電話応対でCS向上コラム

第3回 ビジネスメールの「件名」の書き方

メールは送って終わりではありません。開封され読まれて行動に移してもらうことがゴールです。内容を理解してもらえればいいだけの通知もあれば、返事をもらいたい依頼などもあるでしょう。メールを送る目的はさまざまですが、どんなメールも開封されないことには始まりません。開封を左右する重要な要素、それが「件名」です。

「件名」の役割

 「メールが届いていれば開封してくれるだろう」それは送信者目線の考えで、注意が必要です。1日に何通のメールを受信しているかは人それぞれ。たくさんのメールを受信していれば、それだけ受信トレイはメールの山になっています。その中で、送ったメールが埋もれてしまう可能性は否定できません。見落とされることなく、優先順位を下げられることなく、確実にメールを開封してもらえるかどうか。それは「件名」が鍵を握ります。

開封される「件名」とは?

 受信トレイに届いたメールを開封する時のことを思い出してください。必ず見ている箇所があります。それが「件名」と「送信者名(差出人)」です。受信者は「何の用件」の「誰から」のメールか。この二つを見て、今すぐに開封するかを判断しています。

 一瞬でも「開封してはならない」「開封する必要はない」と思われたら開封されません。迷惑なメールとして削除されたり、不要なメールとして忘れ去られたり、重要ではないメールとして開封を後回しにされないように、開封を促す工夫や配慮が必要です。

 件名はメールの用件を伝える欄。挨拶をする、名乗る場所ではありません。本文を読まなくても、何の用件でメールを送っているのか伝わるよう、具体的に簡潔に書きます。ビジネスメールでは件名が必須です。件名が空欄で何も書いていないと、怪しいメールと認識されて開封を躊躇されたり、開封されない可能性が高まります。

 件名には「どうしてほしい」といった、メールを送った目的や相手に求める行動を書きます。「お知らせ」と書いてあれば「目を通せばいいだけだろうから時間ができたら読もう」と思われたり、「お願い」と書いてあれば「何を依頼されるのか今すぐに確認して予定を立てよう」と思われたり、件名に何が書いてあるかで受信者の読み方が変わります。

 どう読まれるかは、件名に何を書くかで決まることが多いので、メールを読んでもらえない、返事がもらえない時は、送っているメールの件名に問題がないかを、見直すことが大切です。

「件名」のポイント

 件名に「お願い」とだけ書いたのでは、何のお願いか分かりません。どれだけ重要であるか、緊急であるかの程度も判断できません。「何を」まで書いて完成です。

 「何を」は書いてあっても「○○について」や「○○の件」だと「どうしてほしい」が足りません。件名には「何を」と「どうしてほしい」をセットで書きましょう。

  • ▲(表)「件名」の具体例

 上の(表)の「件名」の具体例を見てください。下にいくにつれて件名が具体的になっています。

 件名に情報を盛り込みすぎると、かえって読みづらく、分かりづらくなります。文字数の目安は30文字程度。簡潔に表現し、受信者が分かる用語を使うなど配慮します。専門用語や略語などは、共通の理解がない時は避けたほうがよいでしょう。日付などの数字を入れると具体性は増します。件名は開封を促すだけでなく、そのあとの行動につながる重要な役割を担っているのです。

 次回は、「送信者名(差出人)」について解説します。

直井 章子氏

一般社団法人日本ビジネスメール協会 株式会社アイ・コミュニケーション 専任講師。ビジネスメール教育の専門家。ビジネスメールの教育研修プログラムの開発、実態調査や検定試験に携わる。官公庁や企業などでのビジネスメールや文章に関する研修やセミナーでの講演回数は100回超。新聞や雑誌、ウェブ媒体などでの掲載多数。著書は『このフレーズが決め手!伝わるモノの書き方のコツ』(ナツメ社)など3冊。

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