電話応対でCS向上コラム
第3回 「伝えた」と「伝わった」は違う①「伝えた」ことは「伝わる」と思うのが、コミュニケーションの最大の誤解だといわれます。
「伝えた」と「伝わった」は違うのです。伝えたことを聞き手が理解し納得し、そこに何らかの変化が生 じて、始めて「伝わった」になるのです。そう考えてみますと、コミュニケーション手段としての私たちの話しことばは、はたして伝わっているでしょうか。
言った言わないというトラブルは、電話応対にもつきものです。その原因が、たとえ聞き手の側にあっ たとしても、伝わらなかった責任は話し手側にあると考えることが、コミュニケーション力を磨くため には必要でしょう。
「伝わった」になるための 5つのポイント
では「伝えた」ことが「伝わった」になるためにはどうすればよいのでしょうか。
- ①聞き手は何を知りたいのか
- どんなに上手に話しても、関心のない話は聴いてはもらえません。まず聞き手が何を知りたいのかを、しっかりつかんでから話すことです。
- ②ポイントを絞る
- 話を欲張らないこと。欲張ると結局何も伝わりません。絶対に分かって欲しいことは何かを考えて、まずはそこに話を絞って伝えます。
- ③易しい言葉で話す
- 社内で使い慣れている専門語や外国語、難しい漢語などを、お客様に対しても無意識で使っていませんか?「この言葉の意味、何だろう?」と考えた途端に、その言葉だけでなく、そこから後の肝心の話を聞く集中力が途切れてしまいます。
- ④大事なことはくり返す
- 電話での会話は前に戻って確認することができません。ですから、大事なポイントや言葉は、くり返し伝えるように習慣付けてください。
- ⑤慣れで話さない
- マニュアルに習熟し、業務知識がしっかり身につくと、慣れで話すようになりがちです。慣れることは大事ですが、往々にして事務的になり心を失います。内容だけでなく、心を伝える声の表情を磨くことが「伝わった」になる鍵を握っています。
次号では「『伝えた』と『伝わった』は違う」の2回目、スキル編です。
岡部 達昭氏
日本電信電話ユーザ協会電話応対技能検定 専門委員会委員長。
NHKアナウンサー、(財)NHK放送研修センター理事、日本語センター長を経て現在は企業、自治体の研修講演などを担当する。「心をつかむコミュニケーション」を基本に、言葉と非言語表現力の研究を行っている。