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企業ICT導入事例

ICT導入事例 -株式会社三和製玉-

IOT

公開日:2017/02/24

トレーサビリティシステムの確立で業務規模を拡大

食の安全・安心に社会全体が厳しい目を向け、法的規制も強化されています。玉子焼きやオムレツの製造・販売を主たる業務とする株式会社三和製玉は、いち早く業界トップ水準のHACCP(ハサップ)※1対応の工場を作り、徹底したトレーサビリティ※2システムを導入・確立して業績を伸ばしています。同社の多面的な工夫と運用ノウハウは、業種を超えて参考になることがたくさんありそうです。

【導入の狙い】業界最高水準の衛生管理手法を導入、品質管理に集中できる体制を作る。
【導入の効果】万全のトレーサビリティシステムを確立。ヒューマンエラーも抑えられた。

安全・安心な食品製造を目指して新工場にHACCPの管理手法を導入

▲代表取締役・松永 豊氏

富山市に本社・工場を持つ株式会社三和製玉は、寿司用・仕出し用の玉子焼きの製造・販売から創業。取引先もスーパーや給食センターなどに拡がり、玉子焼きやオムレツの製造・販売だけでなく業務用食品・冷凍食品の卸売りも手がける年商7億円超の企業になりました。同社が業務規模を拡大できた最大の理由は、高いレベルのトレーサビリティシステムを確立し、安全・安心な食品を作る企業として広く認められたことによるものです。同社がトレーサビリティシステム導入に踏み切った理由について、松永氏はこう語ります。

「きっかけは、2008年に起きた中国の毒入り餃子事件でした。顧客はもとより、取引先も行政も、社会全体が食の安全・安心に厳しい目を向けるようになり、企業存続のためには思い切った施策が必要だと判断しました」(松永氏)

2010年、松永氏は従来の生産設備を一新するに際し、HACCP基準に沿った施設として認定されることを目指しました。一般には、宇宙食の製造管理手法としても知られるこの衛生管理手法は、食品汚染のあらゆる危険性をあらかじめ想定して対策を立てるものです。

ハードとシステムと人材の管理で「誰でも犯す間違い」を排除する

▲安全・安心を見える化した工場は、工場見学者も増えており、そこで得られた意見を次の改善につなげています

「オムレツ工房」と名づけた新工場へのHACCP導入に際し、松永氏は三つの側面から対策を講じました。一つ目は、物理的に管理することで、作業区画を仕切り、エアシャワーや手洗い装置も別々にし、動線を限定して作業ゾーンや作業服、容器、用具も色分けするなどして、人やモノの交差による汚染を防ぐことです。二つ目はシステムによる管理で、材料の自動秤量システムを採用し、作業工程及び設備管理のデータを自動収集して情報の一元管理を行いました。そして三つ目は人材管理で、マニュアルをシンプルにし、作業目的と管理ポイントを明確にし、高い衛生管理の知識と意識を持たせるようにしました。これは人材育成や適材適所の配置にもつながります。

「食品の安全・安心を構築するのは人です。一方、安全・安心を脅かしているものも人です。知識不足や不注意から誰でも間違いを犯す可能性があるのです」(松永氏)

作業員が適切な判断や行動ができない状態、つまり「フール(fool)」でも対処できる仕組みが必要です。これが「フールプルーフ(foolproof)」で、例えば上記のゾーン別色分けがそれであり、トイレは手洗いしないとドアがロックされるとか、投入材料は自動的に量られたものしか受けつけないといった工夫です。

材料別、日次別、工程別にバーコード設備と仕組みに活かされる豊富な知見

▲多数のモニターで工場や自動倉庫の状況を常にチェックしています

「ヒューマンエラーを防ごうとして管理が煩雑になり過ぎたら稼働効率が落ちてしまいます。この二律背反を克服する上で、ICTの積極的な活用が不可欠なのです」(松永氏)

2011年から使われることになった工場及び自動倉庫の稼働状況は、本社にある多数のモニター画面や品質管理室のモニターで常時チェックされています。製品には使用した原材料や調味料、製造日時、製造ラインなどの情報が多数のバーコードになって添付され、トレース可能になっています。細菌の汚染防止のために焼成の温度管理も自動化。また異物混入はX線検査機でチェックし、製品は大型の自動冷凍倉庫にすぐ保管されます。

同社のICT活用は、ヒューマンエラーを防御すると同時に、記録や確認といった煩雑な管理を軽減することや、生産結果を基に分析し、さらに人が現場の品質に意識を傾けることのできるシステムを目指したのです。

しかしICT活用では、その仕組みを現場にどのように組み入れるか、そして社員にどう使いこなしてもらうかのノウハウが重要です。同社の場合、松永氏の豊富な知見と先代から引き継いだ経験がありました。

「例えば玉子焼きは、関東圏は甘め、関西圏は出汁味が効いたものという違いがあり、個々の寿司店でも好みが違います。当社はオムレツでも40種類作っているのですが、納入先に合ったものを誰でも作れるようにするには自動秤量システムが不可欠でした。『設備投資が過剰じゃないか』という声も出たのですが、『玉子焼きでここまで徹底管理する会社はほかにはない』と胸を張りたかったのです」(松永氏)

自社システムとパッケージを併用して活用「割り切りと踏み出す勇気が必要」

松永氏は先代からこの家業を承継する前は薬品会社に勤務し、薬品製造の品質基準に準拠したシステムを社員に指導する仕事をしていたことが、HACCP導入と新工場設計に役立ったとのこと。

「図面や工程図も自分で作りました。販売管理や生産管理、自動倉庫のシステムも、社内に委員会を作り、出入りのベンダーと相談して開発しました。でもHACCP対応のシステムは大手ベンダーのパッケージを購入しました。自社開発するより合理的だと判断したからです」(松永氏)

食の安全・安心への社会的要請も法的規制もますます厳しくなっています。業界に先駆けてトップ水準の衛生管理システムにした同社ですが、時代がそれに追いついたと言えます。

「現状に満足しているわけではありません。さらにきめ細かな管理ができるようになること、そのデータを分析して計画に活かすこと、省人化を進めることなどの課題に取り組んでいます」(松永氏)

最後にICT活用のアドバイスをこう語ります。

「目標を絞る割り切りと踏み出す勇気でしょうか」(松永氏)

※1 HACCP:Hazard Analysis and Critical Control Pointの略。食品の製造・加工工程のあらゆる段階で発生するおそれのある微生物汚染などの危害をあらかじめ分析し、重要管理点を定め、段階ごとの対策を講じて連続的に監視することで安全を確保する衛生管理の手法。
※2 トレーサビリティ:跡をたどることができるという意味。食品の安全を確保するために、原材料の栽培や飼育から加工・製造・流通などの過程を明確にすること。また、その仕組み。

会社名 株式会社三和製玉
設立 1975年(昭和50年)5月1日
所在地 富山県富山市向新庄町8-1-29
資本金 5,000万円
代表取締役 松永 豊
事業内容 鶏卵加工食品製造業、業務用食品卸売業
URL http://www.sanwaseigyoku.co.jp/

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