電話応対でCS向上コラム
第26回 アナウンサーのノウハウから学べ「ジューンブライド」ともいうように、6月は結婚式の季節。披露宴など大勢の前で話す機会もあると思いますが、そういった状況を苦手とする人も多いのではないでしょうか。スピーチ下手の人によく見受けられるのが、話がまとまらずにだらだらと長くなってしまうケースです。今回は自分が伝えたいことを明確にまとめ、聞き手に喜ばれるスピーチを行う秘訣を紹介します。
話したいことを1つに絞る
スピーチ下手な人の多くは、自分の話したいことばかりを考え、思い浮かんだことを全部話そうとします。その結果、だらだらとまとまりがなくなってしまうのです。
大事なのは、自分が話したいことよりも、聞き手が聞きたいことを話すこと。ですから、まず準備段階で聞き手がどのような話を聞きたいかをリサーチする。そして、その中から思い切って1点に絞り、それを具体例で膨らませて話すのです。
1点に絞ることのメリットは「自分が一番伝えたいことが明確になる」「1点に絞ることで、人前で上がって話し忘れたりすることを防げる」「話の軸が決まるので、それを具体例などで膨らませて、話を深めることができる。ポイントのくり返しもしやすい」などがあります。また、何よりのメリットとして、スピーチが短くなるので、聞き手に喜ばれるのです。
次に、本番で話す際のポイントを6点紹介しましょう。
スピーチで意識したいポイント
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大勢の前でも1対1の対話のように「個」に話しかける
話によく反応してくれる人を数人見つけて、主としてその人に向かって話しかける。ミラーリングといって鏡のように、聞き手がいいと話し手もうまく話せるのです。 -
最初に一番遠くの人に向かって話しかけて、声のボリュームを調整する。
遠くまで届く声を理解する。 -
原稿は極力読まない
ポイントをメモにしておく。忘れたときには、堂々とメモを見ます。 -
身振り手振りを使って全身で話す
体を柔らかくリラックスさせます。多くの聞き手に向けるアイコンタクトも大切。 -
大事なポイントは繰り返し伝える
「いいですか、もう一度言いますね」という感じで印象付ける。 -
充分に間をとってゆっくり話す
早口や立て板に水の話し方では伝わりません。
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これらのポイントはトレーニング次第で誰にでもできることなので、まずそのことを意識してください。
さて最後に、以前アナウンサー仲間5人でスピーチ談義をしたときのことをお話しします。それぞれに「よいスピーチの3条件」を挙げたのですが、1つ目と2つ目は全員が一致しました。1つ目は「短く」、2つ目は「具体的に」です。3つ目はそれぞれ異なりましたが、私は「自分の気持ちを素直に話すこと」を挙げました。格好をつけたり、受けを狙ったりするのではなく、正直に自分の気持ちを話す。聞き手の心に伝わるスピーチの必須条件だと私は思います。
今回の振り返り
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「一番伝えたいこと」に絞って短く話す
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具体的な話をして、話を深める
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自分の気持ちを素直に話す
岡部 達昭氏
日本電信電話ユーザ協会電話応対技能検定 専門委員会委員長。
NHKアナウンサー、(財)NHK放送研修センター理事、日本語センター長を経て現在は企業、自治体の研修講演などを担当する。「心をつかむコミュニケーション」を基本に、言葉と非言語表現力の研究を行っている。
このコーナーでは、「もしもし検定」の試験で出題された問題の中から、毎回1問ずつ掲載していきます。
■問題(※3級試験問題より)
お弁当屋さんが注文を受け、お客さまに割り箸を付けるかどうかをたずねました。適切なものを次の中から1つ選びなさい。
1.「割り箸をお付けになりますか」
2.「割り箸をお付けになられますか」
3.「割り箸をお付けしますか」
4.「割り箸を付けますか」