電話応対でCS向上コラム

-SMBC日興証券株式会社-
第40回 お客さまの立場になって

記事ID:C10037

 SMBC 日興証券は、全国に本支店を展開する総合証券会社として、お客さまにとって利便性の高い取引チャネルや、質の高い商品・サービスの提供に取り組んでいます。
 私の所属する「フロントサービスセンター」は、全国の本支店の代表電話の窓口として、株式などの商品のご注文やご質問、各種お手続き、サービスのご案内など幅広いお問い合わせに対応しています。

耳を傾ける姿勢

 これは数年前の出来事です。ある日、同じ部署のオペレーターから「今応対しているお客さまから、上席に代わってほしいと言われています。代わってもらえますか」と頼まれました。会話の概要をオペレーターに確認して電話を代わると、私が名乗った途端、そのお客さまは強い口調でこう言いました。
 「私の言ったことをしてください。なぜ、できないのですか!」
 お客さまのあまりの剣幕に、私は一瞬どうしたらいいのかと焦りましたが、まずはお話を丁寧にうかがうことにしました。しかしながら、そのお客さまのご要望に沿うことは難しく、心の中で「その要望は無理だと分かるはず。私たちに言ってもどうしようもないのに」と考えてしまいました。その思いが私の応対にも出てしまったのでしょう。お客さまの口調がさらに強くなりました。

お客さまの声が 私のマインドを変えた

 「私だってこんなことは言いたくない! 言ったってお互い気分が悪いだけなんだ。でも気になって心配だからこうして聞いている。それなのに、あなたは型通りのお詫びの言葉と、『できません』を繰り返すばかりじゃないか。そっちの物差しだけではかるんじゃない!もっとお客のことを考えろ!」この言葉に私はハッとしました。
 その時の私の応対は、自分にとっての「普通」をお客さまに押しつけていたことに気づいたのです。お客さまと自分が考える「普通」という物差しは違う。そう実感した私は、この後、お客さまのお気持ちを汲むことができなかったことをお詫びし、ご要望に沿うことができない旨を改めてお伝えして電話を終えました。

気づきを活かして 

 この出来事がきっかけで、私はお客さまへの意識が変わりました。お顔が見えない分、発せられる言葉や声のトーン、息づかいからお問い合わせに至った経緯や感情をイメージし、お客さまの目線で見るようになりました。まだうまくいかないこともありますが、一人でも多くのお客さまに満足していただけるように、同僚やオペレーターの仲間たちと一緒に日々実践で取り組んでまいります。

次回の講師は、霧島酒造株式会社の谷口 幸子さんです。お客様相談室の室長として、新入社員の電話応対の研修をはじめ、応対品質向上を目指す研究会を立ち上げるなど積極的な活動をなさっています。笑顔の素敵な頼れる指導者です。

田中 明美氏

SMBC 日興証券株式会社 フロントサービスセンター所属。電話応対技能検定指導者級資格保持者。所属部署内での研修の企画・実施、電話応対の品質向上活動、電話応対コンクールの出場選手の育成を担当。第52回、53回電話応対コンクール全国大会出場。

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