電話応対でCS向上事例

-株式会社コンシェルジュ-
電話応対技能検定(もしもし検定)の広範な導入を目指し資格保持者には毎月手当を支給

いずみ市民生協の実務を担当する株式会社コンシェルジュは、お客さまの気持ちに寄り添う応対を実現するため、電話応対技能検定(もしもし検定)を導入。さらに資格保持者には手当を支給し、仕事へのモチベーションを高めています。

事業概要について教えてください。

  • ▲取締役 サービス事業本部 コールセンター事業部・部長 植村 知佐子氏

     弊社は、大阪南部を活動エリアとする大阪いずみ市民生活協同組合(いずみ市民生協)のグループ会社です。いずみ市民生協は、組合員のための店舗運営、食品や日用雑貨などの宅配、ネット通販、さらにはガスや電気といったライフラインまで、幅広い事業を手がけており、私たちはいずみ市民生協の実働部隊として、店舗、物流、配送など、さまざまな業務を担当しています。この体制は、お客さまのニーズに応えていくためには各事業ごとのプロフェッショナル育成が不可欠であるという理由によるものです。従業員は現在約2,400名で、コールセンター事業部には約140名が所属し、お客さまに応対しています。(植村氏)

業務や商品知識の習得が優先され心のこもった応対がおろそかに

御社の事業と電話応対の関わりについて教えてください。

 かつて生協の宅配は、グループでまとめてご注文をいただき、代表者へお届けするグループ宅配が主流でしたが、時代の流れで、現在では個人別の宅配が主流です。コールセンターでは、加入を検討されている一般の消費者の問い合わせ、組合員の宅配、夕食のご注文、各種問い合わせなど、週あたり約2万件の電話に応対しています。(植村氏)

そうした電話応対について、どのような課題があったのでしょうか。

  • ▲サービス事業本部 コールセンター事業部 統括センター長 国本 東勲氏

     個人別配送が多くを占めるようになり、個人別配送もお留守宅にお届けする機会が増えたことから、生協と組合員との“人と人との直接の関わり”が少なくなってきています。私たちコールセンターは、こうした状況の変化の中、組合員が生協をより身近に感じていただき、スムーズにご利用いただくための架け橋になることが期待されています。(国本氏)

     ただ、かつての電話応対には、そうした気配りが行き届いていないところがありました。いずみ市民生協の業務範囲は広く、個別業務においても、例えば宅配では、週ごとに更新されるカタログに、SKU※レベルで4,200から4,500という、膨大なアイテムが掲載されます。そのため、コミュニケーターは個別のサービスの内容から個々の商品まで、膨大な知識を身につける必要がありました。弊社では新入社員がコミュニケーターとしてお客さまに応対するまで90時間の研修を義務づけていますが、研修の約9割が商品や業務についてのもので、応対品質について十分時間を取れていないという実情がありました。そのため組合員から「もっとこちらの心に寄り添った応対を心がけてほしい」というお叱りの声をいただくこともありました。(植村氏)

プロとなるために学ぶべきものを探しもしもし検定に出会う

具体的にどのようなお叱りをいただいたのでしょうか。

 例えばお届けした卵が割れていた場合、お客さまにとっての問題は「今日使いたい食材が使えないこと」です。こうしたクレームのお電話をいただいた時はまず不手際を心よりお詫びしなければなりません。しかし実際には解決を急ぐあまり、お詫びもそこそこに、研修で学んだマニュアルどおりの返金の手続きをご案内するといった対応が見られたのです。(国本氏)

 こうした応対品質の問題を解決しなければ、お客さま満足を高めることはできないと思いました。(植村氏)

どのような取り組みで、問題をクリアしようと考えたのでしょう。

  • ▲コールセンター事業部 管理グループ オペレーションマネージャー 中山 智江氏

     まずは私たち、コミュニケーターを指導する側がプロになるべきだと考え、そのために学ぶべきものは何か、そのためにはどのような研修や資格があるのかを調べました。そうして出会ったのが、もしもし検定でした。(中山氏)

     まずは私を含め数名が3級を受検。そしてその学習を進める中で、ビジネスマナーや敬語など、コールセンターを運営する上で当然知っておかなければならない知識が不足していたことに気づき、反省するとともに、こうした知識を広くコールセンター内に広めていくことの重要性を確信しました。しかしコミュニケーターに資格取得を促す上で「受けてください」とお願いするだけでは、効果も限定的です。そこで会社の経営層とも話し合い、資格を取得したコミュニケーターには月次の手当で相応の処遇を行うことも決めました。また高い応対技術を取得した人材がマネージャーとなり現場を離れてしまうことは、現場の品質保持の上でマイナスの効果を生んでしまいます。そこで現場に残りながらその技術に応じた待遇となるよう、人事制度も刷新いたしました。(植村氏)

もしもし検定導入で職場の空気は明るくなりプロ意識も向上

実際のコミュニケーターの受検状況はいかがでしょうか。

 希望者を募っての受検といたしましたが、こちらの予想を上回る数の希望者が集まりました。受検前に2日間にわたって行う任意参加の自主学習会にも、受検希望者のほぼ100%が参加しています。(植村氏)

導入後、コールセンターの応対にどのような効果が表れましたか。

  • ▲サービス事業本部 コールセンター事業部 サポートマネージャー 和田 里子氏

     弊社にいただく電話にはクレームも多く、もしもし検定導入前はそうしたクレームに「謝ることが仕事」と考えるコミュニケーターもいて、休憩室の空気などにそうした“負のオーラ”が漂っていました。そしてそうした事実が短期間での離職にもつながっていました。しかし、もしもし検定の導入以降はプロとしての自尊心が芽生え、お客さま応対を面白いと思うコミュニケーターが増えている手応えを感じています。これは弊社の目標である「生き生きと働き続けることのできる職場」の実現にもつながり、大変嬉しく思っています。(和田氏)

     合格者からは、検定に向けて勉強し、合格したことで、これまで知らなかったビジネスマナーや正しい言葉づかいが身についただけでなく、人としても当然知っておくべき知識を吸収し、成長できる価値ある体験だったという声も聞かれます。そしてそれが仕事へのモチベーションも高めています。(国本氏)

     コールセンター内にもしもし検定合格者の氏名を掲示していますが、これがプロ意識の向上にもつながっているようです。(中山氏)

お客さまの高い期待に応えるべくより一層の応対品質向上を

今後の目標について教えてください。

 現在私はコールセンターだけでなく、他部署の研修も担当しています。その目的は、社内全体のお客さまに向けたコミュニケーション力の向上です。これによりお客さま満足度が高まれば、クレーム対応などコールセンターの負担も軽減されるはずですから。(植村氏)

 生協へのお客さまの期待は、一般の通販などより一段高いところにあると感じています。応対品質を引き続き高めていき、そうしたご期待にお応えしたいと思っています。(国本氏)

ユーザ協会へ、要望はございますか。

 コールセンター業界は、それぞれの会社が課題を持ちつつも、それを共有できない“閉鎖性”のようなものがあると思っています。現場のコミュニケーターが何を学び、何を目指すのかが分かるような情報誌があれば、応対品質の向上の助けになるはずです。ご検討をお願いします。(植村氏)

※SKU:品番や名称などで管理される商品名よりもさらに細かく、色違い、サイズ違いなども別個にカウントする最小の管理単位のこと。

会社名 株式会社コンシェルジュ
設立 2004年(平成16年)4月1日
本社所在地 大阪府和泉市テクノステージ2-1-10(大阪いずみ市民生協内)
代表取締役社長 松本 英二
資本金 5,035万円
事業内容 店舗業務、宅配業務、物流業務、コールセンター業務、施設管理業務、エナジー事業
URL http://www.co-concie.com/

電話応対技能検定実施機関

株式会社コンシェルジュ

http://www.co-concie.com/

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