電話応対でCS向上事例
-株式会社バンダイ-統括部門に電話応対技能検定(もしもし検定)を導入、コールセンターへの指導を適切化し、CSの向上へ
大手玩具メーカーの「バンダイ」はコールセンターの統括部門に「もしもし検定」を導入、「聞き取る力」の指導を通じ、CS向上を実現しています。
御社の事業内容、取扱商品などについて教えてください。
「1950年創業の弊社は、玩具を中心に、菓子・食品、子供用衣料、生活用品に至るまで、数多くのキャラクター製品を取り扱っております。特徴は取扱いアイテム数の多さと商品サイクルの早さです。年間7,000アイテムを超える製品を創出し、その多くは数か月から1年で販売が終了します。問い合わせを受け付ける『バンダイお客様相談センター』は、本社のプロダクトマネジメント部内に統括部門を置き、コールセンターと配送センターを外部委託しております。私どもは、この統括部門に在籍しております」(中田氏)
お問い合わせ内容を共有し生産・販売部門とも連携
コールセンターは、具体的にどのような役割を担っているのでしょうか。
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©BANDAI,WiZ
©やなせたかし/フレーベル館・TMS・NTV
©2001,2012 SANRIO Co.,LTD.「購入前のご相談から、購入後の遊び方のご案内、不具合の応対まで、製品のお問い合わせ全般を受け付けております。また私たちは単なるお問い合わせ窓口ではなく、その情報を社内にフィードバックする役割も担っております。お問い合わせ内容は個人情報を除いてすべて翌日には社内ポータルサイトに公開して共有し、製品開発・改善に役立てております」(中田氏)
「弊社のキャラクター製品は、人気のため『手に入らない』というお叱りをいただくこともあります。そのお問い合わせを受け、増産や、直販サイトでの抽選販売等の取り組みも行っております」(小島氏)
お問い合わせについては、どんなところに注意して応対されているのでしょうか。
「玩具やキャラクター製品としての特性上、利用者がお子さまで、お問い合わせされるのが親御さんというケースが少なくありません。こうした場合、不具合の確認ができましたら、まずはお子さまのご不満を解消するため、直ちに代替品をお送りしております」(中田氏)
客観的なオペレーター指導のため「もしもし検定」を導入
これまでのコールセンターの品質向上に向けての取り組みを教えてください。
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▲プロダクトマネジメント部
相談センターチーム リーダー
電話応対技能検定 指導者級
中田 京子氏「コールセンターのスタッフ教育は、長らく委託会社にお任せしていました。しかしここ数年、バンダイとしての応対品質のあり方を考えるようになりました」(小島氏)
「考える要因となったのは、オペレーターがお客さまとの応対の中で真意を掴みきれず、トラブルに発展するケースが多く見受けられるようになったことです。そこで、自分たちの応対の良し悪しを客観的に判断するため、多くのコールセンターが導入している『もしもし検定』の受検を始めました」(中田氏)
「また、技術面だけでなく、センター内のコミュニケーションも充実させました。従来の幹部のみを集めた月次会議だけでなく、週次で現場管理者の意見交換も積極的に行う会議も実施しました。互いに問題だと思う部分を洗い出した上でのディスカッションの機会を増やしたことが統括部門と委託会社の一体感を生みだしました」(小島氏)
「自分の頭で考える応対」でバンダイ製品への信頼性を醸成
統括部門への「もしもし検定」の導入は、現場にどう影響しましたか?
「導入後は、客観的な物差しで自分たちの応対を考えることができるようになりました。そして、これまでの『マニュアル優先』という考え方では、単に“交換応対係”になってしまったり、お客さまのご要望をきちんと聞かずに処理が先走り、最終的に『次もバンダイ製品を買いたい』というお気持ちを抱いてもらうことができないと、現場も含め、きちんと認識できました。お客さまの真意をとらえ、『もしもし検定』をベースとした“バンダイ品質”を創っていきたいと思います」(小島氏)
「委託会社内でも、自ら『もしもし検定』の取得をオペレーターに勧めるようになりました。指導する側も現場も同じ目線で応対を考えることで、スクリプトだけに頼らない応対品質の向上への取り組みが加速していると考えています。また、聞き取りの精度が上がったことにより、弊社では、テキストマイニング※を活用したお客さまの声分析を行っておりますが、その質の向上にも貢献しております」(中田氏)
さらなるCS向上と業績への貢献を
日本電信電話ユーザ協会への要望や今後の目標があれば、お聞かせください。
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▲プロダクトマネジメント部
相談センターチーム サブリーダー
小島 香織氏「電話応対の品質向上には『もしもし検定』のほか、日本電信電話ユーザ協会のさまざまな研修が役立っています。定期的に社内での異動がある統括部門で、内部だけの力で後継者を育てるのはとても困難です。参加を続けている『企業電話応対コンテスト』も含め、今後も協会の支援でより高いCSと業績への貢献に向けて歩んでいきたいです」(中田氏)
「今後の目標は、応対品質において、できたかできなかったかを判断し、採点するだけではなく、お客さまの行動と感情を図解にし、社内で共通言語とすることにより、お客さまへの理解を深める『カスタマージャーニーマップ』を導入していきたいと考えております。これにより、オペレーターはどうすればカスタマー・エクスペリエンスが向上するかを主眼において応対することができ、結果として、お客さまの次の購買につながります」(小島氏)
「教育は知れば知るほど奥が深く、これからも色々な試みを行っていきたいと考えております。これも、もしもし検定を通じて、基礎力をつけたからこそ分かったことです。しっかりした基礎の上に、“バンダイ品質”を構築してまいります」(中田氏)

▲“バンダイ品質”の応対を目指すコールセンター

会社名 | 株式会社バンダイ |
---|---|
設立 | 1950年(昭和25年)7月5日 |
所在地 | 東京都台東区駒形1-4-8 |
代表取締役社長 | 川口 勝 |
資本金 | 100億円 |
事業内容 | 玩具、菓子・食品、自販機用商品、カード、模型、アパレル、生活関連用品などの企画・製造・販売 |
URL | http://www.bandai.co.jp/ |
電話応対技能検定実施機関
有限会社カスタマーケアプラン
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