電話応対でCS向上コラム

-穴吹エンタープライズ株式会社-
第52回 相手の想いに心を傾け、寄り添う応対を

記事ID:C10070

 あなぶきエンタープライズは、ホテル・サービスエリア・公民連携(PPP)・スポーツ健康増進などの事業を展開しています。当社は、不動産業を中心に人材サービス、建築など幅広いサービスを提供する「あなぶきグループ」の一員として、地域になくてはならない施設運営のプロフェッショナル企業を目指して、日々のサービス提供に取り組んでいます。

「客に向かって 勝とうとするんじゃないわよ!」

 これは10年ほど前、私がグループ内別会社のお客さま相談室で仕事を始めた頃の出来事です。そのお客さまは頻繁にご意見をいただく、どちらかといえば厳しい口調が印象的な女性でした。その日の電話の内容も、少し頭が痛くなるようなお申し出でした。私とのやりとりが20分ほど続いていた頃に、お客さまが突然強いため息をつきこう言い放ったのです。
 「あなた!客に向かって勝とうとするんじゃないわよ!」
 思いもよらないご指摘に、耳を疑うと同時に、呆然としてしまったことを今でも覚えています。
 大学ではアナウンス学を専攻して、卒業後もアナウンサーとしての仕事に就いていた私は、音声表現には少し自信がありました。恥ずかしながらその頃は、表情豊かに相づちを打ち、流暢に説明をして電話を終わらせることが、良い電話応対であるなどと、とんでもない勘違いをしていたのです。

「話そう」ではなく「分かろう」

 この電話をきっかけに“話すことに頼らない応対”について考え、勉強を続けました。
 お客さまに「電話をかけて良かった」と思ってもらえる応対とはどのようなものを指すのか。
 まず、たとえきれいな話し方をしたところで、決してお客さまを不快にさせてしまってはならないこと。
 そして、お客さまには一人ひとり違った環境があり、何らかの想いがあって電話をくださったことを前提に、その言葉一つ一つに込められた想いを丁寧に理解していき、背景を分かろうとすることです。

話すことが苦手でもいい

 自社内で電話応対研修をする時には、私の失敗例を出した上で「一方的に話すのではなく、ゆっくりと相手の反応を見ながら話しましょう」と伝えています。
 美しい話し方であることに越したことはありませんが、表面上の言葉だけにとらわれず電話の向こうのお客さまの想いに心を傾け、寄り添う応対をすると、自然と心のこもった温かい話し方になると信じているからです。

次回の講師は、株式会社アド・ダイセンの加地 倫子さんです。アド・テレサポート本部の人財開発担当として、日々の研修をはじめ、電話応対コンクールや企業電話応対コンテストの指導にも情熱的に取り組まれている、一挙一動において尊敬する指導者です。

吉嶋 寛美氏

穴吹エンタープライズ株式会社 公民連携事業部 人財育成トレーナー。電話応対技能
検定(もしもし検定)指導者級資格保持者(24期)。ホテルや旅館、サービスエリア運営、
公民連携事業に携わる社員スタッフ向け・新入社員向け・外国人スタッフ向けなど、習
熟度に合わせた応対教育を実施。もしもし検定受検者や電話応対コンクール出場者の
指導にも携わっています。

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社内の人材育成や生産性の向上に貢献致します。

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