電話応対でCS向上コラム

-テルウェル西日本株式会社 電報事業部 大阪電報サービスセンタ-
第38回 心に寄り添う対応

記事ID:C10033

心を結ぶ電報

 弊社はNTT 西日本から電報事業を受託しています。電報の歴史は電話より古く、1870年(旧暦明治2年)から始まり、今年で151周年を迎えました。電報は当初、近代文明の花形サービスでしたが、時代の変化とともに通信手段の多様化が進み、現在では、慶弔の伝統的サービスとして、またメッセージつきギフトという新たなサービスとして、多くの皆さまにご利用いただいています。

“作業”になっていたお客さま対応

 これは、私が電報サービスセンタで働き始めてしばらく経ち、お客さま対応をする担当部署へ異動した頃の話です。ある日、お客さまから依頼された弔電が告別式に間に合わず、電報を発信したお客さまへお詫びの連絡をしました。すると、そのお客さまからいきなり「どうしてくれるんだ!式に間に合わなかったら意味がないじゃないか!」と言われ、慌てた私は「料金はお返しします」とお伝えしました。お客さまの怒りは収まらず「お金を返して済むと思っているのか!」と激しい口調で言われ、困った私は「今後二度とこのようなことがないように……」と謝罪の言葉を述べました。お客さまから「それは私に関係ない。私の気持ちが分かっているのか」と言われた時、初めて自分の対応のまずさに気がつきました。私はこの応対を早く終わらせたい気持ちだけが先走り、ただ“作業”を進めようとしていたのです。
 お客さまは急に体調を崩され、大切なご友人の葬儀に参列することができなくなったため、電報なら1時間もあれば届くだろうということで電報をご利用されたそうです。それなのに、ご友人への最期のお別れの言葉が間に合わなかったという無念さもお話しくださいました。その話を聞いて初めて私は、心からお詫びの言葉をお伝えすることができたのです。
 お客さまは、最後に「私の気持ちが分かってもらえれば、それでいいんだ」と言って、お許しいただきました。
 この時、私たちがお預かりしている電報には「お客さまの思い」が込められていること、そして、「お客さまの心に寄り添った対応」が大切だということに気づくことができました。

託された思い

 それからは、お客さまがどんなに期待を込めて電報をご利用いただいたのか、届かない場合はどれだけ残念な気持ちなのかを自分事として考えて応対できるようになり、「NTT西日本の電報にして良かった。次もまたよろしく」と言っていただける機会が増えました。
 今後も、電報に託された「お客さまの思い」に対する責任と「心に寄り添う対応」の大切さを伝えてまいります。
 11月5日は電報の日です。今、会えない大切な人に電報を送ってみてはいかがでしょう。

次回の講師は電話応対コンクール全国大会入賞経験もある安田 良子さんです。所属されている京阪電気鉄道株式会社では、電話応対技能検定(もしもし検定)をはじめ、応対品質向上に尽力されています。優しさの中に知性を感じさせる魅力的な女性です。

前田 留美子氏

テルウェル西日本株式会社 電報事業部 大阪電報サービスセンタ スーパーバイザー。都市銀行で8年間勤務。1997年に同社に入社し、電話応対コンクール大阪府大会に出場。電話応対技能検定指導者級資格保持者17期生。「話す」応対より「聴き取る」応対の重要性を指導している。

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