電話応対でCS向上コラム

第4回 ビジネスメールの「送信者名(差出人)」の役割とは

見落としや削除を防ぐ

 メールを開封する時に必ず見ているもの。それが「件名」と「送信者名」です。

 「信頼できるメールだ」「自分に関係のある人からのメールだ」「優先順位を上げるべきメールだ」と思ってもらえるかどうかは、この二つで決まります。メールの送り主が何者であるかを示す送信者名は、重要な役割を担っているのです。

 メールのやりとりが日本語のみであれば、送信者名は日本語で設定します。カッコイイからという理由で「Taro Yamada」のように英語で設定するのは避けましょう。英語が苦手な相手が無意識に読み飛ばしているとしたら、開封するための手がかりが件名のみになってしまいます。

 海外とのやり取りがない場合、多くの人が日本語で送信者名を設定しています。その中に紛れている英語の送信者名で届く迷惑メール。このような経験をしていると、英語の送信者名だと自分には関係のないメールだと思って見落としたり、海外からの迷惑メールと間違えて削除したりする可能性があります。

 メールは開封されなければ始まらないので、最初でつまずくことのないよう、送信者名を設定しましょう。

送信者名には名前と組織名を設定

 送信者名に設定する情報は、メールアドレスの持ち主の名前や所属する組織名です。個人のメールアドレスであれば、名前はフルネームで、組織に属している場合は組織名まで書くと「どこの誰」であるかを一目で伝えることができます。

〈組織に属している場合〉
〇 山田太郎(日本ビジネスメール協会)
△ 山田太郎
╳ 山田
╳ Yamada
╳ T.Y
╳ やまー

最初に開封するのはどのメール?

 上の表のメールボックスの中で、あなたならどのメールから開封しますか。

 「山田太郎(日本ビジネスメール協会)」と表示されれば、日本ビジネスメール協会の山田太郎さんからのメールであることが分かり、個人を特定できるので安心して開封できます。件名は「ビジネスメール研修候補日のご連絡」と書いてあるので用件も具体的です。

 「yamada_taro@example.or.jp」ではどこの山田さんか分かりません。メールアドレスを見ただけで個人を特定できる人は少ないでしょう。「やまー」は情報が少なすぎるばかりか、ふざけた相手からのメールだと思われるかもしれず、件名が具体的であっても開封をためらうに違いありません。

開封せずに判断されることも

 メールは受け取った相手が必ず開くとは限りません。迷惑メールだと思ったり、営業メールだと思ったり、間違いメールだと思ったり。開封せずに判断することがあります。迷わず削除されることもあるのです。

 送り主が分からないメールの開封をためらうのもよくあること。開封するにしても「開封して問題が起きたらどうしよう」と不安を感じれば、そんな思いをさせるメールの送り主と信頼関係を築くのは至難の業。そうならないように、信頼できる相手から届いた自分ごとの連絡として受け取ってもらえるように、送信者名を設定しましょう。メールを見逃した相手が悪いとは言えません。見逃されるようなメールを送っていないかと考えることが大切なのです。

 次回は、To、Cc、Bccの使い分けについて解説します。

直井 章子氏

一般社団法人日本ビジネスメール協会 株式会社アイ・コミュニケーション 専任講師。ビジネスメール教育の専門家。ビジネスメールの教育研修プログラムの開発、実態調査や検定試験に携わる。官公庁や企業などでのビジネスメールや文章に関する研修やセミナーでの講演回数は100回超。新聞や雑誌、ウェブ媒体などでの掲載多数。著書は『このフレーズが決め手!伝わるモノの書き方のコツ』(ナツメ社)など3冊。

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