電話応対でCS向上事例
-南国殖産株式会社-従業員一人ひとりのコミュニケーションスキル向上が企業ブランドを高めることにつながる
記事ID:C20111
南国殖産株式会社は鹿児島市内に本社を置き、石油製品・建設資材・設備資材や情報通信機器などを取り扱う総合商社です。地域のお客さまの要望にお応えするための取り組みについてお聞きしました。
事業概要についてお聞かせください。
総務課 課長 田中 廣太氏
田中氏:南国殖産株式会社は1945年に創業し、現在、九州一円に子会社や関連会社を含め50社以上を有する企業グループを形成しています。「エネルギー」「建設資材」「情報通信」「機械設備」「再生可能エネルギー・電力」の五つの事業本部を柱として、地域に密着した事業を幅広く展開し、総合商社として時代の変化に柔軟に対応し、ニーズを先取りした商品やサービスを提供することを使命として企業活動を行っています。また、基本理念の一つである「人こそ財産」が示す通り、すべての従業員とその家族が心身ともに健康であることが企業の発展や地域貢献に欠かせない要素であると考え、グループ一体となり、健康増進や生産性向上、ワークライフバランスの向上などに積極的に取り組んでいます。
総合窓口としての役割を果たすために電話応対に関する課題とその対策について教えていただけますか。
電話応対の様子
田中氏:代表電話にかかってくる問い合わせは総務課が第一窓口として対応し、内容に応じてそれぞれの部署へ取り次いでいます。ただ、問い合わせ内容も多岐にわたるため、担当部署との連携や引継ぎが必要となります。担当部署へ引継ぐ際は迅速な対応も大切ですが、問い合わせ内容を具体的かつ正確に伝えることを心がけています。電話応対は単なる業務ではなく、会社の信頼と顧客満足度に直接的な影響を与える非常に重要な役割だと考えます。
総務課 係長 堀川 絵里香氏
堀川氏:スムーズな対応のための取り組みとして、私たちの課では、よくあるお問い合わせや各事業所・部署の状況、基本情報などを、日頃から共有するようにしています。例えば、「この事業所でこういったことがあったので、お客さまからご質問があるかもしれない」といった情報や、お客さまからのご指摘やご要望などを、事前に共有しています。こうした情報をあらかじめ把握しておくことで、スムーズに対応できる体制が整い、お客さまにも安心していただけると感じています。
取締役 常務執行役員
情報通信事業本部
中西 孝博氏
中西氏:電話応対は企業の印象を左右する重要なものですので、迅速かつ丁寧で正確な対応を目指し、各事業所でも従業員の教育に力を入れています。特に新入社員の教育では、接遇や用語、電話の受け方・かけ方などを教え、電話応対ではロールプレイングを取り入れています。私の所属する情報通信事業本部では、新入社員向け研修を毎月1回実施し、その中で電話応対を学ぶ場を設けています。
コンクールをきっかけに信頼感が深まる
電話応対コンクール(以下、コンクール)に取り組んだきっかけと経緯を教えてください。
代表電話への応対はすべて総務課のスタッフが窓口になり受け付けている
田中氏:現在、電話交換室はありませんが、かつて交換室があった頃から、コンクールに参加してきました。その伝統を受け継ぐかたちで、今では各事業部から選ばれた社員が数名、毎年挑戦しています。交換室がなくなった今も、こうした取り組みを通じて、対応力やコミュニケーション力の向上を目指しています。2025年は情報通信事業本部から3名、エネルギー事業部1名、総務課1名が予選に出場しました。今回、コンクールに臨む参加者と周囲の社員の様子を見ていてとても良いと感じることがありました。予選は録音審査のため、その練習が社内で開催されたのですが、それとは別に、周囲の人たちが出場者の練習に協力する姿が各部署で見られたのです。コンクールの練習を通して横のつながりができ、社員同士の信頼感が深まる様子を目にして、これは本当に良い取り組みだと実感しています。また、過去に出場した社員からは、「日頃の電話応対を見直すきっかけになった」「声のトーンや抑揚、相手に好感を持ってもらえる応対の仕方を改めて学ぶことができた」といった感想を聞いています。コンクール参加のためには練習に時間を割かなくてはならないなどハードルが高い面もありますが、だからこそチャレンジのし甲斐があるという、意欲のある社員が育っているのを感じ、心強く思っています。
中西氏:情報通信事業本部では、ドコモショップ25店舗の運営を行っています。店舗のスタッフは、コンクールへの参加はもちろん、年に1回開催される「ドコモショップスタッフ応対コンテスト」にも積極的に参加しています。これは全国の各地域を代表するドコモショップのスタッフが集まり、お客さまに満足いただける接客を競い合うコンテストです。情報通信事業本部では大会の半年前から準備に取りかかり、参加者は社内にある教育チームから過去の経験をもとにした訓練を受け、本番に臨みます。今年度は12~13店舗からコンテストに参加する予定です。こうした機会を活用し、お客さま応対に関する経験を個々が増やすことで、ニーズや質問の真意を汲み取るといったコミュニケーションスキルの向上を図ることができます。そうしたスタッフが増えることは、企業ブランドを高める効果があると感じています。
社員が挑戦しやすい雰囲気を醸成
今後の目標について教えてください。
田中氏:南国殖産グループ全体についてですが、2020年に10年間を見据えた中長期経営計画を発表しており、来期82期から、取り組んできた事業を進めて新たな成長、拡大を実現する、「Vision-Part Ⅱ」と呼ぶ後半5年に向かう時期になります。「企業力を、地域力に」をスローガンに、グループ全体がワンチームとなり、百年永続企業集団を目指して今後も取り組んでいきます。
総務課 神園 実玖氏
神園氏:7月に行われた予選の結果から、10月の鹿児島県大会出場に向けて、改善点や、よりレベルを上げるために、出場するメンバーと協力し合いながら、自身の電話応対スキル向上に努めたいと考えています。また、電話応対は日常業務の一つでもあるので、普段からより丁寧で正確な応対を身につけられるよう、練習に励みます。
堀川氏:今回県大会に出場するメンバー4名の支援が私の役目ですので、皆が自信を持って本番に挑めるよう、マンツーマンでやり取りするなど細やかなサポートを心がけています。コンクールの取り組みを通して私自身も多くの気づきがありました。予選でいただいたご指摘の中には、自分自身にも当てはまる点があり、日頃の応対を丁寧に行いたいと改めて感じています。
中西氏:コンクールにチャレンジし、そこで身につけたことを社内に還元し、日常業務に活かせるようにする。そのような状態が理想です。そのためにも、社員が挑戦しやすい雰囲気を醸成できるよう心がけていきます。
| 会社名 | 南国殖産株式会社 |
|---|---|
| 設立 | 1945年(昭和20年)3月 |
| 本社所在地 | 鹿児島県鹿児島市中央町18番地1 |
| 代表取締役社長 | 上野 総一郎 |
| 事業内容 | 建設資材事業、機械設備事業、情報通信事業、再生可能エネルギー・電力事業、エネルギー事業、不動産事業ほか |
| 従業員数 | 1,122名(2024年9月) |
| URL | https://www.nangoku.co.jp/ |
| 〔ユーザ協会会員〕 |
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