電話応対でCS向上事例

-拓南本社株式会社-
電話応対教育を起点に相手の立場で物事を考えられる人材を育成

記事ID:C20113

拓伸会(拓南グループ)は「拓鐵興琉(鉄鋼業を開拓して琉球の経済発展に貢献する)」という理念を掲げ、1953年に創業以降、郷土とともに成長を続けてきました。グループ会社の一つである拓南本社株式会社 総合企画部の上原氏と島袋氏に、電話応対教育への取り組みについてお聞きしました。

事業概要についてお聞かせください。

執行役員 総合企画部長
上原 康志氏

上原氏:拓伸会は、鉄の製造・販売、リサイクルを主とした企業グループです。沖縄県内には拓南本社のほか、電気炉メーカーとして鉄筋を製造・販売する拓南製鐵、総合リサイクル業の拓南商事、建設・製造業の拓南製作所とゴルフ練習場を運営する西原グリーンセンターの5社があり、沖縄県外に、資材購入を行う拓伸商事(大阪)、鉄筋を販売する拓伸商事(福岡)、鉄スクラップの収集・加工や各種鋼材の販売を行う薩南物産があります。そして、グループ各社の総務、財務、システム管理などの事務業務を行うのが私たちの所属する拓南本社で、グループ会社の一括採用も行っています。また、グループ企業を取りまとめる立場として、社員教育を推進する役割も担っています。

新入社員研修でビジネスマナーや接遇を教育

電話応対に関する課題とその対策について教えていただけますか。

総合企画部 課長代理
島袋 緑氏

島袋氏:電話応対の内容はグループ各社とも取引先とのやり取りがほとんどです。しかし、拓南商事では家電製品の処理に関する質問であったり、西原グリーンセンターでは営業時間や休業日の確認といった問い合わせであったりと、一般のかたからの様々な内容のお電話をいただきます。そうしたことをふまえて、社員教育を担当する当社では、新入社員研修の中で基礎的なビジネスマナーや接遇について教育しており、社会人としての心構えや名刺交換などに加え、電話によるコミュニケーションの取り方なども盛り込んでいます。特に電話応対は人との接点のある部署においては欠かすことのできない業務です。電話応対を学ぶことで、感じの良い接し方や相手が求めていることの理解の仕方などについて多くの気づきが得られますので、社員全員が電話応対スキルをしっかり身につけてほしいと考えています。

傾聴力の養成は応対スキルの向上にもつながる

電話応対コンクール(以下、コンクール)に取り組んだきっかけと経緯を教えてください。

傾聴など電話応対を学ぶことは、お客さまとの応対においても役立っている

島袋氏:電話応対教育の手段の一つとして、2024年に初めてコンクールへ取り組みました。グループトップから、電話応対の向上を図るうえで有益な取り組みであるとの推薦もあり、初年度は拓南本社から11名が参加し、県大会に7名出場しました。残念ながら入賞は叶いませんでしたが、重要なことを学ぶきっかけになりました。一般的な電話応対をしている私たちにとって、お客さま応対の専門部署で働く方々の話し方や言葉づかい、相手の要望の引き出し方は非常に参考になり、普段の業務では得られない経験をすることができました。そうしたことから、2025年は参加対象をグループ会社に広げ、沖縄県大会予選会に13名、鹿児島県大会(テープ審査)に3名が出場しました。4名が沖縄県大会に進出し、うち3名が優秀賞、新人賞、審査員特別賞を受賞する結果となりました。私は今回、教育プログラムやマニュアル作成のほか指導全般を担当しました。初めてのことで不安もありましたが、最終的に入賞者を出すことができ安堵しています。

電話応対の様子

 コンクールの一連の経緯ですが、5月にユーザ協会の主催するチャレンジセミナーへ参加し、同月末からは自社オリジナルの勉強会をスタートしました。勉強会では最初に、コンクールにグループを挙げて参加する目的を全員に共有しました。経営層の考えや私たちが考える拓伸会の目的への理解を深めた上で、電話応対の基礎についての学びを優先的に始めました。次に、コンクールの概要や問題を解説し、スクリプト作成や発声練習、録音やタイム測定などを伴うロールプレイングを中心に繰り返し練習しました。9月に入り、予選を通過した参加者に対しては大会までの2週間、連日練習時間を設けて頑張ってもらいました。私も前回出場した際に緊張した覚えがあったため、参加者が会場の雰囲気にのまれないよう、2日前からは観客ありの練習に切り替えました。競技後、参加メンバーからは社内でこうした取り組みがあって良かったという声を聞き、とても嬉しかったです。また、指導する立場として印象深いのはコンクールに挑戦した社員の大きな成長です。予選会から県の大会へ進むなかで表情が明るくなり、自信がついてきたことが分かりました。このような体験を経て、改めて電話応対教育の重要性を実感しています。傾聴力の養成は、応対スキルの向上につながることはもちろん、人としても大切な素養です。コンクールへの参加を通じて、電話応対の技能がどのような業務にも活用できる有用なものだと気づくことができました。

電話応対の様子

上原氏:私も2024年、2025年と連続で出場しました。昨年は何も分からない状態だったこともあり、沖縄県の大会もそれほど緊張することなく参加できましたが、今年は私以外の全員が初参加で私が皆を引っ張っていく立場だったこともあり、一気に緊張感が高まりました。ただ、本番は十分に力を出せたという実感もあり、結果として審査員特別賞を受賞することができました。やはり良い指導の下で、繰り返し練習を行った成果が出たのではと感じています。

電話応対の品質をグループ全体で底上げする

今後の目標について教えてください。

拓伸会で行われる新入社員研修。グループ各社から集まり、社会人の基礎となるビジネスマナーなどを学ぶ

島袋氏:電話応対について考え取り組むことは、相手の立場で物事を考える習慣を身につけることだとも言えます。そしてそのことは、周囲の人への接遇や営業活動など、ビジネス全般に必要な能力の向上につながると考えています。今回、グループ全体で電話応対教育に取り組んだことに対し、その後のアンケートでも「参加して良かった」という声が多く聞かれるなど嬉しい反応が出てきています。これを機に、電話応対の大切さに対する認識をさらに広げて、電話応対の品質をグループ全体で底上げしていけるよう努めます。

上原氏:リサイクルを生業とする企業グループとして、循環型社会の実現に向けてグループを挙げて取り組んでいます。また、製造業が少ないといわれる沖縄県において製造業を盛り上げ、地域の発展に貢献できるよう、事業を通した取り組みを続けていきます。

会社名 拓南本社株式会社
創立 1956年(昭和31年)5月
所在地 沖縄県那覇市壺川3丁目2番地4
代表取締役社長 古波津 昇
事業内容 グループ会社の事務受託業、不動産賃貸、保険代理店業
従業員数 53名(2025年9月現在)
URL https://www.takunan.co.jp/
〔ユーザ協会会員〕  

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