電話応対でCS向上コラム
第8回 苦情・クレーム解決までの手順「100人のクレーマーには100通りの対応がある」と言われます。そのため、苦情・クレームの応対マニュアルを作ることには危険があり、かえってこじれたりします。しかし、基本となる手順を知ることは必要でしょう。前回の復習を含めて手順を整理します。
苦情電話を受けたらどう応対する?
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まずお客さまの言い分を徹底的に聴きます。(説明や言い訳はせずにひたすら聴く)
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双方の興奮が収まり、冷静に話し合える状況になるのを待ちます。
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冷静になったところで、穏やかに質問をしながら事実関係の確認に入ります。
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確認ができたところで、この苦情・クレームは自分だけで解決できるか、上司に代わった方がよいか、改めて話し合うのが良いか、などこの後の対応の仕方を判断します。
自分で解決できると判断したら
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まず聞いた情報を整理して、お客さまの言い分を明確にします。
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お客さまの立場に身を置いて、お客さまの言い分に共感できるかどうかを考えます。
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こちら側の事情、考え方を誠実に説明します。
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お客さまの選択の余地に配慮しながら解決策の提案をします。
上司(先輩)に代わる場合には
「責任あるお答えをしなければいけませんので、私の上司に代わります。これまでの経緯を上司に伝えますので、少しお待ち頂いてもよろしいでしょうか」あるいは「概略を上司に伝えた上で、こちらからお電話を差し上げます」と誠実に了解を得てください。
お客さまに同じことを二度言わせることのないように、苦情・クレームの概要とポイントを、簡潔に正確に上司(先輩)に伝えてから代わることが大事です。
迅速な対応、こまめな報告
苦情・クレーム応対に当る際に大事な留意点が2点あります。
1番目は迅速な対応(クイックレスポンス)です。お待たせすることは、それだけでお客さまは気分を損ねて、問題解決を遅らせます。
2番目は「報告」です。報告には、お客さまへの報告と上司への報告の2つがあります。更に時点によって分ければ、事前報告、中間報告、結果報告の3つがあります。人間の最大の不満は「聞いてない」ということ、つまり知らなかったということです。正確でこまめな報告は、苦情・クレームを円満に解決するための大事なポイントです。
岡部 達昭氏
日本電信電話ユーザ協会電話応対技能検定 専門委員会委員長。
NHKアナウンサー、(財)NHK放送研修センター理事、日本語センター長を経て現在は企業、自治体の研修講演などを担当する。「心をつかむコミュニケーション」を基本に、言葉と非言語表現力の研究を行っている。