電話応対でCS向上コラム

第2回 ~攻撃的、非主張的、アサーティブ~あなたの自己表現タイプはどれですか?

コミュニケーションが複雑化する現代、自分も相手も大切にした自己表現であり、コミュニケーションであるアサーション。第2回の今回は、大きく3つに分類される「自己表現のタイプ」について、お話ししたいと思います。

人間関係のもち方は3つのタイプの自己表現に現れる

アサーションの考え方を最初に紹介したアメリカのある心理学者は、人間関係は3つのタイプの自己表現に現れると言っています。第1は、「自分のことだけ考えて、他者を踏みにじる表現」。第2は、「自分よりも他者を優先し、自分のことを後回しにする表現」。そして第3は、「自分のことをまず考えるが、同時に他者をも配慮する表現」です。

第3のやり方は、第1と第2の黄金率ともいうべきものです。そして、この第3の表現がアサーションです。わたしの実施している「アサーション<自己表現>トレーニング」では、第1のやり方を「攻撃的」、第2のやり方を「非主張的」、そして第3のやり方を「アサーティブ」と呼んでいます。

3つのタイプの言動の違いについて

次に、具体的に「攻撃的、非主張的、アサーティブ」の言動の違いについて一つの例をとって検討してみます。

Aさんは、会社の後輩のBさんとプレゼンテーションの資料を作成しています。ところが、提案前日の打ち合わせの時、Bさんは約束通りの資料をまとめてきませんでした。

1. 攻撃的な言動:Aさんは、「仕事に穴をあけるつもりか!何してたんだ!」とBさんに大声で怒鳴りました。Bさんは黙って何も言わず、打ち合わせは円滑に進まず、不機嫌なままで打ち合わせが終わりました。

2. 非主張的な言動:Aさんは、黙ってBさんの作りかけの資料を受け取りました。後味の悪い思いをしただけでなく、徹夜をして一人で資料をまとめることになってしまいました。

3. アサーティブ:Aさんは、Bさんに仕上がっていない理由を聞き、不明点を一緒に考え、Bさんが最後まで仕上げられるところまで指導を行いました。2人とも多少残業となりましたが、清々しい気持ちでプレゼンテーションにのぞむことができました。

アサーティブな対応をすることで、Bさんのスキルもあがり、2人にとっても会社にとってもプラスとなることが想像できます。これから、アサーティブな対応・言動について、さまざまなヒントと工夫を述べていきますので、ご期待ください。

※アサーションは、「もしもし検定」のカリキュラムに導入されています。

平木 典子氏

日本電信電話ユーザ協会 電話応対技能検定委員。立教大学カウンセラー、日本女子大学人間社会学部心理学科教授、跡見学園女子大学臨床心理学科教授を経て、統合的心理療法研究所(IPI)顧問。専門は臨床心理学、家族心理学。日本カウンセリング学会理事。

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