電話応対でCS向上コラム

第17回 目的にあったメールを送る、返信のコツ

記事ID:C10010

メールの送信には「新規作成」「返信」「転送」の三つがあります。新規作成は一からメールを作成すること。返信は受け取ったメールに返事をすること。転送は受け取ったメールを第三者などほかへ送ること。今回は、返信のコツについて解説します。

返信するのは誰?

 メールを送りたい相手のメールアドレスを指定する欄には、TO(宛先)、CC、BCCの三つがあります。

 TOにはメールの送り先である、返信をもらいたい相手のメールアドレスを入れます。CCはカーボン・コピー(Carbon Copy)の略称で、複写を意味します。返信は求めず、同時に目を通してほしい人のメールアドレスをCCに入れます。TOとCCに入れたメールアドレスは、ほかの受信者にも表示されます。

 BCCはブラインド・カーボン・コピー(Blind Carbon Copy)の略称です。返信は求めず、同時に目を通してほしい人のメールアドレスを入れる点ではCCとBCCは似ています。しかし、BCCに入れたメールアドレスは、ほかの受信者には見えません。ほかの受信者にメールアドレスが表示されないように送りたい時にBCCを使います。

 このように、TO、CC、BCCは果たす役割が異なります。基準に従い、目的に応じて使い分ける必要があります。

 「返信するのはTOで受け取った人」、「CCとBCCで受け取った人は読むだけ」という共通の認識のもと、メールを使っています。

 例えば、送信者は直井、TOに山田さんのメールアドレスを入れて、CCには鈴木さんのメールアドレスを入れてメールを送るとしましょう。この時、返信するのは山田さんで、鈴木さんは返信せずメールを読むだけです。

 ここで、TOの山田さん、CCの鈴木さんのどちらが返信してもよいとすると責任の所在が曖昧となり、山田さんも鈴木さんも返信しないという事態を招きかねません。

 これらはメールにおける交通ルールのようなものです。TO、CC、BCCのどれにメールアドレスを入れてもメールを送ることはできますが、原則TOでメールを受け取った人が返信をします。

送信者へのみ「返信」と「全員に返信」

 返信には二つの方法があります。それは、送信者へのみ返信と全員に返信です。メールソフトには「返信」と「全員に返信」のボタンがあります。

 「返信」を押すと、メールを送ってきた相手に返信がいきます。例えば、送信者である直井が、TOに山田さんのメールアドレスを入れてメールを送ったとします。このメールを受け取った山田さんが直井に返信をします。一対一のやりとりは当事者がはっきりしているので迷うことはないでしょう。

 送信者である直井が、TOに山田さんのメールアドレスを入れて、CCには鈴木さんのメールアドレスを入れてメールを送った時、TOの山田さんが「返信」を押すと直井だけに返信が届きます。CCに入っていた鈴木さんには返信が届きません。

 ここで、TOの山田さんが「全員に返信」を押すと、送信者である直井だけでなく、CCに入っている鈴木さんにも同時に返信が届きます。

 このように、返信時に押すボタンによって返信先が異なります。原則、TOでメールを受け取った人が返信する時、TOやCCでメールを受け取っている人が自分以外にもいるなら「全員に返信」を押します。ここで「返信」を押すと、メールを送ってきた人には返信が届きますが、自分以外のメールを受け取っている人には返事が届かず、共有もれが起きてしまうからです。メールの送り主は必要だから共有しているので、返信する時も、その意向に沿うようにします。

 もし、返信する際に、自分以外のTOやCCでメールを受け取っている人を返信先に含めて共有していいか疑問や不安を抱く場合は、メールの送り主に共有の意図を確認してからでもよいでしょう。

 TOでメールを受け取った人が返信できない時、代わりに返信することが求められる時は、CCでメールを受け取った人が返信することもあります。その時は一言そえると丁寧です。「山田に代わりお返事します」など一言あるとバトンタッチしたことが分かるからです。不在のため、外出中のためといった理由まで書くかどうかは状況によります。「なぜCCのあなたが返信しているの?」という疑問を抱かせないようにします。

 次回は返信の二つのスタイル(全文引用・部分引用)について解説します。

直井 章子氏

一般社団法人日本ビジネスメール協会 株式会社アイ・コミュニケーション 専任講師。ビジネスメール教育の専門家。ビジネスメールの教育研修プログラムの開発、実態調査や検定試験に携わる。官公庁や企業などでのビジネスメールや文章に関する研修やセミナーでの講演回数は100回超。新聞や雑誌、ウェブ媒体などでの掲載多数。著書は『このフレーズが決め手!伝わるモノの書き方のコツ』(ナツメ社)など3冊。

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