマから、講演を始めました。

 「ファシリテーションとは、一般的には『会議をうまく進める』という捉えられ方をしています。しかし、そもそもの意味は『促進する』『容易にする』というものです。つまり『人と人との相互作用を促進すること』がファシリテーションなのです。人と人とが話し合うと、互いに表情や反応で影響を受けます。例えば誰かの話をきっかけに、思わぬ方向に話が進むという経験が、皆さんにもあるでしょう。この“他人から刺激を受けることで、コミュニケーションが活発化する”という相互作用を利用して集団の力を引き出す手法が、ファシリテーションなのです」(堀氏)

コンテンツには立ち入らず、プロセス重視で学びを深める

  • ▲インストラクターとファシリテーターの違い

     続いて堀氏は、インストラクターとファシリテーターの違いを分かりやすく紹介します。

     「インストラクターが提供するのは『コンテンツ主導』の学び方です。インストラクターの持つ知識を参加者に授ける方法であり、未経験者にも分かりやすく、大人数での学びに効果的で、学習そのものも短時間で済む利点があります。反面、参加者の理解が表面上のものに留まると、せっかく習得した知識もすぐに忘れてしまいがちです。一方、ファシリテーターはコンテンツそのものには立ち入らず、話し合いのプロセスを舵取りし、参加者がそれぞれ考え、相互作用により学びを深めていくことをサポートします。参加者間で会話しながら学んでいくことで、他人の発言が刺激になって自身の考え方に変化が生まれたり、固定観念が崩れることもあります。そして、プロセスを重視する学びには単一の答えはありません。ただ、こうした深い学びから得た理解はしっかりと心に留まるのです。こうしたプロセス重視の学びは、ある程度経験を積んだ人がさらに学習する時に一層効果を発揮します」(堀氏)

ワークを通じファシリテーションの効果を参加者が実感

 このようにファシリテーションの基礎について紹介したのち、堀氏はファシリテーションを実践するワークを主導しました。

 最初は三人一組になり、一人が「人生の転機になった体験」「その時に発揮された自分の強み(自分らしさ)」を語り、残り二人は傾聴、応答スキルを使い、話者が話しやすいように務めるというワークです。これにより、気持ち良く話せる環境が、会話の促進につながることを体感します。

 次に行われたのが「人を育てるために本当に大切なことは何ですか」というテーマのもと、互いに問いかけ、問いかけられた人は自分の経験に基づき手短に話し、意見をやりとりするワークです。これは、話し過ぎないこと、違う意見を歓迎すること、意見をまとめず他人に譲ることを学びます。

 さらに「自分が抱えている問題を話し、残りの参加者がその解決策を考える」というワークでは、話者以外が「相談者の抱えている本当の問題は何か」「どうすれば解決に近づくか」を討論し、解決策を探ります。これは一人の問題を全体の問題として捉える考え方の醸成と、第三者によるアイデアが問題解決の意外なヒントになることを知るためのものです。

ファシリテーションを進めるヒントも披露し、2時間の講演を終了

 これら複数回のワークを行ううちに、参加者の意見交換はどんどん活発になり、時には堀氏があらかじめ指定した時間を過ぎても会話が弾み続けることもありました。意図しない他者の発言内容で笑いや驚きが生まれ、まさに堀氏の言う「相互作用により集団が活発化する」という現象が見てとれたのです。そして堀氏の講演に用意された2時間は瞬く間に過ぎ去りました。

 堀氏は最後に「ファシリテーションが講義になってしまわないための21のヒント」として、「平らで広い部屋を選ぶ」「椅子をインフォーマルな形に並べる」「バズ(3分ほどの雑談)を活用する」などを挙げ、講演を締めくくりました。

 内容の濃い講演、そして自らが参加し、実践したファシリテーションにより、参加者が行う電話応対教育に一層の厚みが増したのではないでしょうか。

参加者の声

ファシリテーションの相互作用を実体験できました。

学びの多いセミナーで、2時間があっという間に感じました。複数回のワークは、その度に別の人とパートナーを組んだことで、いろんなお仕事、さまざまな立場の方とお話ができてとても充実していました。また最初は仕事の話だったのに、気がつくとプライベートに踏み込んだ内容にもなっていて、堀先生のおっしゃる「相互作用による促進」が実体験できました。今回の体験をこれからの指導に役立てていきたいと思います。(参加者・女性)

この経験を、自分の仕事の幅を広げる段階で活用します。

堀先生のユーモアを交えた講義はお話し上手でとても面白かったと思います。人前で話をすることが多い私にとって、とても参考になりました。自分は「知識のない人にゼロから教える」ことが多く、先生のおっしゃる「参加者の議論を通じて何かを見つけ出す」という指導はまだ求められてはいないと思っています。しかし、そういう手法を学べたことは貴重な体験です。将来仕事の幅を広げていく段階では、ぜひ活用したいと思います。(参加者・女性)

ファシリテーターとしてもとても参考になりました。

実は自分もファシリテーションの資格を持っています。ただ今回、堀先生のお話をうかがえたことで、考え方のベースは同じながら別の見方、進め方に触れることができたと思います。特に分かりやすい語り口調、そしてこれだけの人数が参加した場で、言葉だけで人の心を引きつけ、ファシリテーションをうまく進めていく技量はすごく勉強になりました。これからの自分の活動にきっとプラスになるでしょう。(参加者・男性)

堀 公俊(ほり きみとし)氏

堀公俊事務所代表。組織コンサルタント。日本ファシリテーション協会フェロー。神戸市生まれ。大阪大学大学院工学研究科修了。大手精密機器メーカー勤務を経て、ファシリテーションの普及・啓発を目的としたNPO法人日本ファシリテーション協会を設立。

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