電話応対でCS向上事例
-新明和工業株式会社-現場のスタッフにも「電話応対技能検定(もしもし検定)」受検を拡大し、さらなるお客さま応対力の向上を
機械式駐車設備でも大きなシェアを持つ輸送機器メーカーの新明和工業株式会社は、「もしもし検定」をコールセンターにとどまらず、お客さま応対に幅広く活用しています。
御社の事業内容や沿革、コールセンターの目的について教えてください。
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▲パーキングシステム事業部
安全・CS部 お客様センタ
センタ長
井下 伸一氏「弊社は『川西航空機』を前身とする会社で、現在は飛行艇や民間航空機部品を製造する航空機事業、ゴミ収集車などの特装車を製造する特装車事業、機械式駐車設備の製造・保守・運営管理を行うパーキングシステム事業などを手がけています。コールセンターである『お客様センタ』はパーキングシステム事業部の傘下で、主に機械式駐車設備に関するお問い合わせやトラブルの連絡に対応しております」(井下氏)
顧客層の変化により専任コミュニケーターを導入
御社のパーキングシステム事業の成長と、電話応対品質との関わりについて教えてください。
「かつてはこうしたコールセンターはなく、各地の営業所でお問い合わせを受け付けていました。しかしバブル期に機械式駐車設備が急増したため、コールセンター機能を持つ『監視センタ』を設立、一括して受け付けることにしたのです。ただ、当時はお客さまとはBtoBでの関係がほとんどで、電話の多くが大規模商業施設やオフィスビルの駐車場の管理者さまが相手です。電話応対品質よりも機械の知識を重要視し、保守経験ある技術者が電話を受けていました」(植濃氏)
そうした受付体制が、現在のお客様センタに変わるきっかけは何だったのでしょうか。
「2000年前後から、一般の利用者さまが直接操作する機械式駐車設備の導入が拡大し、利用者さまから直接トラブルの電話をいただくケースが多くなってきました。ここで必要な情報を聞き出すためには、一定以上の応対技術が必要だということが分かったのです。まずは外部の講師を招き、研修を行ったのですが、当時は『機械のことが分かれば良い』という空気が支配的で、思うような成果を挙げることができませんでした。そこで最終的に、専任のコミュニケーターを集めたコールセンターの設置が決まったのです。設置にあたり、私と植濃は何カ所ものコールセンターを見学し、運営を勉強しました」(井下氏)
「商品知識」という壁に阻まれ組織の抜本的見直しを決断
そうしたコールセンターの設置、運営の過程で、苦労されたことはありますか。
「当初は派遣会社からコミュニケーターを手配し、そこから商品知識と応対技術にすぐれた人をSV(スーパーバイザー)にするという目論見でした。しかし実際に業務が始まると、機械式駐車設備の種類が多すぎることが高いハードルとなったのです。そこで体制を見直し、これまで電話応対していた技術者からSVを選ぶことにしました」(井下氏)
「SVを選出する基準を『もしもし検定』への合格としました。かつて技術者向けの電話応対研修が不調に終わった経験から、今回はSVの資質がある社員を選び、かつ“資格”という目標と、“自身がコミュニケーターを育成する”という目的意識を持たせることで、やる気を鼓舞しました」(植濃氏)
「有資格者が増え、社内の雰囲気にも変化が現れました。それまで『技術者に応対技術なんて』と言っていた社員も、有資格者の話術やビジネスマナーが変わったことで、その必要性に気づいたのです。有資格者という“重み”で、ほかの社員への助言や指導も素直に受け入れられるようになったと思います。2級保持者も出てきて、当初の目的どおり、複数名がSVとして指導にあたっています」(井下氏)
▲コミュニケーターは実際にパーキングシステムを目で見て学ぶ研修を受けます
現場技術者もお客様センタへ短期配属し「もしもし検定」受検を義務づけ
応対品質向上に向けて、組織や個人で取り組まれていることはありますか。
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▲パーキングシステム事業部
安全・CS部 部長
植濃 信介氏「トラブルの解決に必要な現場状況の把握ができているかどうか、ログをSVが確認し、必要に応じて指導しています。また外部講師による研修では、焦ったり、怒っていたりするお客さまから情報を聞き出すコツを学び、実践しています。さらに通話録音診断で基本的な応対品質もチェックしています。社内外での機械式駐車設備の見学会も行い、マニュアルだけでは身につきにくい商品知識の習得に取り組んでいます」(井下氏)
「また現場で保守を担当する技術者をお客様センタに4カ月間配属し、業務の流れを把握してもらうとともに、その間に『もしもし検定3級』の受検を義務づける制度を始めました。これは保守の現場での『応対』の質を上げるとともに、将来的に全社での応対品質向上を進める取り組みです」(植濃氏)
将来的には社内全体のお客さま応対品質向上へ
そのほか、将来に向けての目標などがあれば、お聞かせください。
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▲パーキングシステムと特装車についての問い合わせ応対をするお客様センタ。同フロアには技術者もおり、コミュニケーターとの即座の連携が可能です
「私たちはお客様センタを『お客さまに向き合う部署として、なくてはならない存在』にしたいと考えています。4カ月の短期配属から技術者が現場に戻ったことで『お客さまをより大切にしなければ』という手応えが伝わってきています。それが全社を通じた意識改革になればという気持ちです」(井下氏)
「昨年度はお客様センタが弊社の社長表彰を受賞しました。これは弊社トップが、お客様センタの未来に大きく期待していることの表れだと感じています。今はパーキング事業部に属するお客様センタですが、将来的に独立し、弊社のお客さま応対の最前線として、製品開発や売り上げにもつながる部署に成長させていきたいと思っています」(植濃氏)
会社名 | 新明和工業株式会社 |
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設立 | 1949年(昭和24年)11月5日 |
所在地 | 兵庫県宝塚市新明和町1-1 |
取締役社長 | 大西 良弘 |
資本金 | 159億8,196万7,991円(2015年3月末現在) |
事業内容 | 航空機、特装車、水中ポンプ等の製造 |
URL | http://www.shinmaywa.co.jp/ |
電話応対技能検定実施機関
有限会社カスタマーケアプラン
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