電話応対でCS向上コラム
第7回 ビジネスメールの基本の型【中編】「要旨・詳細・結びの挨拶」仕事でメールを書く上での土台となる、ビジネスメールの基本の型。多くのビジネスパーソンが共通の理解として押さえています。メールの本文は七つのパーツ(宛名、挨拶、名乗り、要旨、詳細、結びの挨拶、署名)で構成されています。そのうち、今回は要旨、詳細、結びの挨拶について解説します。
ビジネスメールの基本の型
前回に引き続き、参考文面を見ながらビジネスメールの基本の型を順に見ていきましょう。名乗りの次に書くのが④要旨と⑤詳細です。この二つは主題によって変わります。そして、最後に⑥結びの挨拶でメールを締めます。
▲【ビジネスメールの参考文面】
④要旨
要点を押さえたメールは、読みやすく、分かりやすくて印象が良いという特徴があります。要旨を書くことで中心となる話題が明確になり、この後に続く詳細情報も理解しやすくなります。「今から私は○○について書きます」という宣言をするのです。宣言する内容は件名に書いたことと一致させるのがポイントです。件名に「営業会議開催日のご連絡」とあれば、読み手は営業会議の開催日について連絡がきたと解釈してメールを開封します。それなのに冒頭で「営業会議で配る資料の作成をお願いします。」と書いてあったらどう思うでしょう。件名に「ご連絡」と書いてあったから急がなくていいと解釈し、時間が空いた時に読もうと後回しにしていたかもしれません。「お願い」であるならすぐに確認したのにと困惑するかもしれません。
件名に書いたことを要旨の部分で繰り返すことは失礼ではありません。「標記の件についてご連絡します。」と書いた場合、読み手が「標記の件とは何だったかな?」と思えば件名を見にいきます。要旨に「営業会議の開催日についてご連絡します。」と書いてあれば発生しなかった目の動きです。メールは上から下まで一読で理解できるのが理想です。読み返す必要のないよう情報を配置します。件名はメールの開封を左右し、要旨はメールの読み方をコントロールする重要な役割を担っています。
⑤詳細
要旨に関する詳しい説明を続けます。情報の抜け漏れがあると誤解を招いたり、何度も質問が来たりする可能性があります。すべての情報を伝えようとすれば長くなり、要領を得ないメールになってしまいます。書き手が伝えたいことを明確にして、たくさんの情報の中から伝えるべき情報を選択し、相手に伝わるように表現することが求められます。
6W3H「なぜ(Why)」「何を(What )」「誰が(Who)」「誰と・誰に(Whom)」「いつ(When)」「どこで(Where)」「どのように(How)」「どれだけ(How many)」「いくら(How much)」を参考に、伝えたいことや相手が知りたいことを整理して書きます。箇条書きを使えるところは箇条書きにします。箇条書きは視覚的な効果が高いので目に留まり、情報が頭に入ってきやすくなります。
⑥結びの挨拶
結びの挨拶は「よろしくお願いいたします。」が一般的です。結びの挨拶は、毎回一から考える必要はありません。「よろしくお願いいたします。」を書けていれば十分です。確認を促すなら「ご確認よろしくお願いいたします。」とするなど「今後とも」「引き続き」「ご検討」といった言葉をつけて、状況に応じて複数のバリエーションを使い分けてもよいでしょう。次回は「署名」について解説します。
次回は「署名」について解説します。
直井 章子氏
一般社団法人日本ビジネスメール協会 株式会社アイ・コミュニケーション 専任講師。ビジネスメール教育の専門家。ビジネスメールの教育研修プログラムの開発、実態調査や検定試験に携わる。官公庁や企業などでのビジネスメールや文章に関する研修やセミナーでの講演回数は100回超。新聞や雑誌、ウェブ媒体などでの掲載多数。著書は『このフレーズが決め手!伝わるモノの書き方のコツ』(ナツメ社)など3冊。