電話応対でCS向上コラム
第2回 ビジネス文書とビジネスメールの違いビジネス文書とビジネスメール、書いて伝えるコミュニケーション手段という共通点があり、名前は似ているけれど、型や書き方には違いがあります。ビジネス文書ではお馴染みの「拝啓」「敬具」などはメールでは使いません。見た目にも違いがあります。今回はこの二つを比較して、その違いを押さえましょう。
ビジネス文書の場合
ビジネス文書とビジネスメールは、その要素に大きな違いはありませんが、配置や表記が異なります。
ビジネス文書の場合、宛名(受信者名)は左に、名乗り(発信者名)は右に寄せ、件名は中央にそろえ、頭語と結語はセットで使い、時候の挨拶などを書きます。「記」と「以上」もセットで使います(【ビジネス文書の参考文面】参照)。
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▲【ビジネス文書の参考文面】
ビジネスメールの場合
ビジネスメールの場合は、「件名」の欄にメールの用件を簡潔に書きます。本文は左にそろえるのが基本で、書き始めで字下げはしません。一文字あけても、読み手の環境によってはスペースがつまって見えたりすることがあります。読み手が同じように見えているとは限らないため、原則左にそろえます。
書く内容は上から順に、宛名、挨拶、名乗り、要旨(メールを送った目的、伝えたいことの結論)、詳細(要旨の補足説明)、結びの挨拶、署名です。
宛名はビジネスメールもビジネス文書も同じで、誰に宛てたものかが一目で分かるように、名前を間違えることがないよう正確に書きましょう。
社外向けの挨拶は「お世話になっております。」が一般的で、ビジネス文書のような時候の挨拶は不要です(【ビジネスメールの参考文面】参照)。
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▲【ビジネスメールの参考文面】
メールが裁判の証拠になる時代
メールは使う環境さえ整えば場所や時間を問わずに使える手軽さゆえに、以前はビジネス文書に比べると簡易でくだけた手段、信用度が低いという印象がありました。しかし最近では、メールが公的な証明として使われたり、裁判の証拠とされたりするなど信用度は高まっています。
手段に優劣はありません。読み手と内容に応じてふさわしい手段を選び、使い分けることが大切です。ビジネス文書とビジネスメール、それぞれの特徴を理解し、構成を知り、活用しましょう。
次回は、ビジネスメールの件名の書き方について解説します。
直井 章子氏
一般社団法人日本ビジネスメール協会 株式会社アイ・コミュニケーション 専任講師。ビジネスメール教育の専門家。ビジネスメールの教育研修プログラムの開発、実態調査や検定試験に携わる。官公庁や企業などでのビジネスメールや文章に関する研修やセミナーでの講演回数は100回超。新聞や雑誌、ウェブ媒体などでの掲載多数。著書は『このフレーズが決め手!伝わるモノの書き方のコツ』(ナツメ社)など3冊。