電話応対でCS向上コラム

第10回 添付ファイルの送り方

メールで送れるのは文字だけではありません。ExcelやWordにPowerPoint、写真や画像などのデジタルデータを添付して送ることができます。便利な機能ですが、送り方によっては受信者に迷惑をかけるので配慮が必要です。今回は添付ファイルの送り方について解説します。

 仕事ではさまざまなデータを扱います。上司に提出する、お客さまへ渡す際の方法の一つとしてメール添付があります。印刷したり、郵送したり、ファックスで送ったりするのに比べて、メールに添付して送ることはコストや時間がかかりません。受け取ったデータに手を加えたり、確認して戻したり、保存したりできることもあり、仕事では重宝されます。

受信者に負担をかけない

 送信者は必要があるためファイルを添付します。しかし、添付したファイルの存在とその必要性を受信者に伝えることができなければ、開いてもらえないかもしれません。

 メールを使いこなすには、受信者の立場に立って考えることが不可欠です。それはファイルを添付する時も同じです。なぜなら、送信者が必要だと思って添付したファイルが受信者にとって同じく必要とは限らないからです。

 添付ファイルを開いて確認するのは手間がかかります。開封したファイルが望んだものでなく、一方的な売り込みの資料だったらどうでしょう。不要な動作を強いられるのはストレスになります。では、受信者に負担をかけず、気持ち良く処理してもらうには、どのように送ったらいいのでしょうか。

添付していることを書く

 まず、ファイルを添付する時に必ず行いたいことがあります。それは、メールの本文にファイルを添付していると書くことです。その一文があれば「受信者に添付ファイルの確認を促す」「ファイルを添付し忘れた時に受信者が指摘してくれる可能性が高まる」といった効果が期待できます。

 メールを開封した時、ファイルが添付されていることに気づかないこともあります。でも、本文にファイルを添付していると書いてあれば、目は添付ファイルに向かいます。内容によっては、誰のために、何を、なぜ添付しているのかといったことまで伝えると、受信者は納得して、安心して開封することができます。開くべき理由を伝えるのです。

添付するファイルのサイズは?

 添付するファイルのサイズにも配慮します。最近では通信環境などが良くなり、添付ファイルのサイズを気にせず受信できる、送信できるという人も多いでしょう。とはいえ、大きなファイルは受け取れないこともあり、受信者に迷惑をかける可能性もあります。

 共通の認識がある場合を除き、一つのファイルのサイズは2MB以内を目安にします。2MB以内であれば大抵の人が受け取れます。もちろん、相手が受信できるサイズに上限がある時は、それに従います。

 2MBを超えるファイルを送る時は、受信可能か確認したり、送付方法を相談したりするのが丁寧です。特定のシステムを利用するよう求められることもあります。

ファイルとパスワードの扱い方

 機密情報や個人情報などを扱うファイルには、パスワードの設定が求められることもあります。パスワードのかけ方にルールがある時はそれに従い、特に指定がない、各自が手動でかける時は「推測されにくいパスワードをかける」「パスワードをかけたファイルを添付したメールの本文にパスワードを書かない」という2点に注意しましょう。ファイルとパスワードを一緒に送ったのではパスワードをかけた意味がなくなってしまうからです。

 添付ファイルは届けて終わりではありません。受信者がスムーズに処理できるよう配慮することを忘れずに。次回はメールを送る時間帯について解説します。

直井 章子氏

一般社団法人日本ビジネスメール協会 株式会社アイ・コミュニケーション 専任講師。ビジネスメール教育の専門家。ビジネスメールの教育研修プログラムの開発、実態調査や検定試験に携わる。官公庁や企業などでのビジネスメールや文章に関する研修やセミナーでの講演回数は100回超。新聞や雑誌、ウェブ媒体などでの掲載多数。著書は『このフレーズが決め手!伝わるモノの書き方のコツ』(ナツメ社)など3冊。

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