電話応対でCS向上コラム
第24回 聞ける人は人気が出る「話すこと」と「聞くこと」を比べると、「聞く」ほうがはるかに難しい作業と言えます。会社に限らず、現代は「聞いてくれる人」がいないために自分の思いを伝えられず、心がいっぱいになっている人がたくさんいるので、聞き上手な人は貴重な存在と言えるでしょう。今回は、人気者になるにはどのように相手の話を聞いていけばよいのか?相手の話を共感して聞くための方法などを紹介していきましょう。
職業として話を聞いてくれる人たち
世の中には、職業柄、聞く側に回る人も大勢います。医師や看護師は聞くことが仕事の重要な一部です。美容師やマッサージ師、ネイリストなども、仕事の最中、お客さんの話を聞きます。まるでそれも仕事のうちのようです。「赤ちょうちん」の大将や女将もそうでしょう。接客業はまさに聞くのが仕事です。こうした職業に就く人が聞き上手になれば、より良く仕事ができるようになるのではないでしょうか。日常の会話においても、聞くことができる人は、人気者です。
聞いてくれる人が少ない
分かりやすく「話すこと」は容易ではありませんが、自分がその気になれば、何かを話すことはできます。しかし、「聞くこと」には、精神を集中する覚悟が必要です。そのため、私たちは聞くことが負担で、つい軽視しがちになります。私は、アサーション・トレーニングの一環としてよく「聴く演習」を行いますが、仕事の場では聞く人が少ないのがよく分かります。聞き上手な人は貴重な存在なのです。
相手の心を開く聞き方
では、どのようにすれば、聞き上手になれるのでしょうか。一つに「質問をしながら近づいていく」という方法があります。特に初対面では、私たちはお互いに質問をしながら近づいていきます。質問には、質問された相手が「はい」「いいえ」や、単語で答えられない「開かれた質問」と、「はい」「いいえ」、あるいは数語で答えられ、返事が限定される「閉じた質問」がありますが、開かれた質問を使うと、会話が広がっていきます。例えば、「日曜日はどこに行った?」と聞くより、「どのように過ごしたの?」と聞けば、答える相手は、「デパートに行った」話や、「早朝の犬の散歩」についてなど日曜日にしたことを何でも選んで話す自由があります。
※アサーションは、「もしもし検定」のカリキュラムに導入されています。
平木 典子氏
日本電信電話ユーザ協会 電話応対技能検定委員。立教大学カウンセラー、日本女子大学人間社会学部心理学科教授、跡見学園女子大学臨床心理学科教授を経て、統合的心理療法研究所(IPI)顧問。専門は臨床心理学、家族心理学。日本カウンセリング学会理事。