電話応対でCS向上コラム

第36回「雑談上手になろう!」③

前回の「雑談上手になろう!」の第2回は思った以上に好評でした。「雑談って軽く考えていたけど深いですね」「これからは意識して雑談のネタを増やします」など嬉しい決意も聞きました。今回はとっさのときに役立つ雑談の材料の選び方についてお話しします。

きっかけは天気と直近のニュース

雑談には、あらかじめ準備しておく雑談と、その場の流れで進む雑談があります。初対面で、しかも先方が口数が少ない人だと、座が持たず困ることがありますね。

常識的なパターンで言えば、通常はその日の天気が最初の話題になります。週間予報も含めて、気象情報は分厚く見ておいてください。次はニュースです。人と会うときには、新聞やテレビで、直近のニュースを把握しておくことも必要です。相手の人が提供してくれた話題に全く反応できないのは座を白けさせてしまいます。

相手の関心事をつかむ

どんな話にもそれぞれに意味があります。その雑談の集積がその人の人生でもあります。

同じ話でも、相手が聴きたい話は価値ある情報になりますが、全く関心がない話ですと、文字通りの雑談で終わってしまいます。価値ある話をするためには、早い段階で聴き手の関心事をつかまなければなりません。

とは言っても、相手がどのようなことに関心があるかは、初対面では分かりません。スポーツなのか音楽なのか、園芸、絵画、ファッション、車なのか文芸作品なのか。もし分かったとしても、こちらがそのことに関する情報をもっていなければ意味がありません。このような時の切り札となるのが、健康、旅、グルメという3大話題です。職業、性別、年齢に関係なく、ほとんどの人がこの3大話題のうちのどれかには関心があるものです。

健康・旅・グルメは3大話題

先ずは健康に関する話題です。テレビでも本でも雑誌でも通販の宣伝でも、アンチエイジング情報は満ち溢れています。それらをこまめに収集しておいて、悩める人にタイミングよく話してください。具体的に、時に洒脱に語られる健康情報は、高齢者だけではなく、各年代の人の心をつかむでしょう。医療の最新情報も大きな関心事です。

2つ目は旅情報です。世界や日本各地の名所旧跡、神社仏閣、名湯秘湯、とっておきの隠れ宿の情報等も喜ばれます。それらを体験談として具体的に語ってください。

3つ目はグルメ情報です。美味しい店の情報は各年代に共通する関心事です。ぜひその店に行きたくなる、食べてみたくなるように、魅力的に伝えてください。

これらの話題を提供する際には、店名、場所、電話番号、URL、およその料金まで伝えられると、あなたの雑談に付加価値がつきます。

困った時は相手から取材する

雑談の材料は、必ずしもすべてこちらから提供する必要はありません。先方から訊き出すのです。人間だれしも、一番関心のある話題は自分自身のことだそうです。仕事のこと、家族のこと、生い立ち、学生時代のこと、趣味、嗜好、特技、スポーツ、これまでの旅行のこと、自慢話などを、よい相づちを打ちながら聴くのです。そうすれば雑談はいくらでも続くでしょう。ただ気を付けなければいけないことがあります。個人情報に触れ過ぎないこと、時間的な制約に十分配慮すること、相手の方の心情に配慮すること、話が弾み過ぎて野放図にならないことも大事な注意点です。

ビジネスに関係する雑談には、ただ面白おかしく展開するのではなく、絶えず目的がしっかりあって、相手の方から取材する気持ちが必要でしょう。

岡部 達昭氏

日本電信電話ユーザ協会電話応対技能検定 専門委員会委員長。
NHKアナウンサー、(財)NHK放送研修センター理事、日本語センター長を経て現在は企業、自治体の研修講演などを担当する。「心をつかむコミュニケーション」を基本に、言葉と非言語表現力の研究を行っている。

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