電話応対でCS向上コラム

第9回 名前を覚え、名前を呼び掛ける

「人間は他人の名前など一向に気にとめないが、自分の名前になると大いに関心を持つものだ。自分の名前を覚えていて、それを呼んでくれるということは、まことに気分のいいもので、つまらぬお世辞よりもよほど効果がある」~デ―ル・カーネギー~

「お客さま」より「○○さま」と呼びかける

名前を覚え、名前を呼ぶことはビジネスの大切な基本です。ところが、電話でも窓口応対でも、意識して、「○○さま」と名前を呼び掛けることはきわめて少ないと思います。呼び掛けるときはほとんどが「お客さま」なのです。自分の名前は、その人にとって最も好きな言葉です。ですから、名前で呼んでくれた人に私たちは親近感を抱き、その人を好きになります。名前は最高の接客ことばであり、営業トークなのです。

いつ呼べばいいの?今でしょう!

「○○さま、おはようございます」「□□さま、お待たせ致しました」「△△さま、ありがとうございます」。呼び掛けるチャンスはいくらでもあります。何かを訊くときなどにも、「□□さま、お伺いするのはいつがよろしいでしょうか?」と、名前を呼び掛けて訊くのです。クロージングの挨拶は、とかくパターン化して無機質になりがちです。このときも、「○○さま、ありがとうございました」と名前を呼び掛ければ、最後まできちんと向き合っている誠実さが伝わり、よい余韻を残せるでしょう。

クレームのお客さまに、名前を呼びかける

私も何回か経験したことがあるのですが、苦情・クレームのお客さまに、何回も名前を呼び掛けながら会話をしますと、不思議と双方の興奮が収まるのです。名前のもたらす親近感が無意識に働くのでしょう。日常会話からこのことを習慣付けますと、名前の呼びかけが自然にできるようになります。さらには人間関係がすべてよくなるでしょう。

名前を呼ぶ前にまず自己紹介

自分の名前を名乗らずにお客さまの名前を呼び掛けることは、礼を欠く行為です。まずしっかり自己紹介をしてください。そうしておけば、名前を伺うこともできます。ところが、名前を伺っておきながら、話しているうちに忘れてしまうことがありませんか。これを防ぐには、すぐメモすることを習慣付けてください。名前を印象付けて覚えるためには必ず書くことです。書くことで、目と耳の両方で覚えることができます。

岡部 達昭氏

日本電信電話ユーザ協会電話応対技能検定 専門委員会委員長。
NHKアナウンサー、(財)NHK放送研修センター理事、日本語センター長を経て現在は企業、自治体の研修講演などを担当する。「心をつかむコミュニケーション」を基本に、言葉と非言語表現力の研究を行っている。

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