電話応対でCS向上コラム
第5回 TO、CC、BCC の使い分けについてCCで受信したメールに返信をしてトラブルになったという話もあります。メールの宛先(TO、CC、BCC)は、どこにメールアドレスを入れても相手に届くので使い分けを気にしていないという人もいるようです。しかし、この三つには大きな違いがあります。そこで今回は、TO、CC、BCCの使い分けについて解説します。
CCで受信したメールには原則、返信しない
CCとはカーボン・コピー(Carbon Copy)の略称です。つまり複写のこと。TOで受け取った相手が正式な受信者で、CCで受け取った人は「共有のために」「参考までに」という目的で受信します。
メールの送信者も返信してほしい人をTOに入れて、同時に目を通してほしい人をCCに入れています。送信者はTOの受信者から返信が来ると理解しています。それなのに、いきなりCCの受信者から返信が来たら、送信者はどう思うでしょうか。また、自分が返事をすべきメールを断りもなく返信されたら、TOの受信者はどう感じるでしょうか。
多くの方が、返信するのはTOの人、CCの人は目を通すだけというルールのもとでメールを利用しています。そのため、断りもなくCCの受信者が返信をしたら混乱が生まれる可能性が高いのです。
例えば、TOが窓口の担当者、CCがその上司だった場合、上司がTOの人を飛び越えて返信したら、窓口の担当者は自分をないがしろにされたように感じるかもしれません。仕事を任されていない、信頼されていないと悪い方向に考えたり、どうせまた上司が答えるだろうと思えば、次から返信をしなくなったりするかもしれません。
原則、CCでの受信者はTOの人を飛び越えて返信すべきではありません。CCの人が返信する時は「今日は担当の○○が休暇中のため、代わりに私が回答します」のように理由を伝えると誤解がないでしょう。
TO、CC、BCCの違い
TOは「あなたに宛てたメールです」という意図があり、返事をもらいたい相手、責任をもってメールを処理してほしい相手を入れます。
CCは、TOの人に送った内容を同時に共有したい相手がいる時に使います。送信の事実は知ってもらいたいけれど目を通すだけでいい相手を入れるのが一般的です。
BCCの受信者は、ほかの受信者に表示されません。それがブラインド・カーボン・コピー(Blind Carbon Copy)といわれる所以です。ほかの受信者には存在を知らせず伝えたい時に使います。
BCCの受信者にはTOとCCの受信者のメールアドレスが表示されるので「全員に返信」をするとTOとCC及び送信者にメールを送れます。ただし、そのようなメールが届いたらTOとCCの受信者はいきなりの登場に驚くのは言うまでもありません。
BCCの受信者が返信しても問題がないのは、送信者に対してだけ。部下がお客さまへ送ったメールを、BCCで受け取った上司が全員に返信をしてしまい、部下への指導内容がお客さまに筒抜けだったという笑えない事件も聞いたことがあります。
CCをむやみに使いすぎない
私たちが企業のメール改善の取り組みに関わる中で、多くの企業が抱えている課題を耳にします。それが「CCのメールが多い」です。蓋を開けてみると、共有するべき理由もないのに「なんとなく関係がありそうだから」「取りあえず共有しておこう」とCCに入れてメールを送り、相手の業務を阻害しているのです。
考えなしに何でもかんでもCCに入れていると、不要なメールを送ってくる人という印象を与えて評価を下げたり、重要なメールを互いが見逃してトラブルを招いたりするかもしれません。
メールの業務効率を落とす原因の一つがCCの乱用です。この乱用の連鎖を断ち切るためにも、CCに入れる前に共有すべきかを考えましょう。判断がつかなければ相手に共有すべきか尋ねてもよいでしょう。
次回は「ビジネスメールの基本の型」について解説します。
直井 章子氏
一般社団法人日本ビジネスメール協会 株式会社アイ・コミュニケーション 専任講師。ビジネスメール教育の専門家。ビジネスメールの教育研修プログラムの開発、実態調査や検定試験に携わる。官公庁や企業などでのビジネスメールや文章に関する研修やセミナーでの講演回数は100回超。新聞や雑誌、ウェブ媒体などでの掲載多数。著書は『このフレーズが決め手!伝わるモノの書き方のコツ』(ナツメ社)など3冊。