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電話応対でCS向上コラム

第79回 「広がるウェブ会議」

7月号で、新型コロナ以後、暮らしも仕事も教育も、文化、スポーツの世界も大きく変わると書きました。すでに変わり始めているもの、これからじわじわと変化するもの、その影響は多岐にわたっています。激増するウェブ会議もその一つです。効率的で使い勝手の良いこの機能は、コロナの自粛ムードの中で満を持していたかのように一気に広がりました。しかし、まだまだメリットとデメリットの両方を抱えての登場です。

初体験のウェブ会議

 この6月、遅ればせながら、私は初めてウェブ会議への招待を受けてその体験をしました。IT機器類に関しては、きわめて未熟な知識しか持ち合わせない私にとって、ウェブ会議への参加はかなりなプレッシャーでした。しかし、案ずるより産むが易しで、やってみればそう戸惑うこともなく無事終了。その後5回参加したウェブ会議、その内の一つはこの会議システムを使っての講演会でした。出席者は90余人。時間は2時間。どうなることかと思いましたら、これが誠に見事に進行しました。講演の合間には数回のブレークアウトセッション※もあり、4・5人が画面上の小部屋に分かれて、提示された課題の討議もします。さらにはその都度、討議の結果を踏まえた投票箱があり、その投票結果がほぼ瞬時に、グラフとなって画面に表示されるのです。このシステムの賢さには驚き感心させられました。

 とはいっても、私が体験したのは機能のほんの一部でしょう。遠隔でやるこのシステムは、これからの会議、講演、研修。教育などを大きく変えるだろうとつくづく思ったのです。

万機公論に決すべし

 ウェブ会議初体験の私の感想は、必ずしも肯定ばかりではありません。上記の講演会などは良しとしても、微妙な語調も体温も伝わらないウェブ会議で、どこまで議を尽くすことが出来るかには不安があります。

 明治政府が作った「五個条の御誓文」をご記憶でしょうか。そこには「広く会議を興し万機公論に決すべし」と書かれています。つまり物事を決める時には、会議を開いて議論して決めなさい。それが民主主義の基本だと説いているのです。爾来日本人はこの言葉を大事にしてきました。勿論ウェブ会議など想像もできない時代のことです。

会議室取りに苦労した 平成期

 時が変わり平成の時代、どこの企業でも会議が増えました。会議室が足りず、カラオケルームまで会議室にしていた時代です。1日の3分の1を会議にとられると嘆く企業人たちは、さまざまな苦肉の策を生み出しました。全員立って会議をする立ち話し会議。発言時間を事前に申告し、それを厳守させる会議。また、本音が出やすいように、休日に全員ラフな普段着で参加するというミーティングスタイルを生み出し、それを定例化している会社もありました。それでも、言い足りなくて不満の残る会議が多かったのです。

その不満のガス抜きも兼ねて、「デスマッチ討論」と名づけた時間無制限の徹夜の会議をやったことがあります。結果的には休憩を挟んで15時間、出席者9名は、さすがにしゃべり切った満足感がありました。しかし、「いくら万機公論に決すべし」といっても、この手法は令和には馴染みません。現実のウェブ会議は、きわめて効率的に短時間で済むように機能しています。白熱の論議などは考えられないのです。

ウェブ会議への期待

 新型コロナウイルスの感染拡大に対する緊急避難として普及を早めたテレワークやオンライン化ですが、想定を超える高い実施率のようです。東京商工会議所の調査を例にとれば、6月上旬までの会員各社のテレワーク実施率は、67.3 %と半数を超えています。ウェブ会議は今後とも主流になって行くのだと思います。ただ何点か素人考えの危惧もあります。

①十分に議論を尽くす場にはなり難く、薄い討議のまま採決に持ち込まれかねない。

②ウェブ上では、微妙な表情、息づかい、反応などが読み取り難い。

③参加者相互に理解し合い、関係を深めるのに必要な雑談、冗談、無駄が入る余地がない。

 これらの課題を乗り越えて、ウェブ会議がさらに精度の高いツールとなるのには、そう日数はかからないでしょう。使う皆さんが、その便利さ面白さに流されることなく、会議としての必要性、重要性に軸を置いて深めてくださることを期待しています。

※ ブレークアウトセッション:ウェブ会議ツールZoomの機能の一つ。
 参加者を少人数に分けて、それぞれで話し合ってもらう機能。

岡部 達昭氏

日本電信電話ユーザ協会電話応対技能検定 専門委員。
NHKアナウンサー、(財)NHK放送研修センター理事、日本語センター長を経て現在は企業、自治体の研修講演などを担当する。「心をつかむコミュニケーション」を基本に、言葉と非言語表現力の研究を行っている。

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