電話応対でCS向上コラム
第11回「常識」とアサーションの関係を考えるアサーティブな言動をするには、日頃のものの見方や考え方、常識、自分の価値観や思い込みなどが影響します。今号では、日頃の考え方をチェックし、落ち込んだり、攻撃的になったりする理由は何か?について考え、よりよい自己表現を生み出す基礎づくりを考えます。
自分の思い込みをチェックしてみよう
まずは皆さんの日頃の考え方をチェックしてみましょう。
回答欄の数字が4と5の場合、その項目は現実的な考えをしているといえるでしょう。回答欄の数字が1または2の場合、その項目は理想的、あるいは義務的な考えをしている可能性があります。①と⑥、②と⑦、③と⑧、④と⑨、⑤と⑩は似た内容を述べていて、2つの項目の回答が同じ傾向を示している場合、そのテーマについては似たような考え方をしていることになります。
①と⑥の回答欄が「当てはまる」になった場合
人に嫌われないように自分の意見や希望は言わず、揉め事を避けるようになる可能性があります。「とりあえず半分ぐらいの人、自分の好きな人に好きになってもらおう」というあたりからスタートしましょう。
②と⑦の回答欄が「当てはまる」になった場合
失敗をして叱られたなどの体験から「失敗恐怖」が生じ、完璧主義に陥っている可能性があります。できたことを喜ぶ気持ちを持つと、自分や他者を責めなくなるでしょう。
③と⑧の回答欄が「当てはまる」になった場合
自分の思いと違ったことが起こるのを嫌う傾向があります。あなたが他者を変えることはできませんが、致命的だと放棄したりせず、状況を改善する方向を探ることがアサーションにつながるでしょう。
④と⑨の回答欄が「当てはまる」になった場合
人を傷つけまいと細心の注意を払って生きているので、自他共に厳しくなりがちです。相手を傷つけてしまうことはありますが、それを受けとめ、できる限り修復に心を砕きましょう。
⑤と⑩の回答欄が「当てはまる」になった場合
不安は致命的でも、回復不可能でもないことが多いのです。不安や心配は対応のための信号だと思い、危機を乗り越える力と方法を生み出していきましょう。
考え方は自分の生き方の選択の方向や価値観を示してくれますので大切です。それが自分にふさわしいものであれば、それがあなたの生き方の羅針盤です。ただし、他者から押しつけられたり、自分や他者を苦しめたりするものであれば、4あるいは5に変えてもいいのです。
※アサーションは、「もしもし検定」のカリキュラムに導入されています。
平木 典子氏
日本電信電話ユーザ協会 電話応対技能検定委員。立教大学カウンセラー、日本女子大学人間社会学部心理学科教授、跡見学園女子大学臨床心理学科教授を経て、統合的心理療法研究所(IPI)顧問。専門は臨床心理学、家族心理学。日本カウンセリング学会理事。