電話応対でCS向上コラム

-一般社団法人 礼和の杜-
第62回 講師としての覚悟

記事ID:C10102

なんとなくの始まり

 講師の仕事が好きです。だからこそ、形だけのマナーではなく、自分を大切に思うように相手を大切に思い、それを言葉や行動で表すことを伝えようと心がけています。そうすることで、自分も周囲も幸せになれるお手伝いをできることがとても嬉しく感じるからです。
 講師業を始めてから12年が経ちました。私が講師になったきっかけは、海外生活を終え帰国した時にちょうど、研修講師のお手伝いをしてほしいとお願いされたからです。ですから「これを人に伝えたい」という使命感や覚悟があって講師になったわけでもなく、なんとなく始めてしまったというのが正直な気持ちです。

もっとできるのではないか

 そのせいでもあるのか、この仕事が好きで、楽しさもやりがいも感じますが、12年経った今でも自信は持てません。毎回、研修やセミナーの後には、「もっと良い伝え方があったのではないか」、「本当にお客さまや受講生のお役に立てたのだろうか」と思ってしまいます。私が目指している、その人や周囲の人も幸せになれることや、そもそも私も相手の立場に立つことができているのかと……。もちろん、毎回そのために準備し、勉強もしているつもりですが、やはり自信は持てません。

一通のLINE

 そんな私に、先日LINEが届きました。10年ほど前の受講生からです。「どうしても報告したくてご連絡させていただきました。先生に教えていただいたマナーや言葉づかいのおかげで、所属する課の問題解決の糸口をつかむことができました。顧客への対応の仕方に問題がある社員がいて、度々クレームを受けていました。その社員から顧客を傷つけない・不快な思いをさせないためにはどうしたらいいのかという相談を受けました。上司や同僚からの注意も受けつけなかった人が相談してきたことで、上司からも直々に指導の依頼を受け、尽力しています。そうすることができたのも、今の私の基礎を作ってくれた先生のおかげです。ありがとうございます」という内容でした。10数年経っても私が伝えたことを覚えてくれている人がいたということに、思わず涙が出てしまいました。彼は当時から素晴らしい人柄だったので、決して私の伝えたことだけで問題解決ができたわけではないと思います。しかし、私が一所懸命に話したことが、誰かの役に立つことができていると、実感することができました。だからといって、100%自信が持てるわけではないのですが、これからも講師として、自分も周囲も幸せになれるマナーを伝えていきたいと改めて覚悟ができた、嬉しい出来事でした。

「次回の講師は、ビューティフルマナー 代表 岸田 輝美さんです。受講生の心を一瞬でグッとつかむことができる、私の理想の講師であり、大好きな方です」

岩下 美和子氏

一般社団法人 礼和の杜 代表理事。電話応対技能検定指導者級資格保持者。企業や大学でマナー、電話応対、コミュニケーション研修などを行っている。

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