電話応対でCS向上事例
-株式会社K・ライズホールディングス-グローバルな視点から人・時代・社会に「必要とされる」企業であり続ける
記事ID:C20047

1992年(平成4年)に高知市で創業した株式会社K・ライズ ホールディングスは、経営理念に「人・財・共・育」を掲げ、時代とともに多岐にわたる事業を展開してきました。今回は、新入社員に向けた電話応対教育やコロナ禍での応対力向上の取り組みについて聞きました。
事業概要についてお聞かせください。

Keirise Group 人事・総務部
部長 吉本 美幸氏
吉本氏:Keirise Groupは、1992年(平成4年)に高知市でファイナンスの会社を創業しました。その後、ブランド品買取・販売事業、飲食事業、農機具買取・販売事業、不動産事業と、時代のニーズに合わせてさまざまな事業を展開してきました。Keirise Groupでは、人を大切にしています。それは「人・財・共・育」という経営理念にも表れており、「人財」は人が材料ではなく財(たから)であることを意味し、「共育」も教え育てるのではなく、共に育んでいくという考え方です。この考えに基づき、人と人とが助け合うことで事業が発展してきました。
電話やマスク越しなど顔が見えない応対こそ、声や目で表情を伝えることが大切
電話応対の体制と、応対教育で大切にしていることをお聞かせください。

Keirise Group 人事・総務部
藤森 陽子氏
藤森氏:お客さまからの電話問い合わせには店舗スタッフも対応していますので、社内研修では電話応対についても伝えています。電話応対の第一声は、業種を問わず第一印象を左右するものなので、研修の中でも特に重点を置いています。例えば、顔の表情は声にも表れるので、「第一声は笑顔、笑声で話すことが大事」と伝え、実際に「楽しい」という言葉を無表情で言うのと、笑顔で言うのとでは、相手が受ける声の印象がどのように違うのかを体感する場を設けています。また、電話では顔が見えないので、単に要望を聞くのではなく、より丁寧にお客さまの状況を傾聴する姿勢を持ちましょうと伝えています。座学で見聞きしているだけでは応対力は習得することができません。研修でロールプレイングを繰り返すことで、実際に店舗で電話応対をスムーズに行えるようにしています。
吉本氏:本番さながらの練習をしても、新入社員は電話に出ることに不安があります。そのため「フォローするから安心して応対してね」という声がけを大切にしています。また、電話応対は場数を踏まないとコツをつかみにくいものです。店舗ではフォローをする体制が整っていますので、経験の少ない社員が安心して電話に出られるようにしています。
コロナ禍を経て、応対教育に何か変化はありましたか。

店舗の接客風景
藤森氏:対面では、お客さまがマスクをつけているため、表情や感情が分かりにくくなりました。こちらも目元でしか表情を伝えることができないので、いつもよりも目尻を下げて笑顔にするなど、表情には気をつけています。また、マスクをしているからといって口元は無表情でいいということはありません。口角を上げると声のトーンも自然に上がりますので、マスクをしている時こそ、より表情を豊かにする必要があることを伝えています。
電話以外のツールでお客さま応対をすることもありますか。
吉本氏:会社や部署によって異なりますが、LINEを導入して対応しています。また、自動応答ができるチャットツールも使っていますが、解決しきれない場合は、スタッフが直接お客さまとやり取りをすることもあります。テキストのやり取りの難しい点は、表情が見えないことと、話し言葉とは違い「それ」「あれ」などの「こ・そ・あ・ど言葉」を使うとたちまち誤解が生じるということです。そのため、LINEなどでのやり取りが多い部門では通常の研修に加えて、テキストでの応対研修を取り入れる予定です。加えて、新入社員研修においても文章でのやり取りをテーマにしています。研修では、「文章は長すぎず何文字までにする」、「要点を簡潔にまとめる」など、どうすれば間違いが起こらないかを丁寧に伝えています。
藤森氏:チャットやメールの対応ではレスポンスの早さも重要です。問い合わせに気がついたら速やかに応対することがとても大切だと伝えています。それを意識することで、返信の途中で他の業務が入ったために返信を忘れてしまう、ということも防げるようになりました。
電話応対コンクールに向けた練習で、相手の要望を汲み取る配慮ができるようになった
電話応対コンクールに取り組まれたきっかけを教えてください。

研修の様子
吉本氏:自社だけで電話応対力の向上を図るには限界がありますので、電話応対コンクールに出場することで、ほかの企業の上手な方の技術を学ぼうと考えました。また、電話応対コンクールで受賞をすると、より多くの人に私たちの会社を知ってもらえるのではないかという思いもありました(笑)。すでに10年以上取り組んできましたが、受賞をすれば本人の自信にもつながりますし、電話応対コンクールを経験するだけでも、個人としてまた会社としての成長につながると思っています。
具体的に、どのような効果を感じていますか。

電話応対の様子
藤森氏:コンクールの課題設定は以前よりも細かくなり、より実用的になってきた印象があります。電話応対コンクールの問題は、文面から相手の状況を読み取り、その上で相手が何を求めているのかを聞き取り、3分以内に回答を簡潔に伝えなければなりません。その難しさを実感したと同時に、実践的な課題に取り組んだことで、お客さまのニーズを引き出し、汲み取るという気配りができるようになりました。日ごろの電話応対でも、相手がどんな方で、どのようなことを聞きたいのかは分かりません。電話応対コンクールに参加することで、一人ひとりの想像力、応用力が養われ、日々の応対力も上がってきたことを実感しています。また、コンクールに向けての練習で得られる学びが有意義だと思っています。日本電信電話ユーザー協会が開催する研修で集中的に学び、学んだことを持ち帰って社内でロールプレイングをしています。ロールプレイングは実際に社内の内線電話を使って、共に出場する社員や、過去に出場経験がある先輩社員に電話を受けてもらい、応対内容についてアドバイスをもらっています。他にも、自分の通話内容を録音して聞いて、自らが指摘するという取り組みもしています。こうした機会は日常の業務ではなかなかなく、電話応対コンクールに向けて学んだことは自分自身の力になるだけでなく、研修やOJTにも反映されており、会社全体の応対力向上につながっていると思います。
これまで培ってきた良い点を次世代に継承し、100年続く企業にしたい
最後に、今後の目標についてお聞かせください。
吉本氏:今年30周年の節目を機に、気持ちも新たに人と人とが共に育んでいく場をこれからももっと充実させながら、事業に取り組む所存です。中でも経営理念である「人・財・共・育」に力を入れ、AIが進む中で「人」だからこそできる細やかな心づかいを誰もができるように、自分たちが今まで培ってきた電話応対力や接客応対力を次の世代にも継承していきます。今後入社される従業員を含むすべての「Keirise Groupの社員」とともに、社会的価値の実現や向上に努め、高知から全国へ、全国から世界へ、100年続くような企業になることを目指してまいります。
-
経営理念と基本綱領

会社名 | 株式会社K・ライズホールディングス |
---|---|
創業 | 1992年(平成4年)11月 |
高知本社所在地 | 高知県高知市杉井流5-18 三井ビル2階 |
大阪本社所在地 | 大阪府大阪市中央区博労町3-5-1 御堂筋グランタワー17階 |
代表取締役社長 | 國澤 和人 |
事業内容 | 買取販売(ブランド品・アパレル・農機具)、質屋、飲食、ファ イナンス、不動産 |
URL | https://www.keirise.co.jp/ |
〔ユーザ協会会員〕 |
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