電話応対でCS向上コラム

-楽短研修研究室 オフィス・F-
第82回 “クレーム対応は、道案内”と気づいた日

記事ID:C10166

悩んでいたこと

 クレーム対応業務のポイントをどのようにメンバーに伝えるか、苦心していた頃のお話です。4年半の電機メーカーご相談センター勤務を経て、フリーダイヤル業務の受託企業に20年勤務し、指導・教育を担当しておりました。多くは飲食フランチャイズチェーン、ほかに自社のコンサルティング契約関連ダイヤルも対応します。
 “訊き出す”“状況を客観的に把握する”と伝えても、メンバーの対応は個人差が顕著なことが悩みでした。メーカー時代は、お客さまが「故障している」とおっしゃっても、「画面に表示されるエラーコードは?」「ランプは点滅していますか?」など、お客さまの主張(主観)を事実(客観)と照らし合わせることが習慣でしたが、“お客さまを疑うようだ”“確認事項が浮かばない”とのメンバーの声に悩んでいたのです。

なぜ、“道案内”なのか?

 そんな折に会社が移転したのですが、非常に分かりにくい建物で、来社なさる方から道に迷っているというお問い合わせが急増しました。はじめに申し上げるのが「今、どのあたりにいらっしゃいますか?」なのですが、これが全く良くありません。皆さま、手当たり次第に目に入るものをおっしゃるのです。コンビニやATMはどこにでもあり、交差点や信号も同様です。時間がかかれば、「地図がおかしい!」「もういい!」と電話を切られてしまいます。
 マニュアル変更の際、まず「今、どちらにいらっしゃいますか?」を厳禁にし(笑)、“何駅から(何番の出口から)向かっていらっしゃるのか?”“近くの交差点まで戻るなどしていただき、信号機下の地名(案内標識)を読み上げていただけないか”“見渡していただくと、〇〇〇という大きな広告看板があり、そちらまでお越しいただけないか?”と、双方で特定可能な情報のみをやり取りするようにしたことで、迅速な解決ができるようになりました。

気づきと学び

 これが、クレーム対応指導の大きなヒントになりました。私自身が、その重要性を正しく理解していなかったことが原因だったのです。何かしら不都合な状況のお客さまへの対応は、道に迷っているお客さまと同じです。混乱や誤解あるお申し出も多い中、その場にいないからこそ、齟齬(そご)のないやり取りを基本にすることだと実感したのです。そこから、“訊き出す”ことの指導も変わっていきました。
 まずは、悩むことが第一であり、答えはお客さま対応の現場にあるのだと感じた出来事でした。

山本 富士美氏

楽短研修研究室 オフィス・F代表。生活用品メーカー、電機メーカー、コンサルティング会社コンタクトセンターを経て独立。クレーム・カスハラ対応、お客さま対応部門向けのメンタルヘルス・マインドフルネス・職場のハラスメントなど各種研修を提供中。電話応対技能検定・指導者級資格保持者。(一社)日本ハラスメントリスク管理協会認定講師、(一社)日本アンガーマネジメント協会認定ハラスメント防止アドバイザー・叱り方トレーナー。

「次回の講師は、ダイキン工業株式会社 東日本コンタクトセンターの新垣 敦子さんです。電話応対技能検定講師・日英コンクール指導者として活動されているほか、コミュニケーターやサービスエンジニアの方々に対する電話応対及びマナー向上の教育にも尽力されています」

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