電話応対でCS向上コラム

第1回 自分も相手も大切にする、自他尊重の自己表現「アサーション」

誰もが気持ちの良いコミュニケーションをし、よりよい人間関係を築きたいと願っています。コミュニケーションが複雑化する現代では「自分をもっとうまく表現できたら」と悩まれている方も多いのではないでしょうか。そんなときに役立つのが「アサーション」です。毎日の生活に取り入れれば、表現力とコミュニケーション力がアップし、人間関係の円滑化にも効果があります。第1回の今回は、「アサーションとは何か?」について、お話ししたいと思います。

自分も相手も尊重するアサーション

私たちは日頃、自分の気持ちや意見がうまく言えなくて残念な思いをすることがあります。そのような表現をアサーションでは「非主張的」や「攻撃的」と呼びます。それらの表現は、いつの間にか自分のクセになっていたり、特定の人との関係でパターン化されたりして、対人関係のつまずきが繰り返される原因にもなります。そして、そのいずれでもない自己表現、それがアサーションです。

アサーション(assertion)とは、自分も相手も大切にした自己表現やコミュニケーションのことです。assertionという単語を辞書で引くと、「主張」「断言」という訳が出てきますが、「アサーション」はそれだけではなく、「自他尊重の自己表現」のことであり、心理、行動、そして対人関係の視点から見直した人間関係づくりの考え方と方法でもあります。

アサーションの実践には、「1. 自分の気持ちや意見をはっきりさせること、2.それを具体的に表現するスキルを身につけること、3.相手の思いを理解すること」の3つの要素が必要です。

その3つの要素を満たした状態をアサーティブ(assertive)と呼び、自分の気持ちや考え、信念などを、正直かつ率直に、そしてその場にふさわしい方法で表現することをアサーティブな表現といいます。

アサーションは、歩み寄りの精神を重んじる

アサーションは歩み寄りの精神を重んじます。意見の食い違いが起きたときに、根気よく互いの意見を出し合うことを大切にします。そして、互いにゆずりあいながら、双方が納得のいく結論を出すのです。

多少時間がかかっても、互いのことを大切にし合ったと言う気持ちが残る会話を目指すのです。なぜなら、話し合いをすることで、ひとりの提案以上に豊かな創意や工夫が生み出され、双方が納得のいく妥協案を見出せる可能性があるからです。自他尊重の自己表現であるアサーションを知れば、あなたの自己表現はより適切になり、もっと自由で清々しい毎日を送ることができるようになるでしょう。

※アサーションは、「もしもし検定」のカリキュラムに導入されています。

平木 典子氏

日本電信電話ユーザ協会 電話応対技能検定委員。立教大学カウンセラー、日本女子大学人間社会学部心理学科教授、跡見学園女子大学臨床心理学科教授を経て、統合的心理療法研究所(IPI)顧問。専門は臨床心理学、家族心理学。日本カウンセリング学会理事。

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