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電話応対でCS向上コラム

第21回 話しことばと書きことば

ユーザ協会の「もしもし検定」や「電話応対コンクール」に関係していますと、大変気になることがあります。書いた話しことばで話す人が大変多いことです。「話しことば」と「書きことば」は違います。コンクール課題も発表になる4月。今回はコミュニケーションの大事な手段であるこの2つのことばについて考えます。

文字を書く前に考える。そして対話する

挨拶やスピーチ、プレゼンテ―ションやインストラクションを頼まれますと、みなさんはすぐにスクリプトを書き始めてはいませんか。もしもし検定やコンクールでも、課題が出るとすぐ書き始める人が多いのです。文字にしないと安心できないのでしょう。スクリプトで推敲を重ね完成台本を作ります。そしてそれを覚えます。

ところがここに大きな問題があります。そこに書かれた言葉は書きことばです。いくら話しことばらしく書いても、やはりそれは書きことばなのです。書きことばを覚えてそれらしく演技したとしても、不自然さは拭えません。文字にする前に徹底的に考えること。そして言葉はラフで構いませんので対話をしてみることです。その対話の中で推敲することです。

話しことばで伝えることの功罪

書いた文章は、書く側は何度も推敲して書き直すことができますし、読み手も何度でも読み直せます。ところが話しことばは聞いた途端に消えてしまいます。前には戻れません。この当たり前のことを理解しないで話す人が多いのです。その結果、伝えたことが伝わらないというコミュニケーションの悲劇が起こります。

伝えると言うことは、言葉ではなく意味内容を相手に届けることです。電話では、相手を映像的にイメージして、しっかりその人に伝えて下さい。それによって「間」や「抑揚」などの声の表情も自然になるでしょう。書きことばのスクリプトにはない倒置法表現やくり返しによる強調なども自然に使われるでしょう。

整然とした文章は声にすると伝わりにくい

文脈もきちんとして無駄のない整然とした文章は、目で読んだ時には理解し易いでしょう。しかし、その文章をそのまま声にすると、意外にも伝わりにくいのです。耳には心地よく聞こえるのですが、そのまま素通りして頭に残りません。なぜでしょうか。

話しことばによる対話では、聞き手は話し手の「間」に自分の理解を合わせます。話すリズムに聴くリズムを合わせて理解するのです。話し手の感動や不安、怒りや悲しみを表わす抑揚や強弱、緩急、大小などの声の表情に、聞き手も共感するのです。適度な「えーと」とか「あのー」という冗長語も、自然な対話の息を合わせるのに役立っています。決して無駄ではありません。スクリプトを覚えて整然とした文章で伝えますと、それらの自然な息の交流が失われて、一方的で事務的な応対になりがちです。

言い間違い、トチリ、絶句

これらはビジネス応対ではしてはならないことです。とは言っても現実の応対では避けては通れないリスクでもあります。スクリプトなしのアドリブ応対では、厳しい場面に出会う危険性は誰にでもあります。これらのミスがあった時に、お客さまの怒りをかうことのないようにどのようにリカバリーできるか。それこそが最も大事な自然な応対力であり、磨かなければいけないポイントでしょう。

岡部 達昭氏

日本電信電話ユーザ協会電話応対技能検定 専門委員会委員長。
NHKアナウンサー、(財)NHK放送研修センター理事、日本語センター長を経て現在は企業、自治体の研修講演などを担当する。「心をつかむコミュニケーション」を基本に、言葉と非言語表現力の研究を行っている。

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