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電話応対でCS向上コラム

第39回「AI時代の電話応対の行方?」

もしもし検定の実技指導やコンクールの指導が盛り上がる中で、今、電話応対が変革の時を迎えているという意識が、皆さんの中に広がりつつあるようです。前回の「自然に話すということ」への反響がかなりありました。続編へのご要望もいただきましたが、今回は、続編を意識しつつ、岐路に立つ電話応対について考えます。

電話応対はなくなるのか

この10年で、電話応対を取り巻く社会状況は激変しました。遠い先の夢物語と思っていた「ロボットとの共棲社会」に、私たちは既に立たされているのです。ロボット学会が誕生し、ロボット専門店が現れ、ロボットホテルやロボットレストランなどは外国人観光客の人気スポットにまでなっているそうです。一方で、AI(人工知能)の進化は、暮らしだけでなく、企業形態まで変え始めています。私たちの電話応対も、今、その渦中にあって存在を問われているのです。2013年にオックスフォード大学の研究者が書いた「雇用の未来―コンピューター化によって仕事は失われるのか」という論文が話題になりました。そこには、10年~20年以内にコンピューターやロボットに仕事を「奪われそうな」職種のランキングが載っています。その第1位に「電話による営業の仕事」が99%の確率で上げられているのです。

ロボットには任せられない

論文では、各職種のそのことへの対応の遅れも指摘されていました。電話応対の世界に、高度な音声認識能力と表現力を備えたロボットが現れるのは、もう直近のことでしょう。そして彼ら(?)は、皆さんや皆さんの先輩が、営々として守ってきた「迅速、正確、簡潔、丁寧」の電話応対4原則を、いとも簡単に実現させるでしょう。では、彼らに侵されることのない電話応対力とは何か、そのことを、今真剣に考える必要があります。私見を申し上げれば、それは「心の聴きとり」であり、「心の伝達」だと思います。

今も続く「昭和のビジネストーク」

私が電話応対教育に関わりを持ち始めたのは平成5年からです。それから3年半を掛けて、3,200人のプロの応対者のマンツーマン指導をしました。それが私の原点になりました。その経験から、どう話すかの前に、どう聞くか、何を話すかの判断力を鍛えることが如何に大事かを確信しました。それから20年、電話を取り巻く環境は大きく変わりました。しかし電話応対は、「昭和のビジネストーク」、「昭和の応対スキル」と較べて変ったでしょうか。つい先日、たまたま40年前の電話応対教育のテキストを見つけました。それを見る限り、当時の教育と今の教育とは、ほとんど変わっていないのです。その基本には、昭和の電話応対指導を支え、今も生きている「迅速、正確、簡潔、丁寧」の4原則があるのです。「偉大なるマンネリズム」という言葉があるにしても、電話応対教育は、このままAI時代を迎えてよいのでしょうか?電話応対は今大きな変革を迫られているのです。

電話応対をどう守るか

イギリスの名門オックスフォード大学には、オックスフォード・アクセントと呼ばれる独特の話し方指導のメソッドがあって、上級生が新入生にそれを教え継ぐのだそうです。そこでは訥々と、半分どもりながら話す話し方を良しとし、立て板に水のような流暢な話し方は軽べつされるのだと、外山 滋比古さんが書いています。言葉を大切にするイギリスの伝統が生み出した特別なしつけだとしても、考えさせられました。

今の日本の電話応対教育は、正しいことば遣いで、きれいな声で、淀みなく流暢に、テキパキ話すのを良しとしています。でも本当にそれがお客様ニーズの第一なのでしょうか。それはロボットに任せましょう。人間が話す電話応対は①上手でなくてもいいのです。誠実であればいいのです。②どう話すかより、どう聞いて、何を話すかを判断する力の方が大事です。そして③コンピューターやロボットには真似のできない「心を届ける高度な音声表現力」を身につけるのです。それはすべて、自然な会話に戻ることに始まるでしょう。

岡部 達昭氏

日本電信電話ユーザ協会電話応対技能検定 専門委員会委員長。
NHKアナウンサー、(財)NHK放送研修センター理事、日本語センター長を経て現在は企業、自治体の研修講演などを担当する。「心をつかむコミュニケーション」を基本に、言葉と非言語表現力の研究を行っている。

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