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電話応対でCS向上コラム

第26回 「教えるコミュニケーション、教わるコミュニケーション」② “啐啄同時”の指導効果

企業や自治体、団体で働くみなさんは、それぞれの組織内で多くの研修を経験してこられたと思います。新人研修に始まって、年次別研修、職能別研修、階層別研修、専門技能研修、昇進研修、語学研修など枚挙に暇ない研修が組まれています。そして、その受講後の満足感、不満感もまた様々でしょう。今回は、人材育成という、組織にとって重要な研修指導のひとつのあり方について考えます。

“啐啄同時”とは何か

「啐啄同時」という言葉をご存じでしょうか。あまり聞きなれないこの言葉、実は禅宗の経典に出てくる言葉です。繁殖期の親鳥が卵を抱いて温めます。何日かすると雛は成熟の時を迎えます。すると、雛は卵の中から殻をつついて親鳥に信号を送ります。この合図の信号を「啐」と言います。その信号を受けて、親鳥は外から殻をつついて割ってやります。これを「啄」と言います。この啐と啄のタイミングが合うことが大事です。このことを「啐啄同時」と言います。この「啐啄同時」の考え方が、社員の指導育成に大きく関係してくるのです。

この言葉を、社員教育や日常の部下指導を考える際の、重要なキーワードとしている企業が増えています。それは研修参加者を画一的な割り振りで決めるのではなく、日常の業務の中で、直面する課題を抱えて悩んでいる人に、問題解決に即役立つ研修に参加してもらうのです。

プレゼンテーション研修での意気込みの違い

具体的な例でお話しましょう。このところ、社員のプレゼンテーション力の強化に力を入れている企業が増えています。プレゼンテーション研修には、各部署から選ばれた若手、中堅の社員が集まります。それぞれの業務に関係するテーマを元に、実際の場面を想定して、3分から10分ぐらいのプレゼンテーションを行います。それをビデオに収録して再生し、皆で検討するのです。最初から達者に演ずる人もいれば、初めての経験にしどろもどろで立ち往生する人もいます。こうした中で、1回目、2回目、3回目と、目に見えて良くなる人がいます。それは、近々業務でプレゼンテーションをすることが決まっている人です。想定テーマで取り組む人とは、やはり微妙に切実感が違ってくるのです。もしもし検定のインストラクター研修でも、研修から戻り次第、既に何人かの後輩の指導を命ぜられている人がいます。意気込みが違います。まさに「啐啄同時」の研修参加なのです。

日常業務でも必要な“啐啄同時”

「啐啄同時」が生きるのは、研修の場だけではありません。日常業務の中でも全く同じです。

人間関係の中で、人は皆、絶えず何らかの信号を発して生きています。嬉しい信号もあれば苦しい信号もあります。前向きな信号もあれば後ろ向きな信号もあります。その信号に周囲がどこまで気付き、それに対応できるかが大事です。場面は違いますが、大きな社会問題となっている、いじめによる少年少女の自殺なども、まさにこども達が発していたSOSに、大人が気付かなかったことから起きた悲劇です。

企業内でも、若年層のコミュニケーション力の低下が問題となっています。上司や先輩は、部下や後輩をどこまでアクノリッジメント(注視)できるか。そして、部下後輩が発している啐の信号に素早く気付き、適切な啄の対応をとる「啐啄同時」が必要なのです。

岡部 達昭氏

日本電信電話ユーザ協会電話応対技能検定 専門委員会委員長。
NHKアナウンサー、(財)NHK放送研修センター理事、日本語センター長を経て現在は企業、自治体の研修講演などを担当する。「心をつかむコミュニケーション」を基本に、言葉と非言語表現力の研究を行っている。

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