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電話応対でCS向上コラム

第77回「新型コロナウイルスと電話」

人間とウイルスの未曽有の戦いが続いています。中国に始まった感染報道は、あっという間にイタリア、スペイン、フランスなどヨーロッパ諸国に広がり、アジアの国々、アメリカ合衆国、遠く中南米、中東、アフリカの国々をも巻き込んでパンデミックとなりました。特に医療、経済の混乱は世界中を震撼させています。日々変化する情勢の中で、素人がこの問題に触れる難しさはありますが、あえて、コロナ禍に揺れる今の電話応対について考えます。この稿が載る7月には、情勢が少しでも前向きに変わることを期待して。

激増するテレワーク

 企業でのテレワークが激増しています。皆さんの職場でも、交代での在宅勤務が常態化し、不安な日々をお過ごしの人も少なくないでしょう。打ち合わせも会議も商談も、新入社員の研修までもオンラインに切り替わっているのです。直近のある調査では、日常のコミュニケーションがなくなって孤立感に悩む人が増え、業務に支障が出始めているそうです。

 先の見えない緊急事態宣言が休業・廃業を呼び、ぎりぎりで生きる生活困窮世帯も増えています。長引く学校の休校も大きな問題です。子どもたちの学力を落さないようにと、手作りの教育動画を配信する先生方の懸命の努力も報じられています。

 皆さんが関わる電話応対技能検定(もしもし検定)、電話応対コンクール、企業電話応対コンテストなど電話関連の事業にも、すでにさまざまな影響が出ていることと思います。

 医療に、経済に、暮らしに、教育に、スポーツに、文化に、この先私たちは、経験したことのないさまざまな困難に出会う覚悟をしておかなければならないでしょう。

苦悩する首脳たちの メッセージ

 新型コロナウイルスには、今のところワクチンも治療薬もなく、重症化すればそのまま死に至るという恐怖があります。それぞれの国の対応は、国情や民族性などによって、当然違うでしょうし、報道の姿勢、国民の反応や行動もまた違います。それらの情報の中で、特に私が関心を持ったことの一つに、国民に向けた各国のトップたちのメッセージがあります。当初、中国についで感染者が激増したヨーロッパ。その中でも、対応が早かったドイツのメルケル首相の発言は出色でした。

「互いに距離を保ち、握手をせず、それでも人を孤独にさせないように、電話やメールで愛情や友情を示して欲しい」

 メルケルさんは、単なる上から目線の通達ではなく、日本でいうところの「三つの密」を避けるようにという重要なメッセージを、簡潔な言葉でしっかり伝えています。その上でメルケルさんは、「人を孤独にさせないように、電話やメールで、愛情や友情を示して欲しい」と、語りかけているのです。首相としての責任感と民への愛情が胸を打ちます。

電話をかけよう!

 全国に緊急事態宣言が発せられた4月16日。私は、長くご無沙汰している二人の旧友に電話をしました。一人は16年ぶり、もう一人は23年ぶりの友です。どちらも特に用事があったわけではありません。あえて言えば、数日前に聞いたメルケルさんの言葉が心に残っていたからでしょう。二人の友人は、こちらが恐縮するぐらい喜んでくれました。「よく電話くれたね。嬉しかったよ。ほんとに有難う!」 二人とも何度も何度も繰り返し礼を言ってくれました。その翌日、私はまた一人の旧友に電話をしました。中1日おいて、3日目にまた別の一人にかけました。反応は同じでした。昔と同じ懐かしい声で、昔よりずっと饒舌に、「コロナが収まったらぜひ会おうよ」と積極的に誘ってくれたのです。

電話が心をつなぐ!

 コロナはいつか必ず収束します。しかしその後の働き方は大きく変わるでしょう。常態化したテレワークは人と人との距離を遠ざけます。雑談すらできない無言社会は進行し、心を病む人が増えるでしょう。それを救う道はただ一つ、電話での会話なのです。

 若者は電話を嫌います。確かにラインやツイッターのほうが面倒がないのかもしれません。しかし、電話の声には「情」があります。思いがあります。遠い日の記憶も蘇らせてくれるのです。若者は電話で会話力を身につけてください。高齢者は思い出話で脳を若返らせてください。AIの時代、忘れてはならない電話の持つ力です。

岡部 達昭氏

日本電信電話ユーザ協会電話応対技能検定 専門委員。
NHKアナウンサー、(財)NHK放送研修センター理事、日本語センター長を経て現在は企業、自治体の研修講演などを担当する。「心をつかむコミュニケーション」を基本に、言葉と非言語表現力の研究を行っている。

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