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企業ICT導入事例

ICT導入事例 -京都機械工具株式会社-

IOT

公開日:2017/07/25

ICTを活用、革新的な製品を開発し続ける工具メーカー

自動車から医療機器まで、メカニック(整備士)が使うさまざまな工具類を1万種以上も製造する京都機械工具。常に革新的な開発に取り組む同社は、工具と最新技術のIoT(モノのインターネット)やウェアラブル端末、RFID※1などを組み合わせた次世代工具の開発にも挑戦し、作業者の安全と効率向上のために幅広く事業を展開しています。

【導入の狙い】作業の精度を高め、記録も残せる効率的な工具が必要。
【導入の効果】誰もが正確に作業でき、トレース可能なシステムを実現。

メカニックの作業を、より安全で効率良くする道具

  • ▲次世代開発本部
    グローバル工具ソリューション部
    技術開発グループ マネージャー
    中田 祥吾氏

    自動車や電機・機械製品の組立では自動工作機やロボットが活用されることが一般的ですが、製品が世に出た後の修理や点検では、今でも手作業用の工具が必要になります。その理由は時間とコストの制限、限られた作業空間、微妙な調整を必要とする難しさなどから人が工具を使って修理や点検を行う必要があるからです。

    京都機械工具は、スパナやソケットレンチといった工具の製造販売を中心に展開を広げ、同社のブランド「KTC」の製品は、主に自動車整備や精密機械の組立・保守などのメカニックたちに使用されています。その製品は独創的な技術力で市場をリードしており、F1や世界ラリー選手権などモータースポーツの最高峰で使用されていることからも品質の高さが分かります。そして近年、同社は作業のトレーサビリティ(追跡可能性)を高めるシステムも販売。「安全、快適、能率・効率」を開発コンセプトにし、工夫を重ねてきました。

「近年、自動車でもアルミやプラスチックを使うようになり、締める力(トルク)が少しでも余計にかかると、部品を破壊しかねません。配電盤のような装置なら異常な抵抗が生じて火災を起こしかねません。そこで工具業界では、トルクレンチなどに音や数値表示で規定値を『見える化』する工夫がなされてきました。また、そのトルク値を検証できるよう記録に残す手順も重視されるようになりました。しかし、数値にバラつきが生じたり、記録に手間取るなどの問題があったのです」(中田氏)

作業のトレーサビリティをIoTで実現する製品

こうした課題に対して、同社は改良を重ね、2011年に「デジラチェ[メモルク]」を開発しました。これはトルク値をデジタル表示し、設定値に達すると音と光で知らせ、その測定データを無線でパソコンに送信して記録・管理できるものです。ベテラン作業員のカンやコツに頼っていた作業が、若い技術者でもできるようになり、人材確保や育成、技術の継承といった面でもメリットが生まれます。

「作業データを自動で記録・管理でき、トレーサビリティをIoTで実現しました。機能はそれだけでなく、パソコンで設定したトルク値をトルクレンチ側にも送信できます。また、タイヤの取りつけのように、複数のボルトやナットを締めつける場合、締める順番も重要になりますが、作業管理のモニターには、それも表示できるソフトウェアが組み込まれています。ですから『デジラチェ[メモルク]』は、単体の道具ではなく作業品質管理ソリューションです」(髙橋氏)

このトレーサビリティを持つソリューションで実現したのは、工具・作業者の状況に関するリアルタイムの情報取得であり、締めの規定値を誤ったり作業対象を取り違えるというエラーの減少です。作業者端末には、手順とトルク値が表示されますから、どのような技術レベルの作業者でも作業結果にバラつきがなく、確実な作業が行えます。そして作業者名、作業内容、時間、場所などの情報を取得することで、タクトタイム※2管理や作業技能管理の高度化が容易になり、検査工数削減による効率化・コスト削減も実現します。また計測結果を品質管理記録や保全記録として活用でき、作業履歴を残す確かな「管理」が信頼性の向上やリスク回避につながります。導入企業では、工場全体で作業が迅速・正確になり、検査や作業管理の工数削減が可能となり、“価値の連鎖”が生まれています。

先進的ICTと工具を組み合わせる新たな挑戦

  • ▲工具の基礎的な知識をオリジナルキャラクターが教えるサイト

    同社の開発はさらに続いており、連続的・系統的な技術革新を「工具大進化」と呼んでいます。

    「私たちの『工具大進化』は、①熟練工のカン・コツ依存から測定へ、②手書きの作業記録から自動記録へ、③トルク測定からトレーサビリティ作業管理へ、④自動認識技術やインターネットと連携するスマート工具へ…と展開しています。また工具だけでなく、より効率的な作業スタイルも考えてきました。今は、眼鏡タイプのカメラつき端末「スマートグラス」を装着し、作業の確認と遠隔監視に使うといった試みや、作業対象のボルトなどにRFID(無線タグ)をつけて作業の正確性を高めるといった試みにも挑戦しています」(髙橋氏)

  • ▲次世代開発本部次世代工具開発室
    室長
    髙橋 広氏

    さらに、同社のユニークな取り組みとしてSNSの活用も見逃せません。Facebook、Twitter、Instagram、さらにはYouTubeも使って、盛んに情報発信しています。

    「例えば、7万人のファンがついたFacebookで、若手担当者がなるほど!と感じた工具の特徴をイラストつきで連載したのです。これが評判を呼び、工具選びの入門編として書籍でも販売されました。YouTubeには、ナットなどの『正しい締め方/間違った締め方』を数十秒程度の映像で紹介しています。昔からのコアなファンだけでなく、若いメカニックや技術者にも親近感を持っていただくにはSNSが有効で、わが社の技術力やブランド力全体の底上げになっています」(髙橋氏)

幅広い情報発信でものづくりの進化を加速

  • ▲スパナやソケットレンチなどの工具から、最新の工具まで備えた「KTCものづくり技術館」

    同社は2003年以来、ショールームを兼ねた「KTCものづくり技術館」を開設しています。ここには約3,000種の製品、KTCのロゴを使ったグッズ、新製品のデモコーナーなどが設けられ、連日、多くの見学者が訪れています。また開発や営業の担当者がユーザーとの商談に使ったり、国内外でのイベント向け出動拠点としても活用されています。

    メカニックたちの手や目、頭脳にもなる工具を提供する同社のスタッフは、ものづくりへの誇りと情熱を持っています。新たな製品を生み出し進化を続けるパワーは、現場での使用状況と使い勝手の勘どころを知り尽くしたスタッフが、ICTを積極的に取り入れ、SNSを通じて顧客とのコミュニケーションを深める取り組みから生まれているのです。同社の事例は、まさに日本のものづくりの可能性と未来を表わす事例といえます。

※1 RFID:Radio Frequency IDentificationの略。ID情報を埋め込んだRFタグ(カード型やコイン型などの情報媒体)から無線通信によって情報をやり取りする。
※2 タクトタイム:製造における品物を一つつくるために必要な時間もしくはピッチ。

会社名 京都機械工具株式会社
設立 1950年(昭和25年)8月2日
所在地 京都府久世郡久御山町佐山新開地128
資本金 10億3,208万円
代表取締役社長 宇城 邦英
事業内容 自動車整備用工具、医療用工具及び関連機器、一般作業工具及びこれらに関連する機器の製造販売
URL http://ktc.jp/
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