電話応対でCS向上コラム

-オフィスまろ-
第64回 カレンダーの落とし穴

記事ID:C10108

嬉しいお誘い

 講師の仕事を始めてまだ日が浅い頃のことです。ある会社の支店長さんから、「社員育成のため県外から定期的にキャリアコンサルタントに来てもらっている」とお聞きしました。私が女性のキャリア支援に興味を持っていることをお話しすると、「コンサルの先生がいらした時には、いつも懇親会をしていますから、次回、比嘉さんもお呼びしますよ。場所と時間が決まったら総務の者から電話させます」と、嬉しいお声がけをいただきました。
 それから半月ほど経った頃、その総務の方から電話をいただきました。私は懇親会の日時と場所をしっかりと聞いて、復唱しました。
 「◯月18日▲曜日、午後6時、場所は***ですね?」
 「はい、そうです。ではお待ちしております」
 私は手帳とカレンダーに予定を書き入れ、懇親会を楽しみにしていました。

しっかり聞いたはずだったのに…

 それからしばらく経ったある日の夕方、自宅で夕食を作っていると携帯電話が鳴りました。先日電話をいただいた総務の方からです。
 「比嘉さん、どうなさいました?皆さんお待ちですよ。時間を過ぎてもお見えにならないので、皆さん心配していらっしゃいます」
 私は慌てて壁のカレンダーを見ました。今日は11日です。
 「え?懇親会は18日ですよね?そうお聞きしました」
 「いいえ、私は11日と、ちゃんと申し上げましたよ」
 カレンダーをもう一度見ました。11日と18日は同じ曜日。7日ごとに曜日が巡るのですから当たり前です。私は呆気にとられました。
 数字の聞き間違いを防ぐ意味も込めて曜日を確認したつもりが、まさかこんな落とし穴があったなんて。時刻は約束の午後6時を15分ほど過ぎていました。これから急いでうかがい、自分の聞き間違いから起きたミスと、ご心配をおかけしたことを皆さんにお詫びしようと思いました。しかし、感染症の影響なのか、朝から瞼が岩のように腫れ上がっていたため、遠慮したほうが良いだろうと思い直しました。事情をお話しすると、「そうですか。分かりました。大丈夫ですよ。また次回がありますから」と優しくおっしゃってくださいました。

ミスを繰り返さないために

 いったいどうすれば聞き間違いをせずに済んだのか。電話を切った後、悶々と考え続けました。メールを送る間柄であれば、確認のメールを送る手もあります。しかし私は総務の方とお話ししたのはあの電話が初めてで、メールアドレスも知りませんでした。ようやく考えついたのは、「◯月18日、第3▲曜日ですね」「11日、第2▲曜日ですね」などと復唱の際につけ加えることです。
 その後、残念ながら再度のお誘いはありませんでした。私は研修で復唱の重要性を伝えながら、この失敗談を活用しています。

比嘉 辰子氏

オフィスまろ代表。企業や学校などでマナーや電話応対の研修、キャリアコンサルティングなどに従事。電話応対技能検定(もしもし検定)や毎年の電話応対コンクールでは、その人の力を引き出す指導を目指している。電話応対技能検定指導者級資格保持者(16期生)、国家資格キャリアコンサルタント。

「次回の講師は、offre M's(オッフルエム)主宰の田原 美晴さんです。初めてお会いしたのは指導者級ワークショップの受付でした。明るい声、優しい笑顔、相手への心配り、包まれるような温もりに感激しました。美晴さんの研修は、そのあたたかなお人柄が受講生の皆さんに伝播していると評判です。

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