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電話応対でCS向上コラム

第72回「メモ力を鍛える」

 一口に「メモ」と言ってもいろいろあります。伝言メモ、留守番メモ、思いついたことや必要なことを忘れないように記しておく備忘録。また、打ち合わせや交渉ごとなどの発言の要点、要約を書き記した記録、覚書などです。「メモ」という省略語の語感からしますと、何となく軽く見られがちですが、メモが優れた発明、発見を生むことがあります。また、メモの存在が大きな犯罪を暴き出すことさえもあります。今回は、このメモについて、伝言メモを中心に考えます。

伝言メモ、きちんと書けますか

 放送の現場にいた頃のことです。取材や会議、収録などで席を空けたあと自席に戻ると、机にベタベタと伝言メモが貼られていました。携帯電話などがなかった当時は、伝言メモは大事な伝達手段だったのです。席を空けていた時間が長いと、しばらくはそのメモの処理に追われたものです。ところが、1件の処理に甚だしく時間を取られることがあります。伝言メモの書き方が杜撰(ずさん)なのです。既知の人からの電話だと、すぐ折り返せますが、どこの誰なのか何の件かかかってきた時間受けたのは誰か、先方の連絡先などがきちんと書いてないために、手掛かりを探すのに大苦労することがありました。若い頃、「伝言メモの書き方」などを学んだ記憶はありません。今にして思うと、それは教育の盲点だった気がします。
「伝言メモ」と「道案内」※は、情報伝達力習得の基本中の基本だからです。
情報を伝える際には、①相手が今知りたいことは何か、②何が分かっていて何が分からないのか、③相手が行動を起こすのに必要な情報は何か。この3点を考えることは必須の要件でしょう。(※道案内につきましては、第54回を参照してください)

留守電という伝言メモ

 2019年度の電話応対コンクールの課題では、留守番電話が重要な審査のポイントの一つになっていました。「急ぎのメールを送ったが返事がない。どうなっているのか」というお客さまからの問い合わせ電話を受けて、外出中の社員に、留守番電話で30秒以内で伝言を伝える、というケースでした。情報の整理に、選手の皆さんはかなり苦労していました。30秒に収まり切れずにカットされた選手も何人かいました。
この留守番電話も、音声で伝える伝言メモの一つです。しかし、スマートフォンなどの情報機器の普及で留守電を使うことがめっきり減りました。一部の営業電話か、今回の課題のように、部内同士の連絡に使う程度です。使用頻度が落ちると、そのスキルも劣化します。
繰り返しになりますが、留守番電話は相手の知りたいことを、簡潔に迅速に、ポイントを押さえて分かりやすく伝えるという、情報伝達、説明力の基本なのです。その集約が「伝言メモ」にあります。その視点で聞くと、コンクールの留守番電話には、いくつかの課題が見られました。情報を入れ過ぎるのです。「誰から何の用件で先方は急いでいる、メールを見たらすぐ私に電話ください」この4点で良いと私は思います。詳細とその対応は、電話があった時に伝えれば済むことでしょう。留守電や伝言メモにとって、情報が多過ぎると、かえって伝わり難いのです。
留守番電話や伝言メモを使う際に、忘れてはいけない鉄則があります。伝言が確実に伝わったことの確認です。そしてその結果を発信者に報告することです。留守電に入れっ放し、伝言メモに書きっ放しでは、責任ある対応とは言えないでしょう。

メモしてもよろしいですか?

 メモについて、少々堅苦しい話になってしまいましたが、本来「メモする」とはもっと気軽な行為でしょう。良い話を聴いた時、耳よりな情報を耳にした時、突然良いヒントが浮かんだ時などに、忘れないように記録しておくのもメモです。後輩のM君は、私と話をしている時、途中でポケットから紙を取り出して、目は私から逸らさずにちょこちょことメモをします。話している私は話に一層熱が入ります。教え子の一人Sさんは、必ず「先生、メモしてもよろしいですか?」と承諾を待ってメモします。
最近はパソコンやスマートフォンに直接メモするのが当たり前になりました。時代遅れかもしれませんが、その光景に私は馴染めません。せめて「メモしてもよろしいですか?」の一言があれば、気分は大分違うでしょう。これはメモする際のマナーです。

岡部 達昭氏

日本電信電話ユーザ協会電話応対技能検定 専門委員。
NHKアナウンサー、(財)NHK放送研修センター理事、日本語センター長を経て現在は企業、自治体の研修講演などを担当する。「心をつかむコミュニケーション」を基本に、言葉と非言語表現力の研究を行っている。

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