企業ICT導入事例
-株式会社マキノ出版-優れたセキュリティのもと、個人事業主のマイナンバーを効率的に収集
出版社には「個人事業主との小口の取り引きが多い」という、他業種とは異なる独自の商環境があります。株式会社マキノ出版は、ICTを活用したマイナンバー収集サービスを利用し、取り引き先である個人事業主からのマイナンバー収集を、安全かつスムーズに実現しました。
【導入の狙い】個人事業主のマイナンバー、効率的かつ安全に収集したい
【導入の効果】社内の事務処理をなくし、ローコストで迅速な収集を達成
手探りで始まったマイナンバー対応
▲取締役 総務経理部長・泉 篤氏
平成27年にスタートしたマイナンバー制度は、企業の従業員の給与支払い、保険や年金の手続きのほか、年間5万円以上の原稿料支払いなど、一定の条件での企業と個人事業主との取り引きでも、収集が必須となります。その対象となる個人事業主を多く抱える株式会社マキノ出版は、これら個人事業主のマイナンバー収集の必要に迫られていました。
「弊社及び弊社グループ企業と取り引きのある個人事業主は数百人に上ります。これら個人事業主のマイナンバーの収集と保管が必要になることは、平成27年の早い時期にわかっていましたが、その方法については具体化できないままでした」(泉氏)
泉氏は解決策を探るべく、さまざまなマイナンバー関連のセミナーを受講しました。しかし、そこに答えはありませんでした。
「セミナーのほとんどは従業員のマイナンバー収集に向けての対策で、私たちのように『個人事業主のマイナンバーをどう収集するか』というテーマが採り上げられることはなかったのです」(泉氏)
このように模索が続く一方で、マイナンバー対応に向けてのカレンダーは少しずつ進んでいきます。そして、セミナー以外で解決策を探る動きも、不調に終わりました。
「出版社という業態の特殊性が足かせになったという印象です。個人事業主に対応した統合業務パッケージの一部利用も検討しましたが、費用対効果を考えると現実的ではありませんでした。また、出版社向けというマイナンバー収集ソリューションは、個別郵送する記入用フォーマットと入力用のパソコン、そして保管用の金庫という物足りない内容で、収集と入力を支援する特別な仕組みはなく、わざわざ選択するメリットはありませんでした」(泉氏)
社内を経由しない作業工程が決め手に
▲総務経理部 副部長・下田 和恵氏
しかし平成27年10月、同社は、印刷など情報コミュニケーション事業に強い廣済堂と、ICTに深い経験を持つNTTソルコ&北海道テレマートが協業する個人事業主向けのマイナンバー収集、データ化代行サービスの存在を知ります。
「マイナンバーの収集においては、セキュリティと事務処理という、二つの課題があります。弊社のような規模の企業ではセキュリティ管理のための入退室を制限する区画を設けることは困難ですし、郵便や宅配便はほかの送付物と混在するため、紛失の可能性もゼロではありません。そして、日常業務をこなしながら受け取りの確認、正確な入力という事務処理をこなすことは過大な負担に思われました。さらに、そのためにアルバイトなどを雇用することは、セキュリティ管理と逆行することになります」(下田氏)
「『廣済堂とNTTソルコ&北海道テレマートのサービス』は、こうした課題を確実に解決できると感じました。弊社の対象者リストに基づき、収集キットの印刷・発送を廣済堂が行い、返送された届出書は弊社ではなく、厳重な入室管理下にあるNTTソルコ&北海道テレマートのマイナンバー入力センターに届くため、弊社は管理の手間から解放されます。そして入力はミスを防ぐため複数名が担当するなど、弊社では用意できない態勢も魅力でした」(泉氏)
両社のプロフェッショナルとしての知識や経験が、収集を進める上で力強いアシストとなりました。
「個人事業主のリストアップでは、何をもって個人の確認とするのか、とまどうことがありました。筆名(ペンネーム)が本名と異なるだけでなく、事務所の住所といったケースがありましたし、身分証明書と個人番号通知カードに登録されている本名が異なる場合もあったのです。こうした不明点にも即座に答えていただいたことで、弊社が個別に確認する必要もありませんでした」(泉氏)
スムーズなフローで、労力を大きく軽減
このサービスを利用したマイナンバー収集作業は、平成28年3月より始まりました。
「お問い合わせの電話をいただくこともありましたが、返送方法がわからないといったトラブルはありませんでした」(下田氏)
集められたマイナンバーは順次処理され、8月末に入力済みデータの初回納品が行われました。
「納品はNTT東日本のクラウド型オンラインストレージ『フレッツ・あずけ~るPRO』を経由して行われました。弊社もこれに合わせて『フレッツ・あずけ~るPRO』を契約、『契約者間転送機能』を利用し、弊社スペースに直接データを納品してもらいました。納品してもらったデータは社内の特定のパソコンでしかアクセスすることができません。『フレッツ・あずけ~るPRO』での保管は社内に比べ格段に安全であり、それが月々わずかな費用で使えることは大きなメリットだと思います」(泉氏)
「社内処理で、これだけの短期間でミスなくデータ化することは不可能だったと思いますし、かかったコストも社内での人件費に比べ十分に低廉でした。随時、収集状況とともに未返送者リストを報告してもらっていますので、現段階においても返送いただいていない個人事業主を把握し、マイナンバーの届出を引き続きお願いしています」(下田氏)
次回の納品で、同社のマイナンバー収集は峠を越え、これから年末までにはあらたに発生する対象者を含め、対象となる個人事業主すべてのデータ化が終了する見込みとのことです。
会社名 | 株式会社マキノ出版 |
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設立 | 1977年(昭和52年)10月21日 |
所在地 | 東京都文京区湯島2-31-8 |
代表取締役社長 | 室橋 一彦 |
資本金 | 5,000万円 |
事業内容 | 出版業 |
URL | http://www.makino-g.jp/ |
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