電話応対でCS向上事例
-シャープ特選工業株式会社-電話応対技能検定(もしもし検定)が障がいのある社員とのコミュニケーションを支援
雇用を通じて障がい者の自立を目指すシャープ特選工業株式会社は、電話応対技能検定(もしもし検定)2級を取得した社員が、障がい者とのより深いコミュニケーションを実現。働きやすい職場の実現に寄与しています。
御社の概要について教えてください。
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▲代表取締役社長
持永 恒弘氏弊社は、シャープ株式会社の創業者である早川徳次が1950年(昭和25年)に設立した合資会社特選金属工場をルーツとする会社です。早川は、養子に出され、恵まれぬ幼少期を過ごしましたが、近所に住む盲目のお婆さんの助言で奉公に出て、やがてシャープペンシルの特許を取得するなど事業家として成功します。その彼が、助けてもらった盲目のお婆さんへの恩返しのために、第二次大戦で失明した軍人のために設立した金属プレス加工工場が、戦後弊社につながる合資会社特選金属工場になるのです。設立時の従業員はすべて視覚障がい者で、経営から実作業に至るまで自立して行いました。(持永氏)
障がい者の働きやすい職場を実現するためコミュニケーションを重視
現在はどのような事業を手がけているのでしょうか。
弊社はその創業の志を受け継ぎ、障がい者の雇用を進め、1977年(昭和52年)には日本で最初の「特例子会社(障がい者の雇用の促進及び安定を図るため、障がい者の雇用に特別の配慮をした子会社)」の認定を受けました。現在も、聴覚、肢体、精神などの障がい者を含む社員が「自助自立」の行動指針のもとで働いています。現在の主な事業内容は半導体レーザーチップの加工、白物家電の電気部品組み立て、印刷業務などです。(持永氏)
そうした事業において、特に苦労されている点はどのようなところでしょうか。
従業員同士のコミュニケーションです。障がいのある社員が働く弊社の場合、一般の企業以上に、業務のあらゆる場面で、コミュニケーションが課題となります。(持永氏)
その課題についてより詳しく教えてください。
業務マニュアルを用意する場合でも、担当する従業員が知的障がいや発達障がいのある者の場合、手順をより細かく分解し、作業者がきちんと理解できる手順にする必要があります。また聴覚障がいのある従業員が働く現場では手話によるコミュニケーションが主体となりますが、手話では細かいニュアンスが伝わりにくいので、筆談も交えるという気配りが求められるのです。(持永氏)
そうしたコミュニケーションへの気配りが、目指すものは何ですか。
障がい者が、個々人の能力を活かし、長く働き続けることのできる職場の実現です。障がい者が働く現場でも、コミュニケーション不足がもたらす仕事への不満、人間関係は会社を辞める大きな要因となります。より長く勤めていただくためには、先ほど申し上げた「自助自立」ができる環境を会社がしっかり用意していくことが大切なのです。(持永氏)
「伝える技術は単に声だけのものではない」という新たな発見
御社にはもしもし検定を受検された従業員の方がいらっしゃるとのことです。そのいきさつを教えてください。
従業員と社長が業務改善などをテーマに話し合う個人面談で、総務課の社員が提案したことがきっかけです。私は以前、シャープのお客様相談室での勤務経験があり、検定については十分承知しておりましたので、理由を聞き、すぐに了承しました。(持永氏)
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▲管理部 総務課 課長
石垣 多佳子氏電話への苦手意識があった私の部下が、その克服のため、シャープが行う応対研修に参加しました。そこでもしもし検定の存在を知ったのです。同じく電話を苦手とする同僚と話し合い、二人で受検し、まず3級を取得、その後、2級にも合格しました。(石垣氏)
受検後、もしもし検定を受検された従業員の方の電話応対やコミュニケーションはどう変化しましたか。
彼女たちは、正しい言葉づかいや応対を学んだことで、電話への苦手意識はなくなり、これまでよりも積極的になれたと思います。また、彼女たちが検定を受けるにあたり私も一緒に勉強をさせてもらったのですが、障がいのある社員と、よりきめ細かなコミュニケーションがとれるようになりました。(石垣氏)
それは、どういった理由からでしょうか。
聴覚障がい者は、手話の手の動きだけでなく、話者の目の色や表情からも、その真意をくみ取ります。以前の私の手話は、そうした部分まで考えが届かず、単に“ 手を動かすだけ”でした。しかし、検定で自分の気持ちを伝えるコミュニケーションを学んだことで、声だけではなく、身体の動きや表情も取り入れるようにしました。こうした気づきは、聴覚以外の障がいのある社員とのコミュニケーションにも共通して役立つものだと思います。(石垣氏)
コミュニケーション能力の向上で仕事の価値そのものをさらに高く
会社として、これからもしもし検定受検をさらに勧めていくご予定はありますか。
石垣や検定を受けた者たちが手話も含めコミュニケーション能力を高めたことは評価しています。弊社では働きやすい職場実現のため、リーダークラスがサポーターとして職場を見守る「サポーター制度」を導入しています。コミュニケーション能力はこの役割に不可欠であることから、将来的にはもしもし検定を活用したサポーター育成もありうるでしょう。(持永氏)
今後の目標について、教えてください。
やはり社内のコミュニケーションをさらに濃く、質の高いものにしていくことが大切だと思います。メーカーには「不良品を出荷しない」という“市場品質”、「不良品を生産しない」という“工程品質”という考え方があります。個人的にはここに「しっかりとしたコミュニケーションでプラスワンの品質を実現し、CSを高める」という意味での“応対品質”を加えていきたいのです。そうした努力で仕事の価値をさらに高めていきたいと思います。(持永氏)
会社名 | シャープ特選工業株式会社 |
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創設 | 1950年(昭和25年) |
本社所在地 | 大阪府大阪市阿倍野区阪南町7丁目9番12号 |
代表取締役社長 | 持永 恒弘 |
資本金 | 1,000万円 |
事業内容 | 半導体レーザーチップの加工、白物家電の電気部品組み立て、印刷業務など |
URL | http://www.tokusen.sharp.co.jp/ |
電話応対技能検定実施機関
シャープ株式会社
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