電話応対でCS向上コラム

第15回 デスクトップ通知は今すぐ解除

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メールを受信したらすぐに返信をする「即レス」。速さにこだわりすぎると、かえって時間が奪われ、結果的に時間がかかってしまうことがあります。今回は、デスクトップ通知が引き起こす、即レスの問題について解説します。

1日(24時間)以内に返信を

 メールを受信してから返信するまでの時間は、1日(24時間)以内が一つの目安になり、評価を高めたければ4時間以内が目標になります。未処理のメールがあると仕事を溜めているのと同じなので、目につく度に「あれもしなければ」「これもできていない」と焦りが募ります。できるだけ早くメールを手放したほうが楽になることは言うまでもありません。速い返信は仕事が速いという評価につながることもあるので、スピードを意識している人は多いでしょう。

 話しかけられたらその場で答え、電話がかかってきたらその時に出るのと同じように、メールも受信したら間を空けずに返事をするのを心がけている人もいるでしょう。1分でも1秒でも早く返信したほうがいい緊急の用事は、すぐに返信することが求められます。ただ、四六時中メールのことを考えて対応すべきというものではありません。

デスクトップ通知に注意

 即レスをするために、デスクトップ通知を有効にしていませんか。メールが届いたら、その件名がモニターの右下などに表示されるように設定するデスクトップ通知が、即レスの問題を引き起こすことがあります。

 メールが届いた瞬間に用件を知るのには便利ですが、作業中であれば目に入った通知が頭に残り、集中は途切れてしまいます。

 例えば、パソコンで見積書を作成している時に、メールが届いたとしましょう。デスクトップ通知が目に入った瞬間、メールが気になって仕方がない。見積書の作成を中断してメールを確認したところ、急ぎの用件ではなかった。今すぐに返信する必要はないけれど、確認したついでに返事をしておこうとメールを書き始めて数分が経過。返信してすっきりした頃には、さっきまで何をやっていたのか忘れている。思い出して見積書の作成を再開しても、数字に間違いがないかを始めに戻ってから確認して、結局同じことを2回作業していた。見積書を完成してからメールを確認しても遅くはなかったのに―。そのようなことを繰り返していれば、仕事の効率は悪くなるばかりです。

 デスクトップ通知が視野に入っても集中は途切れない、メールに仕事の主導権を握られたりはしないのであれば、問題はありません。でも、メールに振り回されている感覚を一度でも覚えたことがあるなら、デスクトップ通知の設定を見直す必要があります。

メールは処理できる時に確認する

 メールをやり取りして仕事を進めることは多いので、返信が遅くなれば、その分だけ仕事を止めることにもなりかねません。相手に迷惑をかけてしまうこともあるでしょう。間を空けずに返信することは、相手を待たせない迅速な対応として好感が持てます。すぐに返事がきて相手は喜ぶかもしれません。

 でも、そこまでの速さを求めていないかもしれません。互いに都合や事情があり、常にすぐに返信ができる状況にあるわけではないことを分かっているからです。

 メールを確認するのは、メールを処理するのに適した瞬間に。つまり、業務の合間の切りのよい瞬間に行います。メール対応がメイン業務である場合を除いて、デスクワーク中心の人でも1時間に1回くらいメールを確認すれば十分でしょう。それでは業務に支障をきたすことがあれば、急ぎの場合は声をかけるルールにすれば補えます。メールを確認する頻度を低くして、まとめて処理すれば、費やす時間は短くなります。

 次回は、効果的な即レスについて解説します。

直井 章子氏

一般社団法人日本ビジネスメール協会 株式会社アイ・コミュニケーション 専任講師。ビジネスメール教育の専門家。ビジネスメールの教育研修プログラムの開発、実態調査や検定試験に携わる。官公庁や企業などでのビジネスメールや文章に関する研修やセミナーでの講演回数は100回超。新聞や雑誌、ウェブ媒体などでの掲載多数。著書は『このフレーズが決め手!伝わるモノの書き方のコツ』(ナツメ社)など3冊。

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