企業ICT導入事例

-株式会社グッドライフケアホールディングス-
積極的なICTの活用により介護・看護サービスが“先進的な情報ビジネス”に

介護・看護業界で先駆的にICTを導入し業績を伸ばす株式会社グッドライフケアホールディングス。クラウドを利用した独自の情報共有システムを開発し活用することで、サービスの質の向上や業務の効率化、さらに企業価値の向上を実現しています。

【導入の狙い】スタッフ間の情報共有、利用者の体調管理、ファイルの随時閲覧など
【導入の効果】介護・看護サービスの質の向上、実務の効率化、企業価値の向上など

保険代理店から介護・看護サービスへ参入したユニークな会社

2000年4月より介護保険制度が開始して以来、介護市場は9.3兆円※規模に達しています。そうした中、これまでの介護・看護の常識にとらわれず、毎月100~150の新規案件を受注し順調に業績を伸ばしている会社があります。東京と大阪を拠点に介護・看護、居宅介護支援、リハビリの事業を展開する株式会社グッドライフケアホールディングスです。

同社は2000年に保険代理店として創業し、2005年より副業として介護事業をスタート。代表取締役の小田氏が「人に喜ばれる仕事」「今後成長が見込める仕事」を始めたいとの想いから、自らホームヘルパー2級の資格を取得。“利用者が求めていることに応える”というシンプルな考えのもと、実務に取り組んできました。

他社に先駆けてクラウドを活用し、独自の情報共有システムを開発

▲取締役 IT推進担当 介護福祉士・池原 吉豊氏

その原動力となったのがICT。スタート当初は、社員に向けて連絡事項を一斉に配信するメーラー機能のみで対応。ところが、事業規模が大きくなるに従い、訪問先で安定した質の介護・看護サービスを円滑に提供することが課題になってきました。そこで、(1)ケアマネジャー、看護師、理学・作業療法士など異なる専門領域のスタッフ同士がリアルタイムに情報共有・管理できること(2)多くの利用者の血圧や血糖値、尿量などのデータを一元管理すること(3)介護・看護サービスの手順書、研修や勉強会などのファイルを随時閲覧できること――などの実現が必要と判断。同業他社に先駆けて、2009年頃よりクラウドを活用し始め、その後、独自の情報共有システム「G24システム」を開発しました。

「社員からは拒絶されるどころか『利用者の情報を知りたい』『必要な書類を閲覧したい』などの声が上がるほどで、そうした要望を取り入れて次第に使い勝手が良くなってきました」(池原氏)

2012年4月からの「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」の開始に伴い、同社は24時間365日対応の介護・看護サービスに対して、率先して都心部の案件を受注し、「G24システム」を最大限活用することで対応。

「昼夜を問わず、突然体調に異変が起きても、システム端末機から利用者の情報を把握し、ほかの専門スタッフや医師などと連携することで、迅速で適切な対応ができる環境を整えています」(小田氏)

そうした環境整備の一環として、システム内には介護・看護スタッフの連絡用、エリアごとの介護グループ用、ケアマネジャーの研修・講習用など目的別に10数のコミュニティサイトを開設。各サイトには目的に関係する専門スタッフが参加し、情報共有・交流、ファイルの管理・閲覧などが行われています。

システムの無償提供で介護・看護サービス全体の質の向上を

▲利用者が「みまもりケータイ」の呼び出しボタンを押すだけで、オペレーターの電話につながり、同時にオペレーションセンターのモニター上に利用者の心身状況や居住環境、過去の利用履歴などの情報が表示されます。オペレーターはその情報を参考にしながら適切な応対が可能

さらに、提供するサービスにおいて一定の質を維持する目的で、ICTを利用した社員教育に注力しています。テレビ会議システムなどを通じて、介護・看護やICTの活用に必要な知識やスキルを習得する研修や勉強会を実施。現在、13のプログラムが同時進行中です。勉強会では、担当スタッフが看護シミュレータを使い実践に近い形での介護技術の指導を中継しながら、「このように体を抱えてベッドへ移動して座らせます」などと移動介助の仕方を紹介するなど、現場で培ったノウハウを社内で共有し会社全体のレベルアップにつなげています。

一方、訪問介護・看護サービスを展開する同業他社に向けて、「G24システム」を無償提供しています。

「クラウド型のICTシステムを開発し、ほかの事業者へ広く還元して介護・看護サービス全体の質の向上に寄与することは、当社しかできない社会貢献と自負しています。いろいろな事業者が利用することで、新たな改善点やアイデアが見つかり、より使い勝手の良いツールになると思います」(小田氏)

ICTの活用でビジネスチャンスはさらに広がっていく

将来、要介護状態の高齢者が住み慣れた地域で暮らせるようにする「地域包括ケアシステム」が奏功しサービスの利用者が増加すると、地域のボランティアなどとの連携が不可欠となり、ICTによる情報共有・管理の重要性が増してくると予想する小田氏。

「10年先をめどに、都心部ではサービス拠点から半径500m内の範囲が対象エリアになると予測しています。その時、『G24システム』が“地域の情報ハブ”として機能することで、地域の方たちとの連携を円滑にし、効率よくサービスを提供できると考えています」(小田氏)

同社にとって、ICTツールは介護・看護サービスの質の向上、業務の効率化を図るだけにとどまらず、企業価値の向上にも寄与しています。介護・看護業界では人材確保が課題となる中、“ICTを活用する介護・看護サービス会社”としてICTの知識やスキルを学べる点が魅力となり、求人応募に好影響を与えています。

「24時間365日切れ目なく、ご利用者の体調をデータで管理し寄り添い見守っていく介護・看護サービスの仕事は、“先進的な情報ビジネス”と言えるでしょう。今後も、ICTを活用することでビジネスチャンスはますます広がっていくと確信しています」(小田氏)

※9.3兆円:平成26年度厚生労働省介護給付費実態調査の概況より

会社名 株式会社グッドライフケアホールディングス
設立 2015年(平成27年)6月
(前身の株式会社グラフィスは2000年6月設立)
所在地 東京都中央区新川1-11-11 東京冷凍新川ビル3階
代表 小田 秀樹
資本金 3,365万円
事業内容 介護保険事業
URL http://www.glafis.co.jp/

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