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電話応対でCS向上コラム

第14回 1対複数の調停における注意点について

メディエーション

公開日:2014/02/28

第三者が当事者同士の話し合いを促し、トラブルを解決に導くメディエーション(調停)。前回は、意見が対立した際に有効な、自分も相手も大切にしたコミュニケーション「アサーション」についてご紹介しました。今回は、1対複数で調停を行う際に注意すべきこと、するべきことについてご紹介します。トラブル収拾の極意を学び、当事者同士の相互理解を促すコミュニケーションの基本を身に付けましょう。

1対複数による調停を行う前にすべきこと

トラブルの種類によっては、1対1ではなく、1対複数による話し合いになるケースもあります。

例えば、業務終了時のお茶の片付けについて、若手社員とベテラン社員が対立したとしましょう。申し立てを行った若手社員は1名ですが、ベテラン社員は複数名いて、全員が調停に出席したいという意向を示しています。

こういったケースの場合にはまず、ベテラン社員の方ひとりに話しを先に伺ってみるのも良いでしょう。仮にその方をIさんとします。調停ではIさんを代表者として、若手社員、仮にHさんと話しをしてもらうのです。もちろん同席される他のベテラン社員の方にも発言権はありますが、全員が好き勝手に話していては議論は前に進みません。

調停を始める前に伝えるべきこと

調停の当日、対峙した若手社員とベテラン社員の空気は重々しいものでしょう。まずはメディエーターとして、中立な立場で対話を進めていく、という意思を宣言しましょう。

また、ひとりで参加した若手社員のHさんは複数の先輩社員の前では話しづらい可能性もありますので、話し合いを始める前にひとつ提案をすることも大切です。

「話す時は、HさんとIさんが話しをし、他の方が意見を言いたい時は私に申し入れてください」と。そして、まずは当事者であるHさんに話しを振り、調停を始めましょう。

Hさんが「先輩たちが、私にお茶を片付けするように無理強いするのです」と言ったとしましょう。すると、あまりにストレートな表現に、Iさん以外のベテラン社員の方が思わず声を荒げる可能性もあります。その場合は、再度新たな提案をしましょう。

「みなさんが、とても困っていることは分かりました。ですが、次はまず、Iさんの意見を聞かせていただけませんか?途中でお話ししたくなるかもしれませんが、後でまとめて他の方の意見は聞かせてください」とお願いし、1対1のコミュニケーションができる環境作りをしましょう。

それでも話しが前進しない場合

Iさんは「お茶の片付けは女子社員の担当という慣習になっています。それが良い悪いではなく、職場の和を保つために行われている側面もあると思います」と意見を伝え、Hさんは「当然のように女子社員がゴミ処理をするというのは、おかしい」と訴えるかもしれません。

ふたりの意見はすれ違い、ついには他のベテラン社員の方がまたも声を荒げて参加してきてしまう可能性もあります。

その場合は無理してまとめようとせず、宿題を提示して、次回へとコマを進めましょう。

(1)自分が、今すぐできること、将来にできること
(2)相手に、今すぐして欲しいこと、将来にして欲しいこと

を次回までに考えてきてもらうと良いでしょう。

こういった話しが上手く進めない状況は、メディエーターの力が試される瞬間でもあります。柔軟な対応を心掛けましょう。

※メディエーションは、「もしもし検定」のカリキュラムに導入されています。

稲葉 一人(いなば かずと)氏

中京大学法科大学院教授。東京・大阪地裁判事、法務省検事などを経て、現在本務のロースクールのほか、久留米大学医学部、熊本大学大学院などで教壇に立つ。また、日本電信電話ユーザ協会電話応対技能検定委員会委員・専門委員会委員を務めている。米国に留学し、ADR(裁判外紛争解決)を研究し、メディエーションの教育者・実践者である。JICAを通じた海外の裁判所における調停制度構築のプロジェクトを進め、2012年10月にモンゴル国最高裁から「最高功労勲章」を授与された。

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